【FairyTale】 ノンケ同士×お互い一目惚れ。甘い恋♡

悠里

文字の大きさ
上 下
36 / 236
第1章

◇祭りの余韻*圭 2

しおりを挟む

 高瀬といつも、近づくと。
 高瀬のつけてる香水が微かに香る。

 それ位、近づいたんだって、そう思った瞬間もまた、どき、とする。
 勝手に反応する心臓に焦るけど、高瀬に気づかれないように。

「ここらへん……」
「うん。あ、これ、焼き鳥屋の人に撮ってもらったやつか」
「うん、そう」

 頷くと、高瀬が、ふ、と微笑む。

「ああいうの頼むの、織田、得意だよな」
「ん? 得意?かな?」

「頼むのも得意だけど、頼まなくても向こうから撮ろうかって話しかけられるとか。もう、特技だよな」
「え。そう?なのかな??」

 そんな特技ってある?と、正直、良く分からないけど、高瀬がクスクス笑ってて、楽しそうだから。
 まあ、いっか。と流してると。

「そういうのオレは出来ないし――――……すごい好きなんだよね」
「――――……」


 …………ん?
 ……すごい、好き? て、言った?


「全部送っといて?」
「え、あ。 うん。全部――――……オレの1人のも??」

 高瀬はマジマジと、オレを見つめて。
 ぷ、と笑う。

「ん。織田のも。送って?」
「――――……っ」

 赤面。
 しないなんて、無理。


 ――――……好きとか言うし。
 もう。高瀬って。ほんとに。


「……送るけど、落書きとかしないでね」

 なんだかとっても照れくさいので、ふざけてそう言ったら。
 面白そうにクスッと笑って。


「しないよ。――――……あ、でも。壁紙にしていい?」
「……………」

 ブルブルブルブル。
 言葉が出せず、ブルブル首を振ると。

 高瀬はもう可笑しくてたまらない、という感じで笑う。

 からかってばっかり、高瀬……。ほんとに。
 もう、なんて返したらいいのやら。黙っていると。


「怒んないで、織田?」
 クスクス笑いながら、高瀬が隣から覗いてくる。

「……怒ってる訳じゃないけど。……高瀬って、オレからかうの好きだよね」

 写真を全部選択して、送信ボタンを押す。

「送ったよ?」
「ん」

 高瀬がスマホを出して、確認してる。

「織田、楽しそう」
「うん。楽しかった。ていうか、高瀬も楽しそうでしょ?」
「――――……ん。そうだな」

 ふ、と笑って。
 オレに視線を向けてくる。

「――――……??」

 見つめられて、内心めちゃくちゃドキドキしていると。


「………織田と居ると、ほんと、楽しいから」
「――――……」

 …………だから、ほんとに。
 何て答えたら……。

「あと、オレ、からかってる訳じゃないよ。まあ……壁紙は、やったら怖いだろうからしないけど」
「……やっても怖くなかったら、やるの?」

 なんかもう。
 ドキドキしすぎて、茶化すしかできないオレに。

「織田が怖くないなら、織田が壁紙に居てもいいけど?」

 おかしそうに、クスクス笑う高瀬に。

 ――――……なんかもう。
 …………もう無理だ。

 コーヒーを飲んで誤魔化していると。


「んー……なんか、仕事する気、しないなー?」
「え?」

「なんかまだ祭りの余韻、ない?」
「……すっごい、ある」
「だよなー?」

 クスクス笑いながら、高瀬が背伸びした。


「――――……まあしょーがねえか。仕事するか……」
「うん」

 立ち上がった高瀬に頷いて、オレはコーヒーを飲み終えて、紙コップを捨てる。

「なんか美味いランチ、行こっか?」
「うん、行く行く」
「それ楽しみに、仕事しよ」

 高瀬が言ってくれた言葉に、嬉しくなって頷きながら、高瀬の隣に並ぶ。


 なんか、いっつも、隣に高瀬が居て。 
 いっつも、優しくて。

 居てくれるだけで、なんか、頑張ろうって思えて。


 こうして居られるの。
 いつまでかなあ。

 まあ。職場だけなら、異動が無い限り、居られるかも。


 社外でも、今みたいに、ずーっと、一緒にとか。
 …………無理だとは分かってるんだけど。


 やっぱり、少しでも長く、居れたらいいな。


 最近色々考えていると。
 結局たどり着くのは、いっつもいっつも、同じ事、だなあ……。


 ぼんやり考えながら。
 隣の、大好きな人を、見つめてしまうと。

 ふ、と笑われて。
 すぐ嬉しくなって。


 うーん。
 もう、意志の力じゃ、どうしようもないな、これ。

 なんて、思った。





しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

貢がせて、ハニー!

わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。 隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。 社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。 ※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8) ■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました! ■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。 ■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談?本気?二人の結末は? 美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。 ※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

処理中です...