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第2章

◇ばったり*圭

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 プラネタリウムは、1時間。
 まあ、結構長い。

 高瀬にも言ったけど、結構ねむっちゃう子とか、ほんとに居た。

 そういうの怒ったりはしないけど。
 やっぱり、一緒に見たくて連れて行ってるから、寝られちゃうと、ちょっと残念。

 高瀬は、優しく繋いでる手の親指を、なんだか、ずっと、オレの手に優しくスリスリしてて。

 星座が、空いっぱいに描き出されたりすると、織田は何座?とか聞いてきてくれて。それあるの?とか。探してくれたり。
 なんか。めっちゃ楽しい時間を過ごしてしまった。


 プラネタリウム上で、朝日が昇ってきて。空が明るくなって。
 明るくなる前に、指が、そっと、離れた。
 音楽が流れて、終了。
 アナウンスが流れて、非常口や、場内のライトが明るくなった。


 背もたれから体を起こして、同じように起き上がった高瀬と、見つめ合う。
 なんか暗闇で、ずっと手を繋いでたから。

 なんか、すごく、気恥ずかしい。

 
「どうだった? 高瀬」
「――――……すげー綺麗だった」

「よかったー」

 客が皆それぞれ立ち上がり出口に向かっていく。
 それを何となく目に映しながら、オレは高瀬を見つめた。


「オレ、高瀬と見れて、すっごく嬉しかった」
「――――……」

 ほんとにすごく嬉しかったので、まっすぐ見つめたまま、そう言ったら。
 高瀬は、ちょっと驚いた顔をして。

 それから、ふ、と微笑んだ。


「……オレも」

 高瀬がそう言ってくれて、まっすぐ見つめてくれる。


 今まで何人も連れてきたけど。
 高瀬と見てるのが、一番楽しくて、幸せだった。

 
「出よっか、そろそろ」

 そう言いながら立ち上がって、んー、と背伸び。



「ブラブラしながら、お昼食べるとこ探す?」

 高瀬を振り返ってそう言うと、一緒に立ち上がった高瀬も、そうだな、と笑って。ふ、と不思議そうな顔で、少し下に視線を向けた。

「ん? どうし――――……」


「……圭ちゃん??」


 え?
 ――――……圭ちゃん?

 急に聞こえた可愛い呼び方。
 咄嗟にその方向を見下ろしたら。


「圭ちゃん」


 え。この、顔。


「くるみ……??」

 名前が口をついて、零れた。


「わー、圭ちゃんだー!」

 思わずしゃがんだら、わあい、と抱き付いてくる。
 すると、すぐに脇からもう1人。

「圭ちゃん!」
「まひろ――――……て、ことは……」

 来海くるみ真宙まひろに抱き付かれて、それを受け止めながら、周囲に目を向けると。

「おー、圭! 偶然だな!」
「わー、俊兄だー」

 兄の、俊也しゅんやと、娘の来海と、息子の真宙。


「麻理さんは?」
「麻理が今日でかけててさ。2人をプラネタリウムに連れてきたんだよ」

「そうなんだー、2人もプラネタリウム好きなの?」
「そう」

「俊兄の子だもんね――――……あ、ごめん、高瀬」


 突然現れたちびっこと、俊兄。
 ちびっこ2人を見下ろしていた高瀬に呼びかける。


「オレの一番上の兄貴で、俊也兄と……その子供で、来海5才と、真宙4才。で、俊兄、こっちは――――……えっと、会社の同期の、高瀬、だよ」

 どちらも紹介すると、高瀬と俊兄が、どうも、と笑顔。

「圭ちゃんのお友達?」

 来海が、高瀬を見上げている。
 高瀬は、ふ、と笑うと。

 しゃがんで、来海をまっすぐ見つめた。


「そうだよ。よろしくね」

 なんだかものすごく、優しく、笑う。

 来海は、ほわわーーーん、としばし、高瀬を見つめた後。


「だっこ」

 と言った。高瀬に。


「「えっ?」」

 オレと俊兄は、びっくりして、同じ言葉。
 高瀬は、ふ、と笑うと。

 ひょい、と来海を抱きあげて、立ち上がった。


「た、高瀬?」
「オレ妹もいるし、親戚の子も結構いたんで……なんかよく抱っこせがまれてたんで、慣れてます」

 妹って……絵奈ちゃんは、2.3こ下だから、さすがにだっこはしてないよな? 子供になれてるってことか。



 なんか、意外過ぎる……。



 ていうか、来海……。


「――――……ねー、俊兄」
「あー」

「来海ってさあ…」
「んー……」

「……イケメン好きだっけ……」
「そー……なんだよなー……」


 ひしっと、高瀬に張り付いてはがれそうにない。


「けいちゃん、だっこ」

 お、真宙はこっちに来た。
 ひょい、と抱き上げる。

 変な空間。
 オレと高瀬が1人ずつ子供抱っこして、俊兄が手が空いてて、笑ってる。


「すみません、外におねがいします」

 係の人に言われて、周りに人が居なくなってる事に気付く。


「とりあえず外で話そう」

 俊兄に言われて、高瀬と、ちびっこ抱っこしたまま、並んで歩く。
 目があって、ぷ、と笑ってしまった。






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