20 / 236
第1章
◇高瀬の居ない飲み会*圭
しおりを挟む今日は、久しぶりに学生時代の友人達と飲む事になっていた。
午後の休憩時に話した時、高瀬もそうだと知った。
「高瀬は何人位で飲むの?」
「んー……10人位って言ってたかな。ちゃんと聞いてない」
「何の集まり?」
「ゼミの仲間」
「へえ。じゃあ、プログラムとかに詳しい人達?」
「まあそうだな。 同じような仕事についてる奴らも多いよ」
「……飲みながらそういう話すんの??」
「どうだろ……前は授業の話とかになるからしてたけど。卒業してから初だから」
「オレそこに居たら、酔えないかも……頭使いそう」
なんて言ったら、高瀬は、ぷ、と笑った。
「なんか、オレ、織田が居ない飲み会が久しぶりかも」
急にそんな風に言われて、そういえば、オレもそうかも、と思う。
同期、同僚、チーム……何にしてもいつも高瀬は一緒だから。
「オレ居ないんだから、あんまり飲むなよ」
「……今日は、高瀬、連れて帰ってくんないもんね」
オレ、何となく苦笑い。
「でもオレ、高瀬に会うまでは、ちゃんと自分でどうにかしてたよ?」
「――――……まあそうだろうけど。 とにかく飲みすぎんなよ?」
ふ、と笑いながら高瀬に言われ。
うん、と頷いた。
「高瀬はどこで飲むの?」
「新宿」
「あ、オレも。やっぱり皆が出やすいとこってなると、そこになんのかな?じゃあいっしょに新宿まで行ける?」
「集合何時?」
「18時って事になってる。遅れたら店に直行」
「同じようなもんだな……じゃ一緒に行こうぜ」
と、そんな会話をしてから、仕事に戻って、定時に無事仕事を終えた。
高瀬と一緒に新宿まで出て、別れて。
その後集合した、友人達と、店に入った。
「圭、仕事どう?」
「プログラムなんて、よく未経験で飛び込んだよなー」
「うん。オレもそう思う」
あはは、と笑うと、皆、苦笑い。
「出来てんの?」
「うーん……同期がすごいできる人でさ、助けてもらって何とかできるようになってきたかも。 先輩も良い人だしさ」
そんな風に話してたら、ふ、と高瀬を思い出して。
いつもこういう飲み会の時、必ず居る高瀬の姿が無くて、ちょっと寂しいと感じる。
もちろん、仲の良い奴らで、話してて楽しいし、顔を見れて嬉しいし。
でもなんか、高瀬、居ないなー……。
なんて、思ってしまって。
あぁ。オレ、どんだけ……。
なんて、思ってしまう。
いやいや、だめだ。
どんだけ依存して、のめりこんでるんだか。
高瀬に彼女とかできて、オレとあんまり居てくれなくなった時、ほんと、どーするんだ。
もうちょっと他にも目向けて楽しまないと。いや、楽しまないとってそもそもおかしい。 もちろんほんとに、皆と騒ぐの、楽しいものなんだし。
「なあ、メニュー貸して、なんか美味しいの飲みたい」
「あまいやつ?」
「うん、甘いやつ」
「これうまいぞー」
「え、どれどれ??」
皆でわいわいとりとめもなく、話していると。
やっぱり、これはこれで、すごく楽しいとも、思う。
「彼女できた?」
なんて、話題を振ってきた奴がいて、皆それぞれ話してく。
学生時代から付き合いが続いてる、最近別れた、新しく好きな人がいる。そんな皆の話をうんうん聞いていたのだけれど。
「圭は?」
話さずにいたら名指しで聞かれて。
「オレは…… うーん、気になる人はね、居るんだけど」
「え、珍しい。今彼女居ないんだ。 なに、アタックしないの?」
「……そう、だね。しない、かな……」
「彼氏持ち?とか?」
「いや……」
「……すごい年上とか?」
「……いや」
「バツイチとか? 何か問題ありな人?」
「……問題かー……」
……男、て事??
さすがに言えないけど。
「おいおい、変な女にひっかかんなよー?」
「圭、心配だな……」
むぎゅ、と左右2人に抱きしめられてしまう。
「マジで、やめて」
笑いながら引き離す。
「可愛がられて、すごい上の女とか――――……急に結婚しますとか無いよな?」
「いや、それはない……」
……女じゃないからなあ……。
「何かあったら言えよー」
「そうそう、オレらはずっと友達だからなー」
「うん。……ありがと」
「男が好き」って言っても、そう言ってくれるかなあ、なんて、少し思ってしまう。やっぱり、年上でも彼氏持ちでも、女の人だったら、言えるんだろうけど。男って、やっぱり、簡単には言えないなー……。
「……まあでも、毎日、楽しいんだけどね」
「なら良いけど」
「だよなー、好きな人いると、毎日なんか楽しいよなー」
「……うん、そうだね」
ふ、と笑う。
――――……どうしても 高瀬が浮かんできてしまって。
なんだか少し、胸の奥が、痛かった。
97
★楽しんで頂けてましたら、感想頂けたら嬉しいです♡(好き♡とか短くても嬉しいです♡)
★ほかにも色々作品置いてます♡ 【恋なんかじゃない】
【ドS勇者vsオレ】
【愛じゃねえの?】
【Staywithme】
【やさしいケダモノ】
【溺愛ビギナー】
【水色の宝石】
【オオカミ王子は エサのうさぎが 可愛くて しょうがないらしい】
【Promise】
【ありふれた恋の音】
★ほかにも色々作品置いてます♡ 【恋なんかじゃない】
【ドS勇者vsオレ】
【愛じゃねえの?】
【Staywithme】
【やさしいケダモノ】
【溺愛ビギナー】
【水色の宝石】
【オオカミ王子は エサのうさぎが 可愛くて しょうがないらしい】
【Promise】
【ありふれた恋の音】
お気に入りに追加
1,500
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
貢がせて、ハニー!
わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。
隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。
社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。
※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8)
■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました!
■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。
■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談?本気?二人の結末は?
美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる