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第2章
「ずっと一緒に」
しおりを挟む実家へのおみやげと、啓介とのお揃いのキーホルダーをゲットして部屋に戻ると、皆がお風呂に入り終えたみたいで、布団の上に揃っていた。寝転がってたり、座ってたり、バラバラだけど。
「おっ帰ってきたー。話そうぜー」
なんて呼びかけられて、はーいと、自分の布団の上にのっかると、オレはうつ伏せになって、枕に顎をのっけた。なんとなく皆、適当に部屋の中心の方を向いて、まあるくなってる感じ。啓介はオレの隣の布団に座った。
「なんか高校の頃の合宿みたい」
一人がそう言うと、皆、クスクス笑う。
じゃあなんか、近況報告からしようぜ、なんて話になる。
端から順番にってことで、オレが一番になってしまった。
「えーと……大学は楽しく行ってて、授業が長いのも慣れたし。あと、啓介と暮らしだしたのはもう言ったけど。で、この旅行の後、啓介と海の家でバイトする。ってそんな感じ」
そう言うと、啓介ばっかだなーとか、色々笑いながら飛んでくるけど、そこはもうスルー。「はい、次、啓介」とオレが言うと。
「えーと。雅己のに、以下同文って感じ」
笑いながら啓介が言うと、皆が、どっと笑った。
「もうほんと、どーなの」
クスクス笑われるけど。
まあ隠すようなことでもないし。ていうか、今までもずっとそんな感じで来たし。これは別に、付き合ったとかそういうのは関係ないんだよね。
そのまま続く、皆の近況報告を聞きながら、笑ったりツッコんだり。
付き合い始めて、三ヶ月ですとか言う奴がいると、どんな子ーって盛り上がる。可愛いとか、優しいとか。好きなとこは、それぞれ皆、色々違うみたいで。
でも、ふと気付く。
付き合ってる、とか言うと。当然のように「彼女」なんだよね。
まあでも、オレもそう思ってたから、分かるけど。
もしかして、同性が好きな奴とか居たら。……ちょっと悪かったなぁ。居たかもしんない。
ここに居る皆に。いつか、啓介と付き合ってるんだって言ったら。
どうなるのかなあ。理解できなくて離れてくとかも、あるのかな。ちょっとそれは寂しい。
皆があれこれ盛り上がってる中、ふと、横で座ってた啓介が、オレを見下ろしてきて、目が合うと。
「……どした?」
微笑んで、聞いてくる。じっと見つめられて、ううんと笑顔で返す。
「疲れたか?」
くす、と笑いながら、啓介がオレの頭をぽふぽふと撫でる。
と。
「何。雅己、眠いの?」
先輩達が、啓介の動作に気づいて、オレにそんな風に聞いてくる。
「昨日からいっちゃん、はしゃいでた気ぃするしな?」
そう言ってクスクス笑う啓介。「眠くないし」と言いながらも、でもやっぱり少し眠いのかも。というか、布団に入ったら急に眠くなってきたというか。
「啓介、あんま、雅己を甘やかすなよ?」
「離れる時、雅己が困るよな」
……む。先輩達のそういう心配、ほんと、どうなってんの。
まあ……多分オレをからかって遊んでるだけなんだろうけど。まあいいんだけど。と思っていたら。
「離れないと思うんで」
と、啓介が言った。
皆、「えっ」と笑顔のまま固まった。オレは、笑顔じゃなくて、めちゃくちゃびっくりして固まっていると。
「そんな雅己が困るような感じで離れることなんかないんで。大丈夫ですよ」
啓介がそんな風に言うと、皆が、「ああ……??」と、納得したような不思議なような、変な声を出してる。オレがドキドキしながら、枕に口元埋めていると。
「ずっと一緒っていう話なのかと思った」
一人がそんな風に言うと、「オレもそう思った」と笑う皆。
「その内、付き合うことにしたーとか言いそうだな?」
一人がちょっと突っ込んだことを言ってきたけど。これも別に。絶対冗談として言ってる。啓介は、完全に涼しい顔してるし。
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