【愛じゃねえの?】~社会人*嫌いだったはずの先輩に恋する理由。攻めの後輩視点

悠里

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side*陽斗 1

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 急に。
 三上が、キス、してきた。



「――――……み、か……っ」


 何で、キスすることに、なったかと言うと……??



◇ ◇ ◇ ◇



 スイーツを食べた後、少し京都の町を歩いてお土産とかを買いながら。
 三上が予約してくれて、入ったのは、個室の料理屋さんだった。
 注文はタッチパネルでしてくださいと言って、店員がドアを閉めて、出て行った。

「こんな個室の料理屋さんもあるんだね」
「夜は居酒屋みたいですよ」
「へー」

 ふと、部屋を見回して。

「ヤバい事しても、バレなそう……」

 と、思った事を、素直に言ってしまった。

 だって個室とかって。
 ……しかも、今の三上とオレで、個室とか。
 なんかもう、そっちの事しか、考えられないというか。

 口にしてしまってから、三上が固まった事に気付いて。
 あれ? なんか固まってる……と、三上に視線を向けると。


「……別にオレ、ヤバい事しようとしたわけじゃないですよ」

 と、三上が言う。


「え。あ、分かってる。けど……」

「――――……さっき、話してる途中で、先輩――――……陽斗さんが、目立つからストップって言ったでしょ?」



 あ。……陽斗さんに、変わった。

 スイッチが、切りかわるみたいに。
 三上の視線が、変わる。


 さっきオレ、咄嗟に、言ってしまった。


 三上がオレを見続けて、それに気づく人が居たら、三上がオレを好きな事に気付く人は居るかも、と言った時。

 オレは、その三上の言葉に対して。

 それを見つめ返すオレを見られたら、「オレのもバレる」なんて。言ってしまった。


 ……もうなんか。
 そりゃ昨日も、テーマパークのトイレで、好きだとは言ったけど。
 どんな意味か考えるとか言ったけど。

 昨夜色んな事、三上として。抱き合って、眠ったりして。
 ……オレが三上を好きなのは、もう完全に、そういう意味な気がする。
 
 出来る訳ないじゃん、ただの後輩と。いくらマンツーマンの可愛い後輩だったとしたって。……今まで可愛がりたくても可愛がることが出来ずに来たけど…… その気持ちがすごく盛り上がったとしたって。あんな事、ただの可愛い後輩と出来るわけがない。

 もう出来た時点で、もう気持ちは決まったも同然だって、もう分かってる。



 だから――――…… 陽斗さん、と呼ぶ、三上のこの視線は。
 物凄く、心の奥に、突き刺さる気が、する。




「これから新幹線だし、東京に帰ってご飯食べるにしても、知り合いがいるかもしれないし――――……昼食べながらゆっくり話したいって思っただけです」

「――――……うん。わか、てる」


「なのに何で、ヤバいこと、とか言うんですか?」

 三上が、はー、とため息をつく。


「そーいうこと言われると……そっちを考えちゃうんですけど」
「…………ごめん、てば」


 うぅ。やらしいことばっかり、考えてるみたいで、
 すごく恥ずかしくなりながら、俯くと。

 三上が、かたん、と椅子を引いて立ち上がった。


「陽斗さん、ちょっとこっち、来て」

 座ってた手を引かれて、三上の手に任せてると、背をドアに押し付けられる。
 向こうからは、一瞬、開かない状態。


 三上の手が、腰と、背に触れる。
 もう、三上を見上げるしか、ない体勢。


「……あのさ、陽斗さん」
「――――……うん」

「……オレ、何度もあんたに好きって言ってるし。陽斗さんも……そんなような事言ってくれて。でも、意味を考えようっても言ってるし――――……それでも、昨日、あんな風にしちゃって……」
「……うん」

「――――……正直、オレは、もう、陽斗さんと、付き合いたい」
「――――……」


「……意味なんか、もう、昨日の時点で分かってたし」
「――――……」


「好きじゃなきゃ、しない」

 なんかもう。
 三上のまっすぐな視線と言葉って――――……。

 
 もう、心の奥の奥の奥の奥の……一番奥まで、入ってきてる気がして。
 胸が締め付けられるみたいに、痛い。



「……陽斗さんも、オレが好き……?」

「――――……うん……好きじゃなきゃ……オレだって、しない……」



 けど、と続けようとした瞬間。





 三上の唇が、重なってきて――――……すぐに深くなった。








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