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◇ディープな。

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 どこまでオッケイなんだろ。
 キス。


 もう終わり?とか言ってたし。
 触れるだけじゃないとこまでは、オッケイ、なんだろうけど。


 唇、柔らか――――……。

 綺麗な笑みを作る唇。
 キスしてると思うと、すげえ興奮する。

 やばいなー……どこでやめよう。
 やめれるかな……。


 何度か離して、角度を変えて、また、重ねる。


「――――……ふ」


 先輩の、吐息が、零れて。
 空気を求めて、唇が少し開いた時。


 ――――……も、むり。我慢できない。



「……ん、んっ……?」


 舌、絡めた瞬間、ぴく、と先輩が退こうとしたけれど。
 軽く、押さえつけた。

 舌、絡めてると、小さく声が漏れる。
 ぴくん、と体が反応するのが、なんか可愛くて。

 上顎、舌で舐めたら、「んんっ」と先輩が目を見開いた。



「……っん……っちょ……待っ……」

 布団についてた先輩の手が、ずる、と滑って。


「――――……っ」

 完全に前のめりになってたオレと、全体重をその腕にかけてたらしい先輩は、一緒に、布団の上に崩れた。

「――――……う、わ……」

 完全に、布団の上に、先輩を押し倒したような、形になってて。
 ついた両手は、先輩の事を囲ってしまっていて。
 

「びっくり、した……」

 ふ、と笑う先輩。


「何がびっくり、ですか?」
「――――……倒れた事もだけど……」

「――――……」
「……キス」


 絶対、変な体勢。
 会社の先輩を、自分の下に、組み敷いて。
 見つめ合ってるとか。


 普通、絶対ありえない。


「……先輩、もうやめた方がいい?」
「――――……」

「どうでした? キス」

 ……聞くのも変だけど。
 気持ち悪がってたら、さすがに続けるわけにはいかないし。


「……三上は?」
「――――……オレは……先輩がいいなら、まだしたいですけど」

「――――……」


 オレのセリフを聞いて。
 困ったみたいな、先輩の顔。


「……あのさ、三上」
「はい」


「――――……あの……」

 ものすごく口ごもってるし。


「すみません、嫌ってことですよね」

 したいとか言ったから、断るのに困ってるんだと思って、先輩の上から退こうとした瞬間。


「じゃ、なくて――――……」
「……なくて??」

「……なんか。……キス……良くてびっくり。して」
「――――……」

 ドキン、と。いうのか。
 ドクン、というのか。

 とにかく、心臓が跳ねるし。
 そういうやる気も、膨れ上がるし。

「……収まんなく、なりそうで」
「――――……」

「ごめん、何か、その気になんないとか……言った直後で、何言ってんだって感じだよなと、思って……」

 そう言う意味で、口ごもっていたのかと思うと。


「オレで、その気になるなら――――……続きします?」
「……つか、オレ、男だけど。 三上って、いいの?」

「……先輩なら、平気そう」

 ……平気そうっていうか。全然違うな。
 先輩が良いというか。それも違うか。


 先輩だけに、触りたいってのが、正しい。



「――――……しますよ?」
「……でも」

 まだ迷ってるみたいな先輩を遮って。


「……嫌じゃないなら、黙ってください」


 そう言ったら、先輩はオレをじっと見つめて。
 キスされる直前に、瞳を伏せた。






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