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◇改めて 2

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「ていうかさ。よく、あんなんで、2年もオレについてきたよな?」

 ――――……。
 ……ていうか、ついてくしかなくねえ?
 辞める訳にもいかないし。


「最初はさ、目つき悪いし態度も悪いし、無理なんじゃねーかなーと思ったんだけど……実際教え始めてみたら、頭良いし、仕事早いし、機転もきくし。さすが、志樹の弟だなーと思って」

 目つきと態度が悪いのは、あんたの態度が悪いからだっつーの……。
 この人、何?て、ずっと、思ってたし。

 でも、仕事はきっちり教えてくれるから、もう割り切って覚えようと思ったっつーか。


「……よく、そんな理由でずっとあんな態度取り続けられましたね」

「あ。……超恨んでる感じだな」

 先輩は、この上なく、苦笑い。


「……つーかさ、途中でもう志樹からOK出ないってのが分かってからは、全部お前の為だと思おうとしてたから……」

「――――……」

 はー、とため息を吐くオレに、先輩はんー、とまた苦笑いを浮かべて。

「もしかして少しは褒めて欲しかった?」

 クス、と笑う。

「つか、あんた、オレのこと、すげえ冷たい目で見たじゃん」
「だって、頑張ってて偉いなーとか思っちゃったら、オレ絶対褒めるに決まってるし。それだけはやめてって言われてたからさ。ていうか、冷たい目で見てたつもりはないよ、笑わないようにしてただけ。あー……気にしてた? ごめんな?」

 クスクス笑われると、すげえキレイな顔が、可愛く――――……。
 ……いやいや、何言ってんだ、オレ。

「でもなんか、三上って、全然平気な顔して、普通にしてるから、そんなに嫌がってんの、分かんなかった……ごめん、ちょっとお前は平気なのかなって、思っちゃってたよ。 志樹が、メンタル強ぇから絶対大丈夫とか言うしさ……」
「――――……」

 まあ、他の奴よりメンタル強いってのは認めるけど。 
 でも、相当、先輩にされんのは、嫌だったけど。
 

 …………なんか。
 理解、してきたら。

 この人のムカつく態度が、全部、そのためだったとか、嫌々ながら、納得してきたら。

 ――――……なんか。


「まだまだ教える事たくさんあるからさ。あ、さっき、志樹に確認したら、まだお前、オレの下につけたままにするって。だから、仕事はスパルタではいくけど。――――……こっからは、もう普通に接するから」

「――――……」


「褒めるけど、気ぃ緩めんなよな? 緩めたら、オレ、元に戻るからな」
「……っ……緩めませんよ」


 何だかもう悔しいやらムカつくやら。
 ……嫌われてたんじゃなくて良かった、やら。

 もう何だか良く分からない。


 ほんと、なんだこれ。
 2年も、ずっとあんな感じで接してきて。仕事終わらせれば、速攻また違う仕事教えられて。全然話もせず……。笑わず目も合わせず……。


 ああ、でも、教え方は、すげえ分かりやすくて、丁寧だったな。ミスしても責められることはなかった。
 完全にオレのミスで問題になった時も、教育係のオレの責任だって、全部かぶってくれたし。……だから、嫌われてるのかも良く分からないまま、悩みながら来たんだっけ……。

 で、訳が分かんないから、オレは、この人が嫌いだって、ずっと……。



「今もすげえ怒ってる?」
「――――……もう良いですよ……」

 半分投げやりに言ったのだけれど。
 先輩は、ふ、と笑った。


 ――――……なんか。
 オレ、先輩のこと、気に食わなかった反動で。

 …………今、すげえ…… いや、ちょっと……嬉しいかも。
 ……何これ、やばくね?


 あんた、ばらしたからって、笑顔すぎだし。





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