【愛じゃねえの?】~社会人*嫌いだったはずの先輩に恋する理由。攻めの後輩視点

悠里

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◇少しだけ反撃?

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 店の中は混んでたので、外のテラス席みたいな所で食べる。


「美味しいよ。食べ途中でよければ、食べる? 三上」

 はい、とクレープが差し出される。


 一瞬、躊躇う。


 別にディープキスしてるんだし、食べ途中なんて、正直どうでもいい。

 でも。何せ、さっき、デートみたいとか言われたばかり。
 何を思って言ってんのか、知らねーけど。

 食べ物あーんとか。
 カップルだって、しない方が多いんじゃねえのかな。

 少なくともオレは、ほとんどそんなの、した事はない。


 ――――……っとに、もう。この人は。


 何も考えてなさそうなのが、少しムカついて。
 もう、差し出されたそのまま、ぱく、と食べてやることにした。

 差し出すといっても、先輩はそこまで自分から離してなかったので、食べた瞬間すごく近距離になった。びっくりした顔してる先輩を、じ、と間近で見つめてみると。

「っ」

 急に顔を引かれる。


「――――……どうかしました?」
「……べつ、に」

 気づかない振りで聞いてみると、狼狽えたのを必死で誤魔化してる。


 ――――……ああやって、おかしな発言ぶちかますくせに、こうやって近づくと、それは照れるんだな。少し、顔、赤い。もんな。

 ――――……ふうん。

 「照れる」のか。
 「嫌がる」とか。じゃなくて。 


「めちゃくちゃ、間接キスですけど。 そういうの、平気? 先輩」
「え。かんせつ――――……」 

 そこまで言って、固まって。かあっと赤くなる。


「ばばば、かじゃないの、三上。 一口、食べた、だけじゃん……」
「でもそうですよね?」

「……ち、がうし」

 ぷい、とそっぽを向いてしまう。

 あらぬ方向を見ながら、レモンのクレープをモグモグ食べてる先輩の横顔に。なんだかもう、苦笑いしか浮かばない。

 間接キス位で。
 そんな照れる?

 先輩って、ほんと、純情?
 エロい会話とか。絶対友達同士でもしないタイプだよな、きっと。
 やらしい単語とか、言わないで生きてきたんだろうなあ。

 まあ、男でも下ネタ系嫌がる奴は普通に居たし、別にオレも大好きって訳じゃねーけど、別に言われたからって、照れはしない。


 しかもこの人は、自分は何も考えずにかましてくるくせに、言われると、そんなに照れるのか。


 ……ふーん。


 ――――……これは。

 ちょっと。




 ――――……楽しいかもしれない。



 …………にしても。
 口の中のクリームがいつまでも消えない。


「甘っま……」

 レモンクリームって。すっぱいのかと思いきや、
 めちゃくちゃ甘い。


「先輩オレ、水貰ってきます。いります?」 
「……いらない」


 あ、なんか、態度。拗ねてるというのか。困ってるのかな。
 よく分かんないけど、目、合わせねえし。


 とりあえずそこには突っ込むのは後にして、早く口を流したくて、水を貰いに店の中に入った。







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