【やさしいケダモノ】-大好きな親友の告白を断れなくてOKしたら、溺愛されてほんとの恋になっていくお話-

悠里

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第2章

「パフェ」

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「おなかいっぱいだけど、アイスは食べたい。取ってくる」

 そう言って皆から離れて、デザートコーナーに向かう。

「あ、雅己」
「あ。啓介。まだ肉たべんの?」
 ちょうどデザートコーナーに立った時、後ろを、お肉を乗せた皿を持った啓介が通りかかった。

「ん。お前はもうデザート?」
「うん」
「さっきアイス食うたやんか」
「いいの、すげー美味しそうなんだもん」
「そうなん?」

 クスクス笑われる。

「そうなの、なんかパフェみたいなの作れるみたいでさ、さっき、女の子がめちゃくちゃ豪華なパフェ作ってて……」
「ああ、ここにパフェのグラスあるで」
「あっほんとだ!」

 一つ手に取って、それから、啓介をちょっと見上げる。

「ねーねー、啓介、一緒に作ろうよ」
「……オレ、肉持ってんの見えへん?」
「見えるけど。恥ずかしいじゃん、パフェ一人で作ってんの」
「……はいはい。ちょお待ってて」

 苦笑いの啓介がお皿を持ってって、自分の席に置いてくると、すぐ戻ってきてくれた。

「ごめん」
「……思うてへんやろ」

 く、と笑う啓介に、ぽんぽん、と背中を叩かれる。

「早よつくろ」
「ん!」

 パフェのグラスをひとつずつ持って、デザートコーナーにある透明ケースの扉を開く。

「これ?」
「ん。コーンフレークみたいなのが下やない?」
「うん。次は?」
「アイス?」
「チョコアイスにする」

 二人でコーンフレークの上にアイスをのせる。

「あと果物かなあ?」
「もう後は何でもええんやないの? 最後にアイス乗せて、生クリームかもなぁ?」
「じゃあ……」

 みかんや桃を入れて上にバニラアイス。

「啓介、生クリームどーやんの??」
「オレかてよう知らんわ……」
 
 クスクス笑いながら、啓介が手に持って、出した生クリームを横から見つめていると。
 ちゃんと可愛い感じで生クリームが飾られた。

「おお、すげー。器用、啓介」
「こうやな。分かった。ええ、雅己?」
「うんうん」
「後ろの方きゅってしめて下の方にクリーム集めて押さえといて」
「うん。……こう??」
「で、ここらへん、ぎゅって押して、ちょっと押し付けて、離す」
「――――……」

 言われるままに生クリームの袋から押し出して離すと。

「おお、すごい! いいじゃん、これー」
 わーい、とばかりに、アイスの周りに生クリームを並べていく。

「啓介のもやる?」
「オレ、飛び飛びでええよ、そんなにクリーム敷き詰めんといて」
「ええー美味しいのにー」
「少しでええよ」
「……じゃあこれくらい?」

 調子に乗って啓介のも生クリームで飾る。

「あと、ポッキー刺す?」
「ええよ、さして」
「チョコチップは?」
「……ええよ、乗せて」
「さくらんぼは?」
「もう全部のせてええって」

 啓介は、何だかすごく笑ってるけど、まあ、嫌がってないからいいか。
 こてこてと、あるものいっぱい使って飾って、超可愛いパフェが完成。

「おーすごいー。ね、啓介、写真撮って」
「えーよ。ちょお待ってな」

 言って、席に戻ってスマホを持ってきてくれる。

「雅己、パフェ持って」
「うん」

 作ったパフェ二つ、顔の下に持って、啓介の方を向く。

「ん。撮れた」
「わーい、サンキュー。じゃあこっち、啓介のね」
「ん」

 クスクス笑って、啓介が受け取る。

「お肉食べたら、すぐ食べてねー」
「んー」

 啓介と離れて、席に戻ると、良たちにクスクス笑われていて。
 「何?」と聞くと。

「めちゃくちゃ楽しそうに先輩達がパフェ作ってるから……」
「なんか可笑しくて」
「はい、雅己先輩」
「ん?」

 アイスを頬張りながら、良が見せてくれたスマホを覗き込むと。

「――――……」

 啓介とオレが、超笑顔でパフェを作ってる写真。

「何撮ってんだよー」
「良い笑顔でしょ。送っといてあげますね」
「要らないって……」

 言いながら。
 何だかすごく楽しそうな自分たちに、ふ、と微笑んでしまう。


 ……楽し。




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