14 / 274
◇改めて 3
しおりを挟む「だから、こっから改めてよろしくな?」
なんて言って、惜しげもなく。って言うのも変だけど。
今までまったく笑わなかったくせに、全然普通に笑いかけてくる。
「……つか。先輩、今までと違いすぎて、どう接して良いか分かんないんですけど」
「――――……あー。うん。早く慣れて?」
先輩は、ちょっと困ったように言いながらも、クスクス笑う。
そうだよな――――……。
この人、笑う人なんだよな……。
オレ以外は褒めてたし。
それを隣で聞きながら、オレがどれだけ、嫉妬――――………あ? 違う違う違う。そうじゃなくて……。どれだけあんたにちょっでも、ほめてほしくて頑張ってたか――――……って、ああ? だから違うっつの。
――――……ダメだ。
脳みそ、今、ちゃんと考えられない。
「あ。そうだ。宿取ろっかな……」
「――――……」
「三上、オレと別が良い? それとも一緒にして、仲良くなる?なんて。……やっぱ別にしとく?」
「――――……」
「こんな話聞いても、急に仲良くなんかできないよな」
しゃあないよなー、なんて言いながら、スマホで宿を探してる。
「あ、でも泊まる宿は一緒でいいだろ? 別のとこで経理に出すのも変だし」
「――――……部屋も、一緒で」
「え?」
「一緒の部屋で取って下さい」
「――――……」
んー……? と、先輩がオレを見てる。
もはや何も中身を悟られないように、窓の景色をひたすら眺めつつ。
その視線をスルーしていると。
先輩が、クスクス笑い出した。
「じゃあ、一緒に泊まろっか。 ――――……部屋で酒でも飲も。部長、好きなとこ泊って良いって言ってたから。良さそうなとこ選ぼ」
笑みを含んだ声でそう言って、先輩がスマホをしばらく眺めて。
「和室と洋室どっちがいい?」
「どっちでも……」
「どっち?」
「……じゃあ和室で」
「うん。いいよなー、布団もたまには」
クスクス笑いながら、スマホを眺めてる。
「三上、ここは? 部屋に温泉があるって。すごくない? 少し高いけど」
あはは、と笑いながら、スマホを向けてくる。
「ここでいい?」
「はい」
「じゃあもう取っちゃお……」
楽しそうに言って、しばらくスマホを操作して。
取れたよ。と笑う。
「2年分、めっちゃ喋ろーぜ?」
すげえ楽しそうに笑う先輩。
「なんかずっと我慢してきたから、お前と話すの、必要以上に楽しいかも」
とか言っちゃうし。
――――……何なのこの人。
……好意全開の態度。
もう違いすぎて、全くついていけないんですけど。
79
お気に入りに追加
1,258
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
処女姫Ωと帝の初夜
切羽未依
BL
αの皇子を産むため、男なのに姫として後宮に入れられたΩのぼく。
七年も経っても、未だに帝に番われず、未通(おとめ=処女)のままだった。
幼なじみでもある帝と仲は良かったが、Ωとして求められないことに、ぼくは不安と悲しみを抱えていた・・・
『紫式部~実は、歴史上の人物がΩだった件』の紫式部の就職先・藤原彰子も実はΩで、男の子だった!?というオメガバースな歴史ファンタジー。
歴史や古文が苦手でも、だいじょうぶ。ふりがな満載・カッコ書きの説明大量。
フツーの日本語で書いています。
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる