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第2章

◇翌朝*圭 1

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「――――……」

 眩しい――――……いま……何時だろ……。
 

 やけに白い眩しい光に、目を開けたら。
 高瀬と、目が合った。

 ふ、とその瞳が優しく緩む。

「おはよ、織田」

 頭、ナデナデされる。
 ――――……気恥ずかしい事、この上ない。

 でも、優しい手、そのままに受けて頷く。

「おはよ……何時……?」
「……7時前位」

「……朝、お風呂いく?」
「――――……行くか。……昨日シャワー、浴びないで寝たしな」
「……うん」

 頷くけど、だるくて、起き上がれない。
 高瀬の腕に引き寄せられて、むぎゅ、と抱き締められる。


「……体、だるい?」
「――……少し……」

「――――……キスマーク……なるべくつけないようにしたんだけど……」
「え?」

「温泉いくかなーとは思ったからさ……でも、やっぱり、いくつかつけちゃったな――――……ここと、さ……」

 首筋に、触れられる。
 少し離されて。浴衣を軽く開かれる。

「……っ」

「ここらへんと……」
 胸もなぞられて。

「あと下もかな――――……あんまり見られないように入ろうな?」
「――――……っっ」

 昨日すこしきつめに吸われて感じてたとこ、触られると、ゾクゾクする。

「っ高瀬、さわんの、やめて」
「ん……?」

 ぐいー、と腕を伸ばして、高瀬を離す。

「……朝から、もたない」
「だって、浴衣、可愛くて。今しかないだろ」

「……っっ」

 ああ、もう、寝起きの頭に、ついていけないレベルで、
 恥ずかしすぎる……。

 何も言えずにいると。


「……なあ、織田?」
「……?」

「……サカりすぎ、とか思ってる?」
「――――……え?」

 急にそんな風に聞かれて、固まる。


「……何それ?」
「だから…… オレ、さわりたいとか、キスしたいとか、抱きたいとか、すごい言ってるから…… セーブした方がいい?」

「………」

 そんな風に聞かれて。
 ……一瞬で、色々思ってしまう。

 つか、これ、オレ、何て答えるの?


 全然セーブしないで、どんどん来てって言うの? 
 それもなんか恥ずかしいし。

 ちょっとはセーブしてって言うの? つか、待って、ちょっとって何? 

 頭の中、ぐるぐるぐるぐる。
 ……困り果てて、高瀬を見返したまま、固まって答えを探していたら。

 高瀬が、ぷっと笑い出した。


「ごめん、何て答えていいかわかんねえか」
「――――……っ」

 うんうん。

「……じゃあさ。 オレに迫られるの、嫌な時、ある?」
「……ない」

「少しも?」
「……外とかは……声とか困るけど……」

「……じゃとりあえず大丈夫?」

「――――……なんの心配?」
「ん?」

「大丈夫って…… 当たり前じゃん。だってオレ、高瀬、好きだし」
「――――……」

「……オレとしたいって思ってくれてた方が、嬉しいし……とりあえず大丈夫なんて…… 心配しないでほしいっていうか……」

 って、もう朝から何の話なんだ……。
 なんか、オレが言ってるの、ちゃんと、答えとして、合ってる?

「……高瀬、それって、何、聞きたいの?」
「――――……しつこすぎて、嫌われないかなーと、思ってさ」


 そう聞かれたら、もう、即答。


「嫌う訳ないじゃん」

「ほんと?」
「ないよ」

 すぐ答えたら、高瀬は、そっか、と笑った。
 と、同時に。

 くるん、と体勢を変えられて。
 背を布団に、後頭部を枕に、ぽふ、と、沈められた。

「え?」
「……食事9時までに行けばいいし。お風呂いくにしても、まだ時間あるよな……?」

「――――……」

 クスクス笑う高瀬を見上げて、ちょっと焦る。

 え。いま?


「嫌じゃないんだろ?」
「――――……っ」

 言われて、言葉に詰まって。
 自分の上にいる、めちゃくちゃカッコいい男が。

 途端に、色っぽい空気をまとう。


「――――……なんかさ」
「ん?」

「……高瀬て、カッコよすぎて、ずるい」
「――――……」

 見上げながら言うと、高瀬は、可笑しそうに、笑う。

「何ずるいって。そんな事、初めて言われた」

「……言わないだけで、全員思ってたと思う」

「全員て?」

「こうやって、高瀬をみあげた人全員」
「――――…」

 高瀬が苦笑しつつ。オレの頬に触れてくる。


「――――…いいの、ダメなの? どっち?」

 ちゅ、と首筋にキスされる。


「………オレ、嫌じゃないて、言ったばっかり…」
「ん。ありがと」

 
 ………ありがとって言われるのもなんか、恥ずいんだけど。


 唇が重なるまで、高瀬の顔を、見つめてしまう。







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