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第2章

◇気持ちわるく……?*圭

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「織田」

 もう元からすごくカッコいいというのに。

 なんというか。こういう迫ってくる時、すごく男っぽくなるというのか。
 めちゃくちゃにカッコイイ雰囲気の高瀬が、オレのネクタイにも手をかけて、ゆるめてくるから、もうなすすべもない。ボタンを外されて、ドキドキしながら、高瀬を見つめる。

「何考えてた?」
「……っ……」

 ドキドキで死ぬ……。
 高瀬と居るとたまに思うことをまた思う。

「あの……」

 言おうとした唇に、ちゅ、とキスされる。

「……っ」

 優しく触れた唇が離れて、至近距離で見つめられると、ほんとに、し、心臓が……。

「……手、が」
「ん?」

「……高瀬の手が綺麗、で」
「うん。……それで?」

 クスクス笑いながら、その高瀬の指がオレの顎から頬に触れる。

「……ごめん、あの……」
「ん?」
「へんな、こと……思った」
「……変なこと? 何でもいいよ、何?」

 楽しくてたまんないって顔してるけどー。わーん、なんて言えばー!

「…………あの……」
「ん」

「……その、手で、オレのこと……い、ろいろ……触ってくれちゃうんだなぁって……」

 仕方なく、その通りのことを、簡単に言おうと思ったのだけれど。

 ……う。うわー、オレ、へ、変態なのでは。
 ごめん高瀬、こんな綺麗な手を見て、そっち思い浮かべるとか!

 言ったらますますヤバい気がしてきて、高瀬の顔を見ていられず、ぎゅ、と目を閉じた。

「ごめ、ん、変なこと言って……」

 俯いたまま、謝りかけたその時。
 顎に手がかかって、上向かせられて、焦って、目を開けたら。

 優しい顔で笑ってる高瀬がすぐ目の前に居て、そのまま、唇、塞がれた。

「ん…………っ……」

 舌がオレの口の中に入ってきて、優しく絡んでくる。

「……ん、ふ……」

 優しいキスに、気持ち悪くなかったのかなと、ちょっとほっとしつつ。
 いやでも、ちょっと気持ち悪いなーと思いながら、でもオレが焦ってるから、高瀬優しいから、キスしてくれてるだけかもしれないし。うわーん、どうしたらー……!

「……何で強張ってんの?」

 クス、と笑って、高瀬がオレを見下ろす。

「あの……気持ちわる、くなかった ……?」
「は?」

「……高瀬の手、見て……妄想……」

 言った瞬間、高瀬は、クッと笑い出した。そのまましばらく、笑ってて。
 次何言われるんだろうと、ドキドキしてるオレに。

「そんなの嬉しいだけだけど?」
「え」

「期待に応えてあげないと、て思うだけ」
「……期待……」

 期待……したわけじゃ……。
 あ、でも、この手で触ってほしいって思ったから、考えたって、ことなの? オレ。てことはやっぱり期待して……?

 って恥ずかし!!

 それを思いっきり、高瀬に言ったってことかー!!
 わーん!! すげーヤバいじゃん!! 

 ますます恥ずかしくなって、真っ赤になったと思うオレを見て、高瀬はクスクス笑って、瞳を細めてくる。

「そんなに期待されて、真っ赤になられると……」
「ち、ちが……」

「可愛くてしょーがないんだけど」
「…………っってか……」
「ん?」
「気持ちわるく、ないの?」

 しつこく確認したオレに、高瀬は、なんだか変な顔をして固まって、両手で、オレの頬を挟んで、真正面から見つめてきた。

「オレが織田のこと、気持ち悪いなんて言うはずないだろ」
「…………」

 それは。すごく。 ……嬉しいなと。
 あほなオレは、すぐ、ほわほわと舞い上がる。
 

 
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