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side*陽斗 2※
しおりを挟む布団に、組み敷かれる。
と言っても、まだ完全に横にはなっていない。
枕が2つ並んで置いてあって。
オレは、それを背後に、少し斜めに、倒されて。
三上が、膝をついた形で、上に居る。
どっくんどっくん。というのか。
ばっくんばっくん。というのか。
し、心臓が、壊れる。
それか、血管が、爆発する。
こんなに激しい音がしてて、大丈夫なのかなと、ただ、斜め上の三上を見上げていると。 三上は、布団に来る時に持ってきたものを、オレに見せた。
「……あとでこれ、使いますね」
ひとつはゴム。それは、見せる訳ではなくて、箱から出されて置かれただけ。もうひとつは、何かピンクの派手な入れ物。
「……何それ?」
なんか、普通に出してるつもりの、声が上擦っている気がする。
つか、もうオレ、しっかりしろよっっ!
こういうシチュエーションなんて、上下が逆なだけで結構経験してきたじゃんか! そうだ、よく考えたら、何もしなくていいんだ、してもらうんだから、楽なんじゃないかな、うん。緊張しないで、なんならただ寝てれば……。
とか、とんでもないマグロ宣言が自分から出そうになった所で、いや違うだろ、と自分を止める。
ああでも、一体どうしたら。
「これね、ローション」
「――――……ろー……」
頭になかった単語に首を傾げて言いかけた瞬間に、意味がはっきり分かって、言うのを止めた。けれど時すでに遅く、ボボッと血が一気に顔に集まった。
「……っ!!」
っそれもさっき買ったの?
……ていうか、そっか、使わないと、ダメか。
そりゃそうだよな、ていうか、何でオレは考えなかった?
ていうか、そんな普通の顔して、そんな物見せんなよー!
1ミリも動けないまま、目の前のローションを凝視したまま、心の中で叫んでいると。
三上が不意に、手で口元隠しながら、ぷっと笑った。
「……っっ」
何で笑うんだよ!! もう!!
んなもん急に出してくるから悪いんじゃん……!!
言ってから出してよ、そしたら、少し心構えしてから、目に映せるのに!!
「あー……ほんと、可愛い」
三上はローションの後ろの説明書きを見てから、オレに目を向けた。
「これ、舐めても大丈夫ですって」
「――――……」
なめ。ても…………。
「先輩、色んなとこ、舐めてもいいですか?」
………待って。
それの意味するのは。
そのローションを塗ってから、さらにそこを、舐めるという、こと?
色んなとこって、どこ…………。
「~~~~っ もう、いやだ、三上」
「っと……」
もう、三上の下に大人しく居る事が嫌になって、逃れようとした所を、何だか軽く押さえつけられてしまった。
「――――……っっっ」
声にならない叫びとともに、三上を睨むと。
「……陽斗さん」
クスクス笑った三上に、掴まれた腕をもとの位置に戻されて、布団に軽く押し付けられる。
「ごめん、なんか可愛くてつい」
そんな事を言いながら、また完全に三上の下に入れられて、さっきより斜めに布団に近付いてしまったオレの、首筋に顔を埋めてくる。
くすぐったすぎ……。
きつく瞳を閉じて、もはや逃げるために動こうと思うけど、何だか三上の体と手でうまく押さえつけられてて、全然逃げれない。
「――――……初めてだからさ。 ちょっとこれの助け借りて良いです?」
「……っ……」
「……色んなとこに、これ使っても良い?」
「――――……っ」
ぷるぷる、首を横に振る事しかできない。
恥ずかしすぎて、何の言葉も浮かばない。
「使った方が、気持ちいいと思うから」
なんか、舐めるようにゆっくりと、頬にキスされる。
ぞく、と腰に震えが走る。
「……っ……今まで、使った事、あんの?」
「無いですけど――――……多分湿り気あった方が、感じやすくなると思うんだよね。でもノーマルぽくないから、さすがに聞いてからにしようかなと思って……」
喋りながら、ちゅ、と音を立てながら、首筋を辿って、降りていく。
「ごめんね、意地悪しようと思って見せた訳じゃないんだけど」
三上は、そこまで言ってから、くっ、と笑う。
「あんまり真っ赤になるから可愛すぎて、聞き方意地悪になってたかも」
言いながら、ぢゅ、と吸ってくる。
鎖骨当たりに刺激が走って、びく、と体が震える。
なんか。始める前から。気が遠くなりそう。
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