【FairyTale】 ノンケ同士×お互い一目惚れ。甘い恋♡

悠里

文字の大きさ
上 下
232 / 236
第2章

◇本気かな?*圭

しおりを挟む


   
「多分全員でやる必要はないんだろうけど。同期多いしさ」
「うん。そっか」
「先輩達に、歴代なにしてたか聞いた方が良いかもな。ちらっとマジック大会した代があるっていうのは聞いたんだけど」
「マジック―!なんかオシャレ! 腹踊り全然違った」

 はは、と高瀬は笑って、オレを見つめる。

「でも、ちょっとほんとに織田のは見たい」

 絶対可愛いよね、なんて笑うけど。
 死んでも高瀬に見せたくないオレは、ぷるぷる首を振る。

「良かった、腹踊りとかやる世代じゃなくて……昔の人達はやってたんだよね?」
「ん、聞くもんな、映画とかでは見たことある気がするし」
「は―良かった」

 心底ホッ。

「あっ! 高瀬が超カッコいい服を着てファッションショーみたいなのやるっていうのはどうでしょう?」
「――――……」

 不意に思いついたものを提案してみたら、高瀬が珍しく真顔でオレを見る。
 あはは、と笑ってしまいながら。

「女子はみんなキャーキャー盛り上がるからもう、つかみはそれでオッケイにして、後の皆は、バックダンサーみたいな、面白い仮装して踊るとか」

 高瀬の真顔にめげず、思いつくままずっとしゃべっていたら、高瀬が、口元に手を当てて、クッと笑い出した。

「どんな余興なの」
「盛り上がるよ~! 特に女子が悲鳴をあげそうだから」

「織田織田、オレらの会社、女子少ないの忘れてる?」
「あっそうだ! 会社のフロアーとかじゃなかった、うちの会社の子たちかー。七対三、いや……八対二で男子が多いね。無理か」
「無理だろ」
「あっじゃあ、女装しちゃうっていうのは? 可愛くダンスする!」
「――――……」

「高瀬はエスコートするカッコいい役とかで良いよ、女装はオレ達その他大勢がする」
 それなら盛り上がるかもしれない。高瀬がカッコいいなら二割の女子も喜ぶし。

 これはいい案なのでは。
 ウキウキしながら高瀬の答えを待っていると。

「女装ダメ」
「えー、何で―??」
「織田はダメ。他のやつらは何してもいいけど」
「えー………… え?? 何で?」
「可愛いって、狙われたら困るから」
「――――……」

 予想外の心配に、目が点状態のオレ。

 何ならちょっと気持ちわるいと退かれるくらいの女装でノリノリでやろうかと思っていたのだけれど。
 高瀬、これは本気なのかな?? 
 マジで言ってるのかな??

「えと……」

 高瀬をじっと見つめて、その真意を計りながら。

「本気で、心配してますか……?」

 そう聞いてみると。

「もちろん」
「……」

「本気」
「えーーー?」

 思わずぽかんと口を開けてしまうと、高瀬がクスクス笑った。

「まあどんな女装するかによるけど……ほんとに可愛いやつはダメだよ」
「オレ、ほんとに可愛いには、ならないと思うんだけど」
「なっちゃうと思うから。んーやっぱ、女装は却下で」

「……なんかあれだね、宴会の余興って、大変だね」

 色んな意味で、なかなか決まらなそうな気がしてきた。


「マジックってできるのかなあ?」

 できるのか分かんないけど、脱がなくていいやつを考え始めたオレ。

「あとで、同期に連絡してみようか」
「だね、そうしよ。女子も居るし、なんか良いの考えてくれるかもね」
「あと先輩も聞いてみるか」
「ん、だね!」

 笑顔で言いつつ。
 ……高瀬のファッションショーはやりたいなぁ、なんて思ってて、女子がそれで盛り上がって、やろうってなってくれないかなーなんて思ってるのは内緒。
 
 



しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

出戻り勇者は自重しない ~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~

TB
ファンタジー
中2の夏休み、異世界召喚に巻き込まれた俺は14年の歳月を費やして魔王を倒した。討伐報酬で元の世界に戻った俺は、異世界召喚をされた瞬間に戻れた。28歳の意識と異世界能力で、失われた青春を取り戻すぜ! 東京五輪応援します! 色々な国やスポーツ、競技会など登場しますが、どんなに似てる感じがしても、あくまでも架空の設定でご都合主義の塊です!だってファンタジーですから!!

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

貢がせて、ハニー!

わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。 隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。 社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。 ※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8) ■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました! ■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。 ■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。

からかわれていると思ってたら本気だった?!

雨宮里玖
BL
御曹司カリスマ冷静沈着クール美形高校生×貧乏で平凡な高校生 《あらすじ》 ヒカルに告白をされ、まさか俺なんかを好きになるはずないだろと疑いながらも付き合うことにした。 ある日、「あいつ間に受けてやんの」「身の程知らずだな」とヒカルが友人と話しているところを聞いてしまい、やっぱりからかわれていただけだったと知り、ショックを受ける弦。騙された怒りをヒカルにぶつけて、ヒカルに別れを告げる——。 葛葉ヒカル(18)高校三年生。財閥次男。完璧。カリスマ。 弦(18)高校三年生。父子家庭。貧乏。 葛葉一真(20)財閥長男。爽やかイケメン。

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

処理中です...