【FairyTale】 ノンケ同士×お互い一目惚れ。甘い恋♡

悠里

文字の大きさ
上 下
102 / 236
第2章

◇勝てない*圭

しおりを挟む



 目の前の高瀬が、ビールの栓を抜いて差し出してくれるので、コップを持って入れてもらう。

「ありがと。……入れるよ?」
「ん」

 瓶を受け取って、高瀬のコップにもビールを注いで。
 2人でコップを合わせた。

 一口、飲む。
 

 ――――……ドキドキドキドキ。
 弾んだ心臓が、戻らない。 

 なんで、高瀬、あんな風に、急にキスするかな……
 もう ――――…… 無理。

 なんかもう……キツイ。
 ……なんでだろ、もう、どうしてあんなにキスうまいかな。

 受けるだけで精一杯って、情けないけど。
 ――――…… もー……。


 あやうく、反応するとこだった。
 ……もうギリギリ。 キスされただけで、なんて。もう。

 でも、オレがわるいんじゃない……。
 高瀬のキスがエロイからいけないんだー!

 心の中は色々叫んでる。

 でも、なるべく普通に、箸を進める。

 美味しいけど。 すごく美味しいけど、
 ――――……もう、体熱いし……顔もまだ熱いし。

「――――……焼き鳥うまい?」
「え…… あ、うん、すごく美味しい」

「たれと塩、どっちが好きなんだっけ?」
「どっちも好きだけど……塩の方が好きかな……」

 何とか答えられてる。はず。

 ……もう。……高瀬のバカ―!
 もうもう、オレ、なんか、背筋が、ゾワゾワするし。

 落ち着け。――――……早く、ご飯、食べて……風呂いけるかな……温泉入りたい……。

 せっかくのご飯に集中できなくて辛いので、なんとか意識を体から背けようとしてみる。

「高瀬、後で露天いこ? さっき行かなかった方」
「ん、いーよ」

「星、見えるかな」
「たぶん見れるよ。船でも割と見えてたし。さっきよりもっと暗くなってきたし」

「……オレ、星見るの好き」
「ふうん。そうなんだ」

 くす、と笑う高瀬。

「プラネタリウムとか、好きでさ。よく行ってた」

 星の話をしていたら、やっと、体から意識を離せて。ほっとする。

 ……てか。
 高瀬は、あんな風にキスしといて、全然平気な顔って。

 ……ずるい……。

「――――……織田、これ食べた?」
「え?」
「その緑のお皿」
「まだ。なに?」

「鶏肉。うまいよ。織田好きそう」

 ふ、と優しく笑う高瀬に、どき、と弾む胸。

 こんな事言ったらおかしいから言わないけど……。
 今……オレの事、まっすぐ、見ないでほしい。

 なんかオレ。
 ――――……見られるだけでドキドキすんの、ほんとやばい。

「あ。ほんとだ。美味しい」

 すっごい、美味しい。
 口に入れた料理が、思ったよりももっと美味しくて、もぐもぐ味わってたら。高瀬がふ、と笑った。

「プラネタリウム、今度連れてって」
「――――……え、あ。 プラネタリウム?」

「ん。オレ行った事ないから」
「――――……ん、いいよ。連れてく」

 なんか、なんか。
 ……連れてってって。

 ……可愛い、高瀬。
 連れてく連れてく。絶対連れてく。


「来週いこう、来週」

 乗り出して誘ったら、高瀬が「いいよ」と、楽しそうに笑う。


 楽しいな。
 ――――……なんかもう。ほんとに、高瀬が大好きすぎだよな、オレ。


「織田、酒頼む?」
「……ううん。もういいや」

 酔っぱらうと、ろくな事がない気がする。


「――――……高瀬、飲みたかったら飲んでもいいよ、頼む?」
「んー……オレもいいや。 眠くなりたくないし」
「うん?」


 ……て。眠くなりたくないって。

 ……眠らずに、何するか……。
 …… っ。


 わー、もう何も考えるな、オレ。
 高瀬ってば、完全に普通なのに。


 ぐるぐる色々考えていたら――――……。
 高瀬が、ぷ、と笑った。


「ごめん、わざと言ったけど――――……そんな、混乱されると」
「――――……」

「……そっち行きたくなるから、やめて」
「――――……」

 クスクス笑われて、もう、何も言い返せない。


 ――――……く……っ。高瀬、ひどい……。
 オレで遊ぶのやめて欲しい。



 まだ笑ってるし。
 …………だめだな、この笑ってくれてるのだけでも好きとか。


 からかわれて笑われてんのに、好きとか。
 ヤバいよね、オレ。

 ヤバいの分かってても、好き過ぎて。
 


「織田のそういうほんと素直ーな反応が、オレすっごい好きなんだけど」
「――――…………」


 そんな事言って、優しく笑ってるし……。
 ……勝てる訳ない……。



 



しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

貢がせて、ハニー!

わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。 隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。 社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。 ※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8) ■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました! ■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。 ■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談?本気?二人の結末は? 美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。 ※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

処理中です...