【FairyTale】 ノンケ同士×お互い一目惚れ。甘い恋♡

悠里

文字の大きさ
上 下
125 / 236
第2章

◇トラブル発生*圭 1

しおりを挟む
 今日のお昼は高瀬と一緒に、天丼を食べに行った。
 でっかい海老天がすごくて、海老天と自分の写真まで、高瀬に撮ってもらってしまった。

「美味しかったね。でも、おなかいっぱいすぎ……」
「織田の顔より海老天でかかったもんな」

 クスクス笑う高瀬。

「夜は軽いものにしよっか? 高瀬何がいい?」
「何でもいいよ」
「考えとくね」

 結局今日も高瀬の家に行く約束をしたので、夕飯の事まで考えながら、職場へのドアを開いたら。

「――――……何か、変だよ、高瀬」
「……んー、そうみたいだな……」
   
 昼食に出るまでと、明らかに雰囲気か違う。普段基本的に座ってる人の方が多いフロアーなのに、何だか、やたら立ち上がってる人が多くて、あちこちで集まってる。
 各チームがそれぞれがざわついてる事はたまにあるのだけれど、なんだかそれとは、雰囲気が違う。全体がざわついている感じ。

「なんだろ??」

 オレが言うと、高瀬もんー、と周囲を見回している。
 部長の所に各チームの責任者が集まってて、只事じゃない雰囲気。

「先輩、何があったんですか??」

 太一先輩がもう戻ってきていたのでそう聞いたら、参ったなーという顔で教えてくれた。

「埼玉の方で担当したシステムにトラブルだって。かなり大規模な障害らしくて、本社に応援要請が来たの。 ただ皆それぞれ抱えてる案件があるから、各チームから何人かずつって事になるみたい」
「そんな事もあるんですね……」
「こんな騒ぐのは、めったにないかな…… 大体、担当部署とその周囲で片がつく事の方が多いから。こんな、本社の精鋭集めて埼玉まで行こうなんて、滅多にないかな。今回は謝罪にも回んないといけないから、営業の奴らも駆り出されるって」
「はー……大変なんですね……」

 一緒に聞いてた高瀬と、視線を合わせて、何となく無言。

「だから誰が行くにしても、そいつの仕事が、残った奴に回るから、全員残業、だろうな…… とりあえず今誰が行って残りの仕事どうするかとか、協議中だから、しばらくは自分の仕事少しでも進めといて」

「はい」

 2人で返事をして、パソコンに向かう。

 プログラムのチームだけじゃなくて、奥の営業や経理ゾーンもバタバタしてて、広いフロアー全体がざわついてるなんて、入社して初めて。

 そんな大きな障害対応なんて、たぶん自分には回ってこないと思うけれど、何だかすごくそわそわする。
 太一先輩や渡先輩も呼ばれていって、各担当業務の確認など色々打ち合わせてる。

「――――……なんか、すごいね……」
「そうだな…… まあ、間違いなく残業だな」
「仕方ないね……」

 高瀬とそんな話をしながら、ぼんやりと周囲を見ていたら。
 各チームの責任者たちがまた部長のもとに集まっていく。太一先輩達が戻ってきた。

「うちのチーム、3人出そうかな。渡も行きそうだよな」
「今オレの案件とりあえず納期まだだしな……」

 渡先輩、行くんだ。そっか。
 そう思った瞬間。

「オレが行くなら、高瀬も行くか? めったに経験できないし。一から教えてはやれないけど、お前なら即戦力で役立つだろうし」

 渡先輩が急に、高瀬にそう振った。

「オレが行って邪魔にならないですか?」
「邪魔にはなんねえと思う。このまま家帰って、とりあえず3日分くらい着替え持って、埼玉行くんだけど、都合は?」
「あ、泊まりなんですか?」
「そう。なんか、埼玉の会社の隣にビジネスホテルがあるらしくて、そこに部屋をとって休みながら、24時間フル稼働で交代でだって。片が付くまで超大変だと思うけど……」

 うわー……マジで大変そう……。

 高瀬は、黙って聞いていたけど。

「分かりました。行きます」
「ん、オッケイ。まあ、最悪だと思うけど、良い経験にもなると思うよ」

 渡先輩の言葉に、高瀬は苦笑い。


「おー…… 頑張れよ、高瀬」

 太一先輩も苦笑いしながら、ぽんぽんと背中を叩いてる。





しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

出戻り勇者は自重しない ~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~

TB
ファンタジー
中2の夏休み、異世界召喚に巻き込まれた俺は14年の歳月を費やして魔王を倒した。討伐報酬で元の世界に戻った俺は、異世界召喚をされた瞬間に戻れた。28歳の意識と異世界能力で、失われた青春を取り戻すぜ! 東京五輪応援します! 色々な国やスポーツ、競技会など登場しますが、どんなに似てる感じがしても、あくまでも架空の設定でご都合主義の塊です!だってファンタジーですから!!

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

貢がせて、ハニー!

わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。 隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。 社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。 ※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8) ■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました! ■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。 ■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。

からかわれていると思ってたら本気だった?!

雨宮里玖
BL
御曹司カリスマ冷静沈着クール美形高校生×貧乏で平凡な高校生 《あらすじ》 ヒカルに告白をされ、まさか俺なんかを好きになるはずないだろと疑いながらも付き合うことにした。 ある日、「あいつ間に受けてやんの」「身の程知らずだな」とヒカルが友人と話しているところを聞いてしまい、やっぱりからかわれていただけだったと知り、ショックを受ける弦。騙された怒りをヒカルにぶつけて、ヒカルに別れを告げる——。 葛葉ヒカル(18)高校三年生。財閥次男。完璧。カリスマ。 弦(18)高校三年生。父子家庭。貧乏。 葛葉一真(20)財閥長男。爽やかイケメン。

手紙

ドラマチカ
BL
忘れらない思い出。高校で知り合って親友になった益子と郡山。一年、二年と共に過ごし、いつの間にか郡山に恋心を抱いていた益子。カッコよく、優しい郡山と一緒にいればいるほど好きになっていく。きっと郡山も同じ気持ちなのだろうと感じながらも、告白をする勇気もなく日々が過ぎていく。 そうこうしているうちに三年になり、高校生活も終わりが見えてきた。ずっと一緒にいたいと思いながら気持ちを伝えることができない益子。そして、誰よりも益子を大切に想っている郡山。二人の想いは思い出とともに記憶の中に残り続けている……。

処理中です...