上 下
86 / 273

◇興奮 ※

しおりを挟む

 名前呼ばれるだけでぞくぞくするとか、言っちゃうとか。
 ……いくら昨日、そういう時にずっと、囁いてたからって。


 快感と、連動しちゃってるのかな。
 オレに呼ばれるのが。

 なんだかな。


「――――……っ……ん、ふ……」

 口の中に舌を入れて、上顎を舐めると、びく、と震えながら、上向いた。
 やりやすいように、動いたみたい。

 ……かわい。

 ぴちゃ、と唾液が絡む音が響く。


「…んン… ――――は……」


 ――――……抑えようとしてるんだとは思うんだけど。
 だから余計、耐えきれなそうに漏れるのが、エロい……。


 散々口の中、舐めて――――……それから、また舌を絡めた。
 ちゅ、と吸って、オレの口の中に、招き入れる。


「……ぅん、ン……」


 キスは――――……上手なんだと思う。
 しやすいように、顔を傾けてくれるし。口も、合わせて開けてくれるし。

 オレがしたい事が分かってて、合わせようとしてくれてる気がする。


 でも当然こんな風に、上向いて「される」って事は無かっただろうから。

 息は、苦しそう。上向いてる喉が、たまに苦しそうに、ひくついて、たまに、こく、と唾液を飲み込む音がする。

「……――――……ん、ふぁ……」

 首筋辿りながら、ヒクついてる喉に、手を這わせると、声が漏れた。


「……み、か」

 唇を外されて。
 涙が潤む瞳で、見上げられる。

 自然と、ごく、と喉が鳴った。

 ――――……やばい。興奮、しすぎ、オレ。



「……三上って――――……」
「……はい?」

「……っ激しすぎ、ない……?」

「――――……」


 また何言ってんだろ……この人。

 先輩は、手の甲で自分の口を押えて。
 少しオレと離れる。

「……三上、いっつも、こんなキス、なの? もう、なんかこんなの……このまま、ベッド直行しそう、なんだけど……無理、きつすぎるし」


 プルプルと首を振って、そのままぷい、と横を向かれてしまう。



「――――……」


 ダメだ、落ち着かないと、と思うのだけれど。

 涙目可愛いし。
 そっぽを向いた、首筋が、綺麗で。


「え。 なに――――……っ?」

 頬に手を触れて、離れられないようにしておいて、先輩の、首筋にかぷ、と噛みついた。


「……っひ、ゃっ……っ」

 大きく震えたけど、少しだけ力を入れて、押さえて、首筋、舐める。


「……んん――――……っ」



 首筋、弱い。
 可愛い。


「あ、ちょっ、待っ……っ」

 ちゅ、と吸い付いて、少しだけ痕を残す。
 びく、と強張って。
 先輩がぎゅうっと瞳を伏せる。


「や、もう…… やめ、て、無理」
「……無理ですか?」

「……っから……っちゃう、からっ」
「え? 何て?」

 聞き返したオレを、きっと、睨む。


「……もう、たっちゃうってば…………っ」


 ……なんか昨日もこんなこと言ってたような。


 ああもう。
 だめだ、可愛くて。


「風呂場でさせて」
「……っ」


 バスタオルと浴衣を集めて持つと、もう、先輩の手首掴んで引いて、風呂場に連れ込んだ。



「脱がせますよ」
「……っ」

 先輩の服に手をかけると。
 緊張しまくって固まってる先輩に。

 こっちまでドキドキして。 
 一瞬手が止まってしまった。
 

「――――……?」


 止まったオレを見上げる、先輩。
 可愛い。


 ちゅ、と柔らかく、キスして。
 服の裾から、中に手を入れて、その肌に、触れた。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

そばにいてほしい。

15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。 そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。 ──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。 幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け 安心してください、ハピエンです。

浮気な彼氏

月夜の晩に
BL
同棲する年下彼氏が別の女に気持ちが行ってるみたい…。それでも健気に奮闘する受け。なのに攻めが裏切って…?

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

「誕生日前日に世界が始まる」

悠里
BL
真也×凌 大学生(中学からの親友です) 凌の誕生日前日23時過ぎからのお話です(^^ ほっこり読んでいただけたら♡ 幸せな誕生日を想像して頂けたらいいなと思います♡ →書きたくなって番外編に少し続けました。

「恋みたい」

悠里
BL
親友の二人が、相手の事が好きすぎるまま、父の転勤で離れて。 離れても親友のまま、連絡をとりあって、一年。 恋みたい、と気付くのは……? 桜の雰囲気とともにお楽しみ頂けたら🌸

俺に告白すると本命と結ばれる伝説がある。

はかまる
BL
恋愛成就率100%のプロの当て馬主人公が拗らせストーカーに好かれていたけど気づけない話

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

処理中です...