【愛じゃねえの?】~社会人*嫌いだったはずの先輩に恋する理由。攻めの後輩視点

悠里

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◇嫌じゃない。

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 2人浴衣のまま、朝食に向かう。
 テーブル席に並んだ朝食が、朝から豪華。

「美味しそうですね」
「うん」

 ――――……先輩、口数、少ない。
 やっぱりちょっと怒ってんのかな。

 昨日みたいに酔ってる時じゃなくて、さっきみたいなシラフの時に、キスしたいとか言っちゃったしな。……失敗だったかな。

 なんかびくついてたし、赤くなってるし、
 すごく可愛くて、思わず言ってしまったけど。
 言わなきゃよかったかもなあ……。



 食事はすごく美味しいが。
 先輩の笑顔が無いから、何とも、困る、というか。


「……三上」
「あ、はい?」

 急に呼ばれて、顔を上げると。
 先輩は、オレを見つめて、ちょっと困ったように、むっとした口で。


「――――……お前、ほんとに、後悔してない?」
「してないですよ」

 即答すると。先輩は、またちょっと困った感じでオレを見てたけど。


「……なんか、三上って」
「はい?」

「……ブレないっつーか……男っぽいっつーか……」
「――――……そうですか?」

 どういう意味??

「……お前、迷うとか、ないの?」
「――――……迷う?」

 つか、ものすごい、迷いまくりだけど。

 していいのか、止めた方がいいのか、どこまでオッケイかとか、昨日、散々迷いながらしてたけど。

 ていうか、今だって、キスしたいとか言わなきゃよかったかなとか、色々考えてたけど。


「――――……めちゃくちゃ色々、迷ってるんですけど」
「そうかなあ……?」

「まあでも、昨夜した事は後悔してないですし。今もしたいっていうのは……本当ですけど。 でも、先輩が嫌なら、2度としませんよ」

「――――……ほら。すっげー割り切るっていうか。迷い、無いじゃん」
「――――……」

 んな事言われても。それ以外、言える事は無いというか。


 後悔してると思われるのも嫌だし。
 無理言って困らせるのも、嫌だし。
 無理言ったら、今後の仕事にまで響くじゃんか。

 ……オレが今言ったのは、もはやそれしか、言えないっていう類の言葉なんだけどな……。



「――――……」


 先輩がものすごい眉を寄せたまま、食事を続けて、黙ってる。
 なんかものすごく、考えてるっぽいので、何も言わないでひたすら待ちながら、オレも食事を続けていると。


「……嫌じゃなくても……考えなきゃいけない事たくさんあるし」
「――――……」


「……なんか、三上みたいに、すっぱり割り切れないし」


 考えなきゃ、いけないこと?
 なんだろう。

 男とか? 職場の後輩とか? 兄貴の弟って事とか?
 ……あとなんだろう。

 ――――……つか。
 それよりも。


「今、先輩、嫌じゃなくてもって言いましたか?」
「え?」

「嫌じゃないって事ですか?」
「――――……えっ、と…………」


 何も考えずに言ってたんだろうな。
 突っ込まれて、自分のセリフを考えて。

 言い訳できずに俯いて、また赤くなって、困ってる。



 ………………なんか。ほんとに。
 誰より可愛いって、思ってしまうんだけど。




 ――――……嫌じゃないって。
 どんな意味だったとしても、すげー嬉しいし。






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