【FairyTale】 ノンケ同士×お互い一目惚れ。甘い恋♡

悠里

文字の大きさ
上 下
95 / 236
第2章

◇旅行*圭

しおりを挟む



 「……きもちよすぎる……」



 ――――……なんでオレが。
 今、箱根の温泉に、浸かっているかと言うと。


 今朝、高瀬に起こされて、「織田元気?」と聞かれて、ねぼけたまま「うん」と答えたら。用意されてたご飯を食べさせられ、着替えさせられ、車に乗せられて、あれよあれよという間に、連れてこられた、から。


「……高瀬、ここ、何? 気持ちよすぎるー……」

 ぼーーー、としながらそう言うと、高瀬はぷっと笑った。


「――……オレがたまに来るの、この旅館」
「そうなんだ……」

「良いだろ?」
「……うん。すっごく良い」

 旅館の雰囲気も、案内係の接客も、さっき食べたお昼ご飯も。
 で、今浸かってるお風呂も。

「今までで一番いいかも……」

「良かった。オレが大学生の時に初めて来てから、ちょくちょく来てるんだ。結構融通が利いて、時間合わせてくれるし」

「――――……そうなんだ……何で今日連れてきてくれたの?」

「オレが結構好きなとこだからさ。休みにたまに来るから……お前が気に入ったら、これからは織田と来ようと思って」

 ぱ、と顔をあげて、高瀬を見つめる。

「超、気に入った!」

 言ったら、高瀬は、ふ、と嬉しそうに笑った。

 どき。
 ――――……ああ、なんか。
 濡れた髪が、カッコイイ。

 色っぽいなあ。


「なんとなくさ。今日は混んだとこ行くより、静かに織田と居たくて」
「――――……」

 確かに。
 ここ来る前に寄ってきた水族館、少しは人も居たけど、人気が無い方に進めば、ほぼ2人きりみたいな感じで。

 すごいゆっくり回れて、楽しかった。

 アザラシ可愛かったなー……。


「高瀬、1人の時も水族館いくの?」

 言いながら、あ、そんな訳ないか、と思ったけど。
 案の定、ぴた、と固まられ、超苦笑いをされてしまった。

「んな訳ない」
「……ですよね」

 思わず敬語で答えると、高瀬はクスクス笑う。

「嫌いじゃねーけど、1人じゃ行かない。織田は好きそーだなーと思って」
「うん。好き。久しぶりに行った」

 そっか、オレの為に連れてってくれたんだ。
 高瀬が買ってくれた、アザラシのキーホルダーが超可愛かった。

「久しぶりだった?」
「うん。最後に行ったのは…… 去年の冬、かなあ」

 言いながら、あ。前の彼女だ、と思って、曖昧に答えた。
「ふうん……」とだけ答えて、高瀬はそれ以上は聞いてこなかった。


「……なんか、不思議。昨日の夕方まで働いてて、結構遅く寝たのにさー。
 午前は箱根の水族館に居て、こんな時間に温泉入ってるって」
「……楽しい?」

「うん。めちゃくちゃ楽しい。お風呂、誰も居ないってすごい」
「……ん」

「――――……!」

 ちゅ。
 急に、キスされて。 高瀬を見上げる。

「……誰も居ないとか言うから。 してほしいのかなーと思って」

 ニヤと笑われて。
 色っぽさに、どきん、と胸が弾む。

「……そんな、つもりで……言ってないよ」
「――――……もともと赤くなってんのに、もっと赤くなった」

 クスクス笑って、すり、と頬を撫でられる。

「……部屋戻ろうか。続きする?」
「……っ」

「いつもと違うとこで、明るい部屋で、織田に触るのもいいなあー……」

 ふ、と目を細められる。

「……っ……」

 かああああああっ。
 真っ赤になってると、高瀬がますます優しく笑う。

 
「でもな……行きたいとこあるから、やっぱり、夜まで我慢しようかな……」
「――――……っっ」

 手が耳に触れてから、すり、と首筋をなぞっていく。
 ぞく、として、首を竦める。


「――――……っやめ…… 触んないで……」
「ん?」

「……っ……反応しちゃう、だろっ」
「……いーよ、して」

「っ……どうやってここ出るんだよっもうっ」

 ぷ、と笑って、高瀬の手がオレの髪に触れる。


「もう、さわんの禁止にするからっ……」

 ぎゅ、と目をつむって、体を退くと。
 高瀬は、「へえ」と、ますます面白そうに笑った。


「――――……禁止でも、触るけど……?」
「――――……っ」

 その時、ドアが開いて、おじさんたちが3人現れた。急に騒がしくなって雰囲気が変わって、ほっとする。

 反応してしまいそうだった体も、急に落ち着いた。
 ……ああよかった。

 高瀬が、隣でクスクス笑ってるけど。
 ……何にも言わず、お風呂を出る事にした。


「温泉の後って、浴衣着てのんびりしたくなっちゃうの何でだろー」
「……オレも、浴衣着た織田に触りたいけど……」

 こそ、と囁かれて、目を見開く。

「……もう……っ……たかせっ!!」
 
「はは、真っ赤……――――……まあ、それは後にする。とりあえず、洋服着て。外行くから」


 ぽんぽん、と頭を撫でられて。
 むー、と口を噤んだまま、服を着た。



 もうもうもう。
 エロいんだもん。誘い方が。触り方が。

 ほんとにもう。


 

 ――――……大好きだけど。
 ああ、もう顔、あっつ。







しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

貢がせて、ハニー!

わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。 隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。 社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。 ※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8) ■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました! ■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。 ■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談?本気?二人の結末は? 美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。 ※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

処理中です...