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◆Stay with me◆本編「大学生編」
「味方で」
しおりを挟む「――――亮也って、オレに付き合おうって言ったのにさ」
「え? ああ、うん?」
「何で仁との事……考えろとか言うの」
そう言うと。少し黙った後。
亮也はぷっと笑った。
「だって、弟の事が片付かないと、お前絶対オレと付き合わないもん。これで弟と付き合うなら、オレはお前と友達でいるけど……やっぱり弟が無理って結論出るなら、オレ、またお前に迫るつもり」
「――――」
「そん時は遠慮なく迫るし。もうそん時は、弟と暮らさせたりしないし? ――――だから、どっちにしても、早く結論出してほしいなーと思ってるだけ。別にうまくいってほしいなんては、思ってないよ」
クスクス笑ってそんな事言ってる亮也に、苦笑いしか出てこない。
「……まあさ。どっちに落ち着くにしても、オレは、彰の味方だからな?」
「――――なんで……そんなに言ってくれるのか、分かんないんだけど……」
「んー。……まあ、ちょっと、理由はある、かな。……聞きたい?」
「うん」
理由って……?
亮也を見つめてると。ふ、と亮也が笑って、話し始めた。
「お前に会った合コンでさ、オレお前のとこに行って話してたじゃん。女の子のとこ行かないでさ」
「……うん」
「そしたら、お前、なんでオレの所にくんのって聞いてきたわけ。で、オレが、男も女もどっちも愛せちゃうんだよね、て言ったらさ。そしたら、へえ、そうなんだ、てすげえ普通に言うから―――― なんか、興味ないからそんな反応なのかなーと思って、こんな話興味ない?て聞いたんだけど…… そん時、自分がなんて言ったか記憶ある?」
「……んー…… 覚えてないけど――――いいんじゃない、とか?」
答えると、ぷ、と笑って。
「興味ないとかじゃなくて別にいいんじゃない?……って言ってた。愛せるっておかしい事じゃないから、普通に、そうなんだって聞いただけだよって」
「……って、オレ、言ったの?」
「うん。そう言った。……なんかオレ、それですっごいお前、気に入っちゃって。――――だから、そっからすごい誘ったけど。でも実際誘ったら、だからって何でオレにくんのって、そこは退かれたけど」
あはは、と笑う亮也に、苦笑い。
「でも、最初から、彰って、男って事にはあんまり抵抗はないなー、とは思っててさ。やっぱり、抵抗ない奴って少ないからね。だから―――― そういうのも、ほんと、今日、すごい納得したけど……」
そう言うと、亮也は、ぱ、と笑顔になって、オレを見つめた。
「だから、とにかくオレは彰の味方でいるから。――――悩んでても、時間もったいないだろ?」
「――――」
「聞いちゃえよ。……今も好きなのかって。好きじゃないなら、もう彰は諦めて、オレと付き合うこと、もう一度考えて?」
「……諦めてって……」
「――――弟を好きな気持ち、諦めなよ」
「――――」
まっすぐ、見つめられて。
はー、とため息。
「……決めつけてるし。……ていうか、オレ、そもそも無理だって言ってるじゃんか……」
「だから、弟だから無理、とかはやめて、ちゃんと考えたら? その考え方じゃ、お前、ずーっとそのまま生きてくことになっちゃうよ?」
「――――」
「大丈夫。 どっちにしても無理なら、オレがぜーんぶ受け止めてやるからな」
「……亮也って、ほんと――――羨ましくなる……」
「――――まあ、オレも、もっと若い頃に、めっちゃ色々考えたからね」
「――――そうだよな……ってまだ若いでしょ」
「若いけど……もっと子供ん時から。色々考えたよ」
「……そっか。……そう、だよね……」
「普通」からはみでる事って……。
―――― すごく、怖いもんな……。考えるよな……。
「……オレもさ」
「ん?」
「……亮也が困った時は、味方でいるから」
まっすぐ見つめてそう言うと。
亮也はふ、と嬉しそうに笑った。
「ん。ありがと、彰。……さて。もー少し、飲むか」
「あ、でもオレもうすぐ帰るからね」
「げげ。早すぎねえ? そんなに弟に会いたいの?」
「……会いたいっていうか――――」
……変だったから、気になって。
今日は飲んだくれて遅く帰るわけにはいかない気がする。
「だめ。もすこし、オレにも付き合えよー」
「……もう少しな?」
ぷ、と笑って答える。
なんかこの明るいのに、すごく救われてた時期もあったなあ……。
……ていうか、今もか。
寛人とはまた違う感じで。ほんと救われてる気がする。
「……注いでやる」
ワインをもって亮也に差し出すと、ん、とグラスを差し出してくる。
「ありがと。なあ、彰?」
「ん?」
「オレがもう一度迫るとかいったやつだけど……」
「うん?」
「彰の方が片付くまでは 忘れていいからな」
「――――片付くって……」
「まあ色んな意味で。 振るにしても振られるにしても。彰の気持が落ち着くまで。 オレも、まあ今まで通り遊んでるし。こっちは気にしなくていいよ」
「――――ん……」
見つめあったまま、頷く。
もう、そこからは完全に話を変えて、楽しく話し出した亮也に、返事をしながら。言われたことを頭の端で考える。
そんな、聞いてみる、なんて、できないよなー……。
大体好きって言われたって、何の覚悟もないし。
好きじゃないって……言われたら――――。
………はー。
だめだ。
もうこの先、考えたくない。
……ってこれがダメなの、分かってんだけど。
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