【愛じゃねえの?】~社会人*嫌いだったはずの先輩に恋する理由。攻めの後輩視点

悠里

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side*陽斗 3

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「はいどうぞ。聞きますよ、陽斗さん」

「……うん」


 2人、まっすぐ見つめ合って。


「あの、な、三上。結論から言うと……すぐ付き合うのは無理」


 ドキドキしながら言ったセリフに、三上はすぐに。


「はい」

 特に驚く風でもなくそう返事をして、それから、またじっと見つめてくる。


「……オレ、今、お前の事――――……すごく好きだと思う」
「……はい」

 今度は少し驚いたような。それから、少し嬉しそうに、微笑む。


「だけど……恋人とか、急になるには……なんか考える時間も全然なかったし。こんなさ2人きりで2晩も一緒で――――……しかも旅先とか特殊だし。これで確定させるのはどうかと思っちゃうんだよ」

「――――……はい」

「特に三上はさ。仕事3年目でさ……慣れてきたし、これから、プライベートとかも結構楽しいはずの時期だと思うんだよね」

「――――……うん」

 まっすぐな瞳は、何だか、少し笑みを含んでて。
 意外な表情に、拍子抜けしながら。とりあえず言ってしまおうと話し続ける。


「東京に帰って、日常に戻ったら少し落ち着くだろ? この盛り上がってんのが落ち着いてから――――……三上もさ、普通に過ごしてもらっていいしさ。それから、決めない?」

「――――……んー……」

 しばらく、三上は黙っていて。
 それから、ふ、と笑った。


「最後のだけよく分かんないんですけど」
「……うん?」」


「オレが普通に過ごすってどういう意味ですか?」
「――――……」

「普通ってことは――――……合コンしたり、女と遊んでいいってこと?」

「――――……そういうのも含めて、言った」

「良いんですか?」
「……うん」


 ふーん、という表情で、三上がオレを見る。


「……陽斗さんも、そうするってことですか?」

「……オレももちろん、自由に考えるけど――――……ほら、オレは……一昨日まで、あんな事で悩んでた位、だからさ」


「……キスとか、平気になったんじゃないですか?」
「――――……?」

 何のことかと思って、三上を見つめると。


「キスしたいって、今は思いませんか?」

 そう聞かれて。ふと浮かんだ言葉を言って良いのか迷って、口を閉ざしたら。


「今何考えました? 困った顔してないで全部言ってよ」


 鋭いなー。三上……。
 オレは、ため息をついて。

「……三上とすんのは、気持ち良いのは分かったけど……他としたいとは、今んとこ思わないかも………」

「――――……」


 オレが考えてた内容までは予想もしてなかったみたいで。
 今度は、ものすごくびっくりした顔をされた。

 それから、三上は、ふ、と笑んで。


「……てことは、オレだけ自由にしていいってことですか……」


 三上はしばらく、だまって考えていたけれど。


「質問なんですけど」
「……うん、何?」


「その、答えが出る前に……陽斗さんにキスしたくなったら?」


 一瞬止まってしまう。
 ――――……でもなんか今更キス位でダメとかいうのも……。


「……いいよ」


「じゃあ、抱き締めたくなったら?」
「……いいよ」


「――――……じゃあ、抱きたくなったら?」
「……そこはちょっと、考える……」


「なんでそこは考えるんですか?」
「……なんかそれオッケイすると、セフレみたいで、嫌だから……?」

 ぷっと笑って、三上は苦笑い。


「オレが陽斗さんの事、そんな関係の人にする訳、ないですよね……」
「――――……」



 三上は、んー、と声を出して。
 楽しそうに、微笑んだ。


「……恋人を保留するのは、了解です」
「――――……」


「もっと変なこと言うかなーと思ってたから。まあまあ、普通でした」
「――――……もっと変なことって?」


「もっと、オレに考えもつかないような、変なこと言ってくるかなって」



 三上はクスクス笑いながらそんな風に言う。


 もっと変なことってなんだろう??
 固まってると、三上は余計面白そうに、笑った。






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