【FairyTale】 ノンケ同士×お互い一目惚れ。甘い恋♡

悠里

文字の大きさ
上 下
14 / 236
第1章

◇特別に*拓哉

しおりを挟む


 どうしてこんなに。
 ――――……可愛いんだろ。


◇ ◇ ◇ ◇


 織田が行くなら行く。
 そんな風に言って、参加を決めてしまった。

「オレが行くなら行くの?」
 と、織田が驚いたように聞いてきた。

 前の花見の時、高瀬が行くならと言われたから、なんとなくその流れで言ったのだけれど。
 ――――……なんか自然と言ってしまったけれど、やっぱり、おかしい?

 戸惑っていたら、じゃあ行く、と笑った織田に少しほっとした。

 急に決まった飲み会だったのに、同期のかなりの人数が参加するらしい。かなり店を探したらしいけど、広い座敷の店が取れたとスマホに連絡が来た。

 一緒に終わった織田と何人かと一緒に、店に向かった。

 皆、研修で詰め込まれて考え尽くして、相当鬱憤がたまってるんだと思う。

 しょっぱなからかなり飛ばしてて、あまりにうるさくて、2階が座敷だけの貸切状態の店で良かったと思ってしまう。

「織田、唐揚げ来た」
「ありがと」

「焼き鳥もきた」
「ん」

 店員から受け取ったものを、織田の前に並べてると、織田がぷ、と笑い出した。

「自分で取るから、良いよ、高瀬ー」
「ん?」

「さきからオレの世話ばっかしてるし」
「……そうか?」

「オレの好きなもの、オレの前に並べてくれてるでしょ」

 クスクス笑う織田に、まあたしかに、と苦笑い。


「飲んでるかー!」

 織田の肩に手をかけながら1人がなだれ込んでくる。

「おお……つか、かなり出来上がってるし」

 クスクス笑ってる織田。だけれど。
 かなり近く、肩を抱いたままの手に、若干イラっとする。

「織田もっと飲めよ~」
「うん」

「好きなお酒、何?」
「んー……レモンサワー」
「オッケー」

 注文用のパネルで、レモンサワーを入れて。

「ぶどうサワーは?」
「好きだけど……」

「梅酒は?」
「飲めるけど……」

 はいはい、と、ぽちぽち押していく。

「え? 何全部頼んだの?」
「たまにはお前も羽目はずせー、なんかいっつも可愛いキャラでいないでさ」
「可愛いキャラって何だよ……」

 ぷ、と笑いながら、織田は目の前のビールを飲んだ。

「研修中もさ、お前っていっつもニコニコしてんじゃん。あの辛い研修で、一体何が楽しくてあんなにニコニコしてられんの?」
「え。 あー……いや、そんな事ないよ、唸ってる時だって結構あるし」
「いや、無いね。 オレの席からお前ってすげーちょうど良く見えるんだけど、いつも楽しそうすぎて、ほんと不思議」

 西田の言葉に、あー……と言いながら、織田は苦笑い。


「絡むなよ、西田」

 オレがそう言うと。「あ?」と振り返り。
 今度は、オレの肩をがつっと掴んでくる。

 ……果てしなく、迷惑。
 でも織田から手が外れたから、まあいっか。


「お前も、いっつも涼しい顔しやがってー」
「涼しい顔?」

 聞き返すと、織田が後ろで、ぷ、と笑ってる。


「何なの、高瀬って。そのルックスで、新入社員代表で、研修のテストの成績もダントツでさー。ひどくねえ?」

「ひどくないし。高瀬に絡むなー」

 織田が西田の向こうでそんな事を言ってる。
 何だか周りも巻き込んで、ほめられてるんだか、文句を言われてるんだか良く分からない時間が流れる。
 
 更に、あれやこれやとアルコールを頼まれて、オレも結構飲まされた。
 
 結構強い方なんだけど、さすがに熱くなってきたな。

 なんて思いながら、ふと、気づくと、織田が赤くなってて、何だか随分、トロトロしだしていた。
 眠そ。ていうか、結構飲まされたか。


「織田、平気か?」

 まだ織田の隣に陣取ってた西田をどけて、織田の隣に座った。


「水頼む?」
「あー……うん、ありがと、頼んでくれる?」

「結構飲まされた?」
「うん? あー……飲まされたっていうか……まあ、自分で、飲んだけど」

 あははははー、とか、笑ってる。


 ……あ、これ、結構キテるな。
 苦笑いしながら、水と、ウーロン茶を頼んだ。


「高瀬も、結構飲んだ?」

 じ、と見つめてくる。


「少しだけ赤ーい。 かわいー、高瀬」

 クスクス笑いながら、じっと見つめてくる。


 ……可愛いって。
 ――――……何だそれ。




 ――――……これは、かなり酔ってんな。








しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

貢がせて、ハニー!

わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。 隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。 社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。 ※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8) ■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました! ■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。 ■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談?本気?二人の結末は? 美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。 ※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

処理中です...