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第2章

「やきもち」

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「志門、こっち!」

 フェイントでマークを外して、志門を呼ぶ。パスされたボールを受け取って、スリーポイント。
 ――――綺麗に入った。

 すげー気持ちイイな。
 と思った瞬間。はっと、啓介の視線に気づく。
 けど。試合中は呼ぶの、しょうがないだろ、と、あっかんぺーをして見せた時。

「お前のシュート姿勢、すげー綺麗だな」

 志門が駆け寄ってきて、そう言ってくれる。

「ほんと?」
「あぁ。打った瞬間に入るって確信するっつーか」

「マジでー? まあ、でも師匠がいるから、オレ」
「師匠?」
「って、あ、やば!!」

 無駄に話してたオレらを置いて、攻められてて、最後啓介にボールが渡ってしまった。もはや絶対見せつけている、お手本のような、スリーポイントシュート。すとん、とボールがゴールに吸い込まれて、落ちた。

 べ、と啓介がオレにお返しのあっかんべーをしている。


「……師匠はあいつですよー」
「え……ああ」
 むむむと眉を顰めながら言ったオレに、志門は、ははっと笑って、「なるほど」と言った。

「確かに、スリーポイントの見本みてぇ」
「でしょー。ムカつくよねー、あれ」

 渡されたボールをドリブルしながら、チームの奴に回す。
 走って敵コート、と思った瞬間、啓介がオレについた。

「……っ」

 啓介にマークされるのが一番嫌い。
 なぜなら。

「……っ」

 パス、止められた。
 そのまま、啓介から敵チームでパスが通って、シュート。

「ほんと啓介のマーク嫌い―!」

 むー、と睨むと、啓介は、ふ、と苦笑い。

「絶対ぇ抜くし! 志門、いいとこでパスくれよ!」

 めっちゃ真剣な顔してるオレを見て、志門は面白そうな顔をして、「オッケー」と笑った。

 で。
 めちゃくちゃ盛り上がった。むしろ一試合目より、混ぜ混ぜにした二試合目の方が、超盛り上がった。……まあ、オレのせいかもしれないけど。



◇ ◇ 

 結局、三試合して、終了することになった。
 名前も結構覚えてきて、お互い、すっかり仲良くなってるし。

 スポーツっていいよな。って、こういう時、ほんと思う。
 他のこと、全然知らない奴らなのに。
 
「また夕食ん時に、バーベキューで会おー」
「おう。十八時になー?」
「またあとでー」

 体育館の掃除をして、旅館まで戻って、とりあえず志門たちのチームと別れた。皆汗だくなので、準備出来次第でシャワーを浴びることになって、部屋と大浴場とに別れた。

 シャワーを手っ取り早く浴びて、啓介と並んで部屋に戻ってる時。
 志門たちとすれ違った。

「あ、お疲れー。早いな」
「うん。もー早く浴びたくて。あとでねー」

 バイバイ、と手を振って、別れる。後ろに居る皆も、じゃーなーとか言ってる。

「朝まで知らなかったのに。楽しいよね、こういう感じ」

 ふふ、とオレが笑うと。
 啓介が、せやな、と言いつつも。

「あんま仲良すぎると、妬くから」
「……嘘だろ」

「ほんま」
「……嘘だよな??」

「本気」
「んーもー。……あ、もう疲れた。オレ、バーベキュー迄、寝ることにする」

 言いながら部屋に入ったオレは、昨日寝てた布団をよいしょ、と広げて、ころんと横になった。

 もーほんとに。

 バスケん時もだったけど。普通に「妬くから」とか。

 ……なんかアホなこと言ってるなーと思うのに、なぜかちょっと啓介のことが可愛く思えてしまう自分に困惑中。









◇ ◇ ◇ ◇


(2024/3/28)

ヤキモチって。適度なら可愛いですよね(*´ω`*)
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