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第2章
◇キャパオーバー*圭
しおりを挟む今までで一番、激しかったかも……と思う行為がやっと終わって。
ぼーーーっと、してる間に、色々洗われてしまった。
その間にお湯を張っていたバスタブに、引き込まれて。
後ろから抱き締められて。お湯につかって、なんだか、ほっと息をつく。
「……きつかった?」
「――――……」
ちょっと笑いを含んだそんな質問に、思わず振り返って、高瀬を見つめる。
首を横に振って、視線を合わせる。
「ごめんな。なんかすごく可愛かったからさ」
「――――……」
……見つめ合ってそんな風に言われるとか。
高瀬って、何で恥ずかしくないんだろうと、思いながら。
顔が熱くなる。
高瀬は、くす、と笑って、オレをまた後ろからぎゅっと抱き締めた。
「なんかさ、織田の兄さんに認めてもらうとか……」
「――――……」
「……こんなに嬉しいんだなーって。ちょっとヤバかった」
「――――……ありがと」
「ん?」
「……そんな風に言ってくれるの、オレも嬉しいし」
「――――……」
また高瀬が笑う気配。
ちゅ、と、うなじにキスされた。ぴく、と震える。
さっきまでの行為で、体ん中、まだホワホワしてて。
体、敏感というのか。
……できたらあんまり、必要以上に触れないでほしい、ような。
「織田」
「?」
振り返ると、高瀬が、ふ、と笑む。
「――――……織田はさ、オレと居て、幸せだって感じる?」
「――――……」
うんうんうんうん。当たり前。
いっぱい頷いておく。
すると、高瀬は、うんうんしすぎ、とクスクス笑って。
ちゅ、と唇にキスしてくる。
「……オレ、こんなに好きだって思うの、初めてでさ……」
「――――……」
「もしかしたら、行き過ぎる事とか、あるかも。そう思ったら、言って?」
「――――……」
行き過ぎる事? なんだろう、あるかな……?
しばらく、ぽーーっと考えて。
「思い当たらない……ていうか。オレの方こそ……」
「ん?」
「高瀬の事、好きすぎて、変なことしたら、ごめんね?」
そう言ったら、高瀬が背後でクスクス笑う気配。
「……ほんと織田って、素直でまっすぐでさー…。織田のそういう所見てると、すごい和むし、可愛いなあって思うし」
よしよし、と撫でられてる内に。
何だか我慢できなくなって、オレはくるっと振り返って。
ぎゅう、と抱き付いた。
「高瀬」
「ん?」
むぎゅっと抱き付いてたのを、少し離されて。
高瀬がオレを、見つめる。
「――――……ありがと」
なんかもう。全部ありがと。今日一日全部ありがと。
一緒に居てくれて。優しくしてくれて。
全部言うのはなんか恥ずかしいので、一言だけで伝えると。
ふ、と瞳が優しく緩んで。
どき、と、また心臓が音を立てる。
ゆっくり、キスされて。ドキドキが、速くなる。
「……あのさ、高瀬?」
「ん?」
「高瀬って、こういう時さ」
「ん」
「……」
ドキドキする??
と聞こうとして、あれ、でもドキドキしてなかったらどうしよう。なんかオレばっかりドキドキいつまでもしてるっていうのもどうなんだろう、と、あれやこれや考えて、聞けずに固まっていると。
「こういう時、何?」
「……あの――――……」
うぅ。高瀬はドキドキしないかも。
別にオレの事好きじゃないとかじゃないと思うけど、オレが、いつまでもドキドキしっぱなしなのが逆におかしいのかもしれないし、そろそろ慣れろっていう話……???
言えないでいると、ふと、高瀬の手がオレの頬を挟んだ。
「こういう時、なに?」
ふ、と笑まれる。
――――……なんかもう。
かっこよすぎ、なんですけど。
水も滴る……って、高瀬の事だよね、絶対。
「あの……ドキドキ、する……??」
「――――……」
嘘をつけずに聞いた瞬間。
少しだけ瞳が大きくなって。それから、くす、と笑われた。
「――――……決まってるだろ。 オレ、初めて、こんなに好きだって、言ってるし」
そのまま、ちゅ、と頬にキスされて、抱き締められる。
抱き締められると。
高瀬の、心臓の音が、伝わってきた。
速い。
ああ、もう。
好きすぎて、倒れて、ごろごろ転がりたいって。
なんなんだろう、ほんとにこれ。
キャパオーバーなんだよね、高瀬って。
転がる訳にはいかないので。
ぎゅ、と背中に腕を回して、抱き付いてみた。
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