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第1章
◇花見でときめく*圭
しおりを挟む……超キレイ。
早く終わった同期が場所を取ってくれて、無事、来れた皆で花見中。
ライトアップされた、桜。
すごい綺麗。
この1週間、叩き込まれ過ぎた、プログラム言語。
今だけはもう全部忘れ果ててしまいたい。
桜のピンク色に、疲れた目と脳が、癒される気がする。
オレがぼーーーと、桜を見上げていると、隣の高瀬が、くす、と笑った。
見上げたまま隣に視線を向けると、高瀬が、ふ、と目を細めて笑った。
「――――……」
ドキ。
――――……どうして、高瀬って、優しく、オレのこと見るんだろ。
……意識してんのか知らないけど。……してないんだろうけど。
優しい笑い方、よくされる。……他の奴にも、こーしてんのかな。
オレは、もともと、高瀬にときめいちゃってるから。
そういう風に笑われると、ちょっと困る。
そのたび、胸が、とくん、と鳴ってしまう。
けれど悟られる訳にはいかないし。
オレは、一生懸命平常心を呼び起こしながら、高瀬に笑いかけた。
「高瀬、今週、いっぱいありがと」
「ん?」
「なんかいっぱい、助けてもらった気がするから」
「……んな事ないよ。それ、オレのセリフ」
そんな風に返されて、オレは、へ?と首を傾げる。
「オレ、高瀬、助けてないよ?」
言うと、高瀬はぷっと笑って。
また、目を細めて笑ったまま。オレの頭をポンポン、と撫でた。
「助けられてるから」
「……なにも思い当たらないんだけど」
「いーのいーの。 お前が同じグループでほんと良かったよ」
「――――……」
わあ、なんか。すっごい。嬉しすぎる。
……でも何も思い当たらず、首を傾げてしまうけれど。
でも笑ってくれるから、いいや。なんて思ってしまう、オレ。
「飲んでる? 織田」
「するめ食べる?」
後ろの皆に話しかけられて、うん、と笑う。
「するめ、しぶい。誰が買ったの?」
なんて、話してる隙に、ふと気づくと、高瀬の隣に女子たちが来ていた。
さすが、マークが厳しい。
――――……ていうか。
……うん、カッコイイもんね。
少しアルコールが入って、緩めたネクタイと外された第1ボタン。
会社ではきっちりとめてるとこしか見てなかったから、なんかすごく、どきっとする程、色っぽいというのか、ほんとに何てカッコいいんだろう、というのか。
色気、あるよなあ。
こういうのを、フェロモン? ていうのだろうか。
……ていうか、それを男のオレが感じ取ってどうする。
いいなあ、これだと、ほんと、何もしなくてもモテそう。
自分から行かなくても、周りが放っておかないよなー…。
オレが女子でも、絶対いくな。うんうん。
高瀬の周りに群がってる女子に、分かる分かると内心同意してしまう。
そのまま、しばらく高瀬とは離れて、他の皆ととりとめもなく、話し続ける。まだ知り合って数日。知らない事ばかりのメンバーなので、話は尽きない。
楽しいなー。
来て良かった。
桜を見上げながら、そんな風に思う。
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