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◆Stay with me◆本編「大学生編」

「楽しいけど」

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 考えれば考えるほどに。
 どうしたらいいのか分からなくなってくる。

 でも、現実的に考えれば。
 ――――音沙汰の無かったこの二年に比べれば、今は、明らかに、良い状況な訳で。

「オレ、今さ……こうやって仁と過ごすようになってから、すごく楽しいなって思ってて。また一緒に笑えるようになって、嬉しいし」
「――――ああ」

「……仁と音信不通だった間辛かったから、もうあんなの嫌だし。……このまま笑って、一緒に居たいんだけど……」
「――――」

「―――― 勝手に浮かぶ気持ちが邪魔で……なんかもう、どうしていいか……よく分かんないっていうか……」

「……お前、今、楽しいの? 辛いの? どっち?」
「……楽しいけど――――辛い……かな…… よく分かんない」

 んーーーと、唸って。
 あー、もうやだな。と、ため息。

「……ごめん、今日はもういいや、オレ、今どう考えても、もう全然分かんないや。……飲もう、寛人」
「は?」

「寛人、ワイン飲みたい。 白ワイン」
「……だめ」
「美味しいやつ、選んで」
「……お前朝バイトだろ。寝坊するぞ」
「仁に起こしてもらう」

「……はー。おぶってくのやだぞ、オレ」
「大丈夫!」

 しばらくの押し問答の末。
 寛人は、諦めたみたいで。

 店員を呼んで、白ワインを頼んでくれてる。

「飲みやすいやつ。グラスで頼んだからな」
「一本頼んでくれてもいいのに」

「だから、絶対おぶんねえぞ」
「……ていうか、おぶわれたの、一回じゃん。何でそんなに言うの?」

「……三回」

 寛人の目が据わる。
 ……あれ? 三回も?? 記憶ないな。

「え?三回?」
「つーか、お前、どれを覚えてて、あと二回、どーすりゃ忘れんだ」
「……えーと……歩いて帰った気がしてて」

「途中まで歩いて、動かなくなったろうが」

「……まあ、いいか。白ワインに合うつまみ、選んでよ」
「……よくねえけど」

「な、寛人、どれがおすすめ?」
「……メニュー貸せ」

 聞いたオレに、寛人は苦笑いを浮かべながらそう言った。


◇ ◇ ◇ ◇


 頭、ガンガンする。
 ―――― あつい……。


「――――彰……」
「……ん……」

 ――――頭痛い。ぐるぐるしてる。


「……水、少し飲んで……」
「……ん……?……」

 体を起こされそうになるけど―――― ぐるぐるしてて、無理。


 その手を避けて、背に当たる、やわらかいものに、沈む。

 ふとん……? 気持ちいい……。

 ふ、と眠さに気が遠くなる。

 唇に、何かが触れて、水が、流し込まれる。


「――――ン……」 


 もう一度、冷たい感触。

 ……みず……きもちいい……。


 ……キス……されてる……?


「――――りょう……や……?……」


 ……あれ? オレ今――――どこに……。



 ――――あたま、痛い。 
 体中、どくどくしてて、熱くて。


「――――」


 少し何かを思ったけれど――――。
 すぐに、何も考えられなくなった。






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