【Stay with me】 -義理の弟と恋愛なんて、無理なのに-

悠里

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◆Stay with me◆本編「大学生編」

「したかった」

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 抱き付いたまま。何も言えないまま、数秒。

「……彰……?」
 仁に呼ばれる。

「……オレ……」
 思い切って、声を出した。
 
「……オレ……ずっと……仁と……したかった……」

 ほんとは、高校生のあの時。
 ……心のままに、動けてたなら、
 ずっとキスして。抱き合って。……ずっと、一緒に居たかった。

 今こうなって、あの時の気持ちが、やっと分かった。

 色んな事考えて、そんなのはダメだって、思わないで居られたら。
 何も考えずに、仁への想いだけなら、もう、ただ、好きだった。

 好きだったから。
 彼女ともキスできなくなって、別れて。

 仁のキスを、拒めなくて。

 ずっと、怖くて、ずっと、自分の気持ち、認めずに、
 ずっと、逃げて。

「……ずっと逃げてて……ごめんね……」

 少しだけ、しがみつく力を緩めて、仁の顔を見上げた。
  
「……は、何それ……ずっとしたかったって……」

 仁の手が顎を捕らえて、すぐに唇が重なってくる。
 舌が深く挿しこまれて、上顎をなぞられる。

「……ン…………ん……っ……」

 仁がするキスは、熱っぽい。
 気持ち全部、キスにのっかってるみたいな。

 ……激しすぎて。
 ……熱い。
 
 しがみついた手を解かれて、ベッドに押しつけられる。
 
「ずっとの分……しようよ、彰」

 そう言われて。
 顔に熱が走った瞬間、また、口を塞がれる。

「……っん……っ……」

 お互い、息が、荒い。熱い。
 手首を掴んでる仁の手も……ものすごく、熱い。

「……なんかオレ……興奮しすぎて、ヤバい……」

 仁が熱を持て余すみたいに、はあ、と息を吐きながら、そう言った。
 
「……っ…… オレも……」
「……」

 こんな、時なのに。
 熱い欲情に支配されてしまいそうな、こんな時なのに。

 仁は、ふ、と瞳を緩めて、嬉しそうに笑った。
 優しい笑みに、胸が、締め付けられる。

「仁……好きだよ……」

 想いが溢れすぎて。 
 つい、また、そう口にした。

 そしたら、仁は、一瞬目を大きくして、オレをまじまじ見つめて。
 
「……はー……これ以上、煽らないでよ……」

 ため息の後。
 角度を変えながら、何度も繰り返しキスされる。

 舌が、しびれてるみたいで。
 噛まれると、ゾクゾクして、全身震える。

「……じ、ん……」

 ほんの少しも、離れたくなくて。 
 ぎゅ、と首に、しがみつく。



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