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第2章
「中高生みたいな」
しおりを挟むジェットバスで、泡にぶくぶくされながら、気持ちいいねーなんて話しながらふと思う。
「確かに高校ん時からずっと居たね」
「ん。ずっとな」
今、露天の方には何人か居るみたいだけど、広い大浴場は二人きり。
お湯につかったまま、聞いてみた。
「最初は友達だったよね?」
「んーまあ、一番最初はな?」
「……どっから、そうだったの?」
「はっきりはせんけど……言わんかったっけ。プールとか。着替えん時とか。雅己の裸だけ見れなかったって。そこらへんから、意識しとるんかなーっては思ってたけど、まあ認めたくなくて、抗ったしな」
「そっか」
頷くと、啓介がオレを見つめる。
「お前はなんなら最近までは友達やったろ?」
「……さぁ。良く分かんない」
「一回聞いてみたかったんやけど、ええ?」
「うん、いいよ」
「とりあえず付き合うって言うた時。あれってどんな感情?」
「……んー……難しいんだけど」
「ん」
クスクス笑いながら啓介がオレの答えを待つ。
「啓介じゃなかったら、それは言ってない。……断って、啓介と居られなくなるのが嫌だったから、じゃあもういいや、付き合ってみる、みたいな感じ? ……まあでもあんなすぐ、手、出されるとか思ってなかったけど」
ぷー、と膨らんで見せると、啓介が思い切り苦笑。
「……でもまあ、啓介じゃなかったら、あれも絶対、断ってるし。……啓介と離れたくなかったから、苦渋の決断だったけど」
「はは。おもろ」
「おもろくない。すんごく考えたんだからね」
「まあ。せやろけど」
「……で付き合ってみたら、もう、毎週とか、なんならしょっちゅう啓介の家にいってる感じになってさ。今週は断ろうって思ってても、結局断れなくて。……そういう好きじゃないと思ってたから、まあわりと葛藤はあったんだけど……」
「けど?」
「……もともと啓介が好きじゃなかったら、葛藤もないよね。最初に断って、離れてたかもしれないから。オレは、どこからかは分かんないけど、啓介のこと、そう言う意味でも好きだったんじゃない? いつからは分かんないけど」
「オレ以外の男が、お前にめーっちゃ迫って、好き言うたら?」
「断るって」
「付き合えなかったら死ぬーとか言うたら?」
「断る。啓介が特別だったんだよ。うん」
そうそう。
一人納得して頷いていると、啓介は嬉しそうに笑いながら、すこし 近づいてくる。ん?と顔を見ると。
「……抱きたいなー」
「!!」
そんな風にささやかれて、もともとほかほかになってきてるのに、カッと顔だけ熱くなる。
「だ、めだかんな!」
「分かっとるわ。どこですんねん」
「啓介のことだから、どっか見えないとことかで」
「どこやねん」
クスクス笑いながら、啓介が少し離れる。
「今日と明日は我慢して、明後日 帰ってからだからね」
「はいはい」
「昨日だって、なんだかんだ、キスしてたし」
「全然最後までしてへんし」
「当たり前じゃんかー」
もー、と啓介を見ながら眉を顰める。
「啓介は、もうそういうの、今日のバスケに全部ぶつけて。昨日もそう言ってたじゃん!」
「……なんや中高生みたいやな、性欲を運動に、とか」
クックッと笑ってる啓介に、オレも苦笑い。
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