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第2章
◇付き合い記念*圭
しおりを挟む何だか物凄く、ポワポワと浮いてるみたいな気持ちのまま、シャワーを浴びて出てきたら、高瀬が色々作ってくれていた。
「織田、ちゃんとご飯たべてきた?」
「ううん。 太一先輩、呼び出されちゃって」
「呼び出された?」
「うん」
言いながら、高瀬の出してくれるグラスを受け取る。
「彼女との約束、忘れてたんだって。眠りながら約束してたみたいで。急いで帰ってったんだよ」
「先輩らしいな」
クスクス笑いながら、高瀬が缶を開けて、グラスに注いでくれる。
「飲みながら、少し待ってて」
「うん」
「冷凍の焼きおにぎり、たべる?」
「うん」
「出てるの、先、食べてていいよ。あと少しで出来るから」
サラダや、焼き鳥や、お刺身とかがテーブルに並んでる。
こんな短時間で、ぱぱ、と作っちゃうんだな……。
「高瀬、料理もできるんだよね……」
「……ていうか、今おいてあるの、そこまで料理っていわねーけど。刺身は買ってきたやつだし。あとは冷凍」
「ちゃんと料理だよ。美味しそう」
「いつも、飲み会出てからそのまま泊り、だったからあんまり夜ちゃんと作って食べた事ないよな」
「……そうかも」
「今度はちゃんと作るから、家でも飲もうな」
「うん」
言われて、嬉しくなって、うん、と頷く。
少しビールを飲んでると、温まった焼きおにぎりと、だし巻き卵が出てきた。
「だし巻き、美味しそうー」
「いつも織田が喜ぶから、作った」
「わーい、ありがと」
言うと、高瀬はふ、と笑った。
「ん。食べよ」
「うん」
高瀬は、目の前の椅子に腰かけると、自分のグラスにも注いで。
少し飲んでいたオレのグラスにも追加してくれた。
「ん」
グラスを差し出してきたので、かちん、と合わせる。
「付き合い記念、な」
クス、と笑って、高瀬がオレを見つめてくる。
「……っ……」
今まで普通に話してたのに、一瞬なんて答えていいか分からず。
まじまじ高瀬を見つめてしまう。
「……っ……あのさ」
「ん?」
「――――……あの……オレの心臓が」
「心臓?」
「……もたないから、もうちょっと……」
「――――……」
「もうちょっと……緩めて」
「…………」
高瀬はしばし無言で。
クッと、笑いだした。
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