【FairyTale】 ノンケ同士×お互い一目惚れ。甘い恋♡

悠里

文字の大きさ
上 下
175 / 236
第2章

◇参る*拓哉

しおりを挟む

「なあ、織田」
「ん?」

 幾つか色んな店を見ながら、何をお揃いにしようか迷っていたのだけれど。
 ふと、思いついた。

「タイピンはどう?」
「タイピン?」

「毎日つけてるし、お互い良く見えるし。完全に同じにしなくても、一緒に買ったって、思ってられれば良くないか?」

 どうかなーと思いながら、そう聞いたら。
 少し考えた織田は、ぱっと笑顔になった。

「すっごく良いかも! つけてるのがずっと見えるっていうのが、めちゃくちゃ嬉しい」
「――――……ん。じゃあそうしよ」
「うん! 高瀬、さすが、名案」

 なんかあまりに素直に嬉しそうに笑われると。
 一瞬、返答に困る。 ……可愛すぎるよな……。

 ブランド物のスーツを各種置いてある店があって、そこに行ってみたら、タイピンも種類がたくさんあった。
 中から、同じブランドで似たような形の物とか、模様が少しちがう物をとりあえず3種類ずつ。お互いへのプレゼントにした。 

「月曜からつけようね」

 織田は小さな紙袋を持って、めちゃくちゃウキウキした顔で、隣を歩いてる。

「誰にもバレないし、でも自分たちお揃いって分かってるし。なんか嬉しい」
「そうだな」

 笑顔、ほんと。可愛い。
 でっかい瞳が、キラキラしてるし。

「他に行きたいとこある?」
「んー。オレはもう良いかなあ。高瀬は?」
「オレももういいや。じゃあ、夕飯買って帰ろうか」
「うん。今日は帰って飲もう~」
「ん」
「何食べようね?」 
「そーだなあ……織田は何食べたい?」
「んー。なんか美味しいサラダが食べたいなー」

「いいね。あとは、焼き鳥?」
「うん、焼き鳥食べたい」

「焼き鳥はいつもだな」
「うん、大好き」

 うまそうに食べるもんな。
 いつもの織田を浮かべると、クスクス笑ってしまう。

「高瀬はおつまみだと何が良いの? いつもオレの好きなものになってる気がするんだけど」
「んー……織田の焼き鳥みたいに、絶対これってのはないんだよな……ああ、でも今日はなんか、刺身が食べたいかも」
「じゃあお刺身も買っていこ」

 総菜や食料品を売っている所に向かいながら、話していると、織田が「あ」と声を出した。ポケットでスマホが震え出したらしく、画面を見て、オレを見上げた。

「俊兄だ。ちょっと待ってね?」
「ん」

「もしもーし、俊兄? うち着いた? ん。うん。……うん」

 楽しそうに話していたのだけれど、最後の方、ちょっと首を傾げていて。
 通話が終わってから、どうした?と聞くと。

「んー……? なんか、後で家着いたら、電話してだって。静かなとこで話したいからって」
「ふうん?」

「あ、高瀬に、ほんとにありがとうって言ってたよ。2人が、圭ちゃんと拓ちゃんと遊ぶって、ずっと言ってるらしいよ」
「そうなんだ。可愛いな?」
「うん」


 ――――……圭ちゃんと、拓ちゃん、て今は、普通に言ったな。


「織田」
「うん?」
「オレの事、名前で呼ぶ?」
「え」

 びっくりした顔でオレを見上げて――――……思った通り、赤くなる。


「……な、んで急に?」
「今、 拓ちゃんて言うの聞いて、思っただけ」
「――――……後で考えて、良い?」
「……いいよ」

 ……可愛い。真っ赤。
 

「……高瀬は、呼べるの? オレのこと」
「呼べるけど」
「あ! 待ってっ」
「え?」
「……っ今呼ばれたら、死ぬからやめて」
「――――……」

 ……死んじゃうのか。
 クッと笑ってしまうと、むむ、と織田がオレを見上げて、ちょっと膨らんでる。

「早く買って、早く帰ろ?」

 思う存分、触りたいから。
 そんな風に思うのも。ほんとに織田が可愛いから。

 ほんと、参る。




(2022/2/24)
しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

貢がせて、ハニー!

わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。 隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。 社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。 ※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8) ■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました! ■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。 ■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談?本気?二人の結末は? 美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。 ※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

処理中です...