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第2章
「キラキラ」
しおりを挟む残ってた皆も池の石を渡って落ちたり、橋を渡ったり。
「えー、渡れたのは三人だけ? 難しすぎない?」
あはは、と笑いながら進むと、少し先にあったのは、水遊びができるところ。
「あーもう、濡れたらここで遊べよってことか」
「らしいよ。しかもあの石渡るとこは、冬はやってないんだってさ」
「もう濡れるの前提かよー。ていうか、啓介も結局落ちたしね」
皆で話しながら進み、オレが最後にそう言うと、皆、おかしそうにまた笑い出す。
「雅己を助けようとしたんやし」
啓介は苦笑しながら言ってるけど。
「遠かったしー」
と笑いながらも、なんだかオレの心は、ぽかぽかしてるけど。
啓介は、絶対無理そうでも、助けてくれようとしちゃうんだなーなんて思って。
ふふ。
「どうせ濡れてる奴多いし。あそこで遊ぼうや」
啓介の言葉に、皆、嬉しそう。
浅めの人工の小川には、澄んだ水が流れてる。靴を脱いで、日当たりの良いところに置いて乾かしておいて、小川の中に入る。
「わー。気持ちいい」
「思えば、バスケとか、真夏に体育館こもって、なにしてたんだろうなって感じだよなー、この旅行」
「こういうのが旅行っぽいよな」
皆で、確かに、と言いながらも。
「まあバスケもめっちゃ楽しかったけど」
クスクス笑って、皆頷く。
小さい子たちもいっぱい居て、シャボン玉を飛ばしてる子たちも多い。
日差しの中、シャボン玉がキラキラ光って、飛んでいくのを、思わず目で追ってしまう。
すっげー、綺麗。キラキラだなあ。
ふふ、と微笑みながら、割れるまで見送ってると、ひょこ、と啓介に覗き込まれた。
「わ。何」
「――子供みたいな顔しとるから」
クスクス笑いながら、啓介がオレを見つめる。
「シャボン玉、すげー綺麗で」
「まあ分かるけどな」
啓介と並んで、シャボン玉を見上げる。
たまたま周りに誰も居なくて、二人だった。
「啓介?」
「ん?」
「――さっきさ。すげー笑っちゃったけどさ」
「ん」
「――助けようとして、一緒に落ちてくれるとこさ」
ん? と、啓介がオレを見つめ返してくる。
「なんか、すげー好きだった」
ふ、と笑いながらそう言うと、啓介はちょっとびっくりしたみたいな顔をしてオレを見る。
「爆笑してたやんか」
「うん。面白かったし。なんでか啓介が落ちてるとこ」
「まあ、せやな。意味わからんよな」
「うん。意味分かんなかったけど――でもね」
クスクス笑いながら、オレは、啓介を見上げた。
「オレも、啓介が困ってたら、絶対助けるから――って、思ったよ」
ふ、と笑ってしまう。なんか勝手に顔が綻ぶ。
「だから、すげー好きだなと思ったし。ありがと」
ちょっと最後の方は照れてきて、視線をシャボン玉に戻して、そう言った。
すると。
不意に、むぎゅ、と抱き締められてしまった。
「――――雅己、好きやで」
一瞬抱き締めて囁くと、ぱ、と手を離す。
その一瞬を見られて、見た先輩たちに「何抱きついてんだー」とツッコまれていたけど、なんか啓介はものともせず、はいはい、とあしらってる。
「もー……」
オレは、水をすくって、啓介の背中に、びしゃ! と掛けた。
「つめた……」
振り返って、笑う啓介。
なんかそこから、わーわーと水のかけあいが始まり、参加した皆はびしょぬれ、
川辺や木陰で休憩したり、しまいにはちびっこたちと遊び始めたり。
太陽の光が、水面に反射してキラキラして。
水しぶきも、キラキラで。
なんか本当に、楽しかった。
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