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◇尊いって。4※
しおりを挟む「気持ち、イイ?」
「――――……ぅん」
……ほんと、こういう時、素直。
強がって、気持ちよくないとか、言いそうな気もするのに。
本当に、そういうのも全部可愛い。
枕にしがみついてる体に、ものすごい力、入ってて。
気持ちいいとこ触れると、腰が、背中が、揺れる。
後ろ、刺激してるだけで、前も再び反応してるのも、分かってる。
もぞ、と動いて、布団から離れようと、してるのかな。
男の勃ってるものに、触れたくて触れる日が、来ると思わなかった。
――――……する、と前に手を回して、握りこむと、びくつく体。
「――――……やっ……っ……!!」
さっき良さそうだった所を擦りあげるだけで、一気に固くなる。
「……あ……っ……」
枕に顔を押し付けて、ぷるぷる首を振ってる。
「……気持ち良すぎ?」
そう囁くと、陽斗さんは枕に顔押し付けたまま。少しだけ、振り返った。
「――――……っまだ……」
「ん……?」
「……まだ、入れない……?」
「――――……」
……直だな。
回りくどいことばっか、言ってきてたくせに、今度は、直でそれか。
――――……つか、もう勃ちすぎて、痛いし。
「――――……んっ……」
中、刺激し続けていた指を、ず、と抜くと、また震える。
「陽斗さん、後ろから、するね……?」
「……ん」
頷いて、はぁ、と息をついてる。
ゴムとローションで準備してから、後ろに先端をあてる。
「――――……ゆっくりするから……力抜いてて」
「……ぅん」
吸い付いてくる中を、少しだけ進む。
やば、これ――――……。
「……あ……っ――――……ん、ぅ……っ」
前に手を回して、刺激して、少し感覚をそっちに向けさせて。
緩んだ中を、奥に入れていく。
「陽斗さん……」
「……ふ……ン……っ……」
密着するみたいに抱き締めて、中を侵していく。最初だけ拒むように入っていた余計な力も徐々に抜けていく。 くぐもった、甘い喘ぎを漏らし始める。
――――……そこからはもう、必死だった。
極力辛い思いをさせないように。
最大限、気持ち良いと、思わせてやりたくて。
自分の欲望のままには、動かないように。
「……や……ぁ……ッ……」
奥まで入れて、軽く突き上げると、びく、と背が反って。
甘えた声が上がる。
よかった、痛くなさそう。
ちゃんと、気持ちよさそう――――……。
「……んんっ……あ」
繋がったまま抱き寄せて、小刻みな動きで、中を慣らしながら、うなじや肩へのキスを繰り返す。
「……はあ……あ、あ……っンん……」
緩く突くのが、気持ちいい、みたいで。
少し顎が反ると、先輩の後頭部が、髪が、オレの顔に触れる。
「……っ……あ……」
何度目かにのけぞった時。そのまま、すり、とすり寄られて。
潤みまくった瞳に、見上げられた。
「もう、休む……?」
もう辛いかなと思って、ちゅと頬にキスしながら、そう聞いたら。
先輩は、ふる、と首を振って、それからまた、オレを見つめた。
「……きもち……よすぎて……」
「――――……っ」
「――――……どうしよ……」
うっ、わ――――…… マジ、勘弁して。
一気に下半身に、ヤバい熱が集まる。
「……っ……はあ……」
堪えきれないみたいに、先輩が息を付いて、ぶる、と、震える。
「……あお、い――――……」
「――――……なに……?」
「前が、良い……顔、みたい」
……もう……ほんとに……。
――――……可愛すぎて、困るな……。
ゆっくり抜いて、また先輩の背を枕に沈めさせて、脚を開かせる。
組み敷くと、先輩は、じっと、オレを見上げて、ふ、と瞳を細めた。
先輩のキレイな喉が、ごく、と上下する。
興奮――――……してんのかな……この人も。
思ったら、たまらなくなる。
「――――……っ」
後ろに合わせてゆっくり、でも今度は一息で、中まで押し込む。
「……っン……あっ……――――……っは……」
少しだけ上がった顎を捕らえて、深く、舌を絡め取った。
「ンん……ん、ふ……っ――――……」
熱い吐息が唇の間で零れる度に。
甘い声が、漏れてくるたびに。
激情を抑えるのだけで、精一杯で。
とにかくもう可愛くて、愛おしくて、愛撫を与えているのはこっちなのに。
自分の方がどうにかなりそうとか。初めて思った。
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