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第2章
◇帰り道*拓哉
しおりを挟むあの後、温泉に入って朝食を取って、近くの公園を散歩したりしてから帰路についた。
「――――……」
朝から盛ってほんとごめんな、と思いながら。
隣でスヤスヤ寝てる織田の頭を撫でた。
昨日も寝かせなかったし。朝も、だし。
寝顔可愛いな。
……まあ話せなくてちょっと、つまんねーけど。
もう今日はこのまま織田んちに荷物取りに行って、うちに連れ帰ろう。夕飯は外出ればいいか。あ。焼き鳥食べに連れてこ。
今日の予定をなんとなく決めながら、車を走らせる。
――――……楽しかったな。
初めてあの旅館に行ったのは、大学生の時のグループ旅行で、誰かが、口コミがいいからと予約したのがきっかけ。一回で気に入って、その後何回か誰かを誘って行った。付き合ってた彼女を連れて行った事もあったけれど、途中からは1人で浸りたくなって、誘わなくなった。
なんとなく疲れた時や1人になりたい時に、予約が取れたらふらっと行って、温泉や食事に癒されて。観光地に寄るとかもなく、家から旅館まで、直行直帰。
そんな感じで、過ごしてた。
1人で行くのが一番快適で、良かったのだけれど。
「――――……」
1人で行くより、織田と一緒の方が、楽しかった。
――――……つか。
………そもそも水族館に行ってやろうかなとか。
………イルミネーションがどうとか。
そんなの、そもそも柄じゃない。
今までのオレは、しなかったのに。
織田が、笑うのが、可愛すぎるからだなー……。
――――…… 全部ツボすぎて。可愛すぎて。
………ほんと。昔のオレを知ってる元カノとかが、今のオレを見たら。
絶対退くだろうな……。
なんて、浮かんで。
――――……何考えてんだか、と自分に突っ込む。
「――――……たかせー……」
うーんうーん、となにやら唸ってる。
人の名前呼びながら、悪い夢でも見てんのか。
ぷ、と笑って。
面白いので、赤信号を良い事に、しかめっつらで 苦しんでるのを眺める。
何の夢だよ。
……苦しんでるけど。
起こす? ねかせとく……?
もう信号が変わる。
……ま、いいか。寝かせとくか。
「……たかせ……」
また呼ばれて。
最後に、織田の顔を見たら。
急に、ふわ、と微笑んで。
何やら、言葉にならない何かを、むにゃむにゃ言ってる。
「――――……」
……は。
――――…… くっ、と笑いがこみあげてきてしまった。
可愛すぎ、織田。
しかめっつらで、苦しんでる理由も知りたいけど。
笑った理由はもっと聞きたい。
……多分覚えてないんだろうけど。
1人クスクス笑いながら。
かなり機嫌よく、車を発進させた。
◇ ◇ ◇ ◇
旅行編おわりー(^▽^)
by悠里
69
★楽しんで頂けてましたら、感想頂けたら嬉しいです♡(好き♡とか短くても嬉しいです♡)
★ほかにも色々作品置いてます♡ 【恋なんかじゃない】
【ドS勇者vsオレ】
【愛じゃねえの?】
【Staywithme】
【やさしいケダモノ】
【溺愛ビギナー】
【水色の宝石】
【オオカミ王子は エサのうさぎが 可愛くて しょうがないらしい】
【Promise】
【ありふれた恋の音】
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