【やさしいケダモノ】-大好きな親友の告白を断れなくてOKしたら、溺愛されてほんとの恋になっていくお話-

悠里

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第2章

「乗り切る」

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「まあ家では、ようしゃべっとるよな」

 クスクス笑いながら、啓介がオレを見て、そう言うので、うん、と頷いておく。まあ、確かにしゃべってはいる。

「仲良しなのは知ってるけど、一緒に暮らすとは思わなかったな」

 要が笑いながらそう言う。

「二人とも、彼女とかできたらどーすんの? 部屋とか普通に連れてくの?」

 すごく普通の質問なんだけど。
 ……オレだって、誰か男友達同士で暮らし出したら、同じ質問するかもしれない。だから、すごく分かるんだけど、一瞬、言葉に詰まっていると。

「家は無しやな」
 啓介が、さらっとそう答えてくれた。

「ふうん。そっか」
 要も別にそんなに突っ込んではこないで、その話は終わった。

「オレ、バブルバス行ってくるー。二人も行く?」
「後で行くわ」
「オレももう少し外がいい」

 要を見送って、二人になったところで。

「色白いって、やっぱ思うよなあ」
「ん?」
「要はそういうん無いから普通に言うけど。雅己は適度に筋肉ついとるから、なんか余計エロく見えるしな」
「な……っ」

 かあああっと、自分が一気に赤くなるのが分かる。

「……あー」
「……?」

「……そーいう反応されると、めっちゃ触りたくなる」
「…………あのさぁ、啓介さぁ」
「ん?」

「……もう。ほんと。まだ一日目だからね? 明後日まで、我慢してよね?」

 赤くなったまま、文句を言ってると、啓介は苦笑い。

「一泊にしといたらよかったわ」
「……そういうことじゃないっつーの……」

 もー、と怒って、オレがばちゃばちゃ啓介にお湯をすくって掛けていると。

「雅己、がきんちょか~」
「小学生か」
 言って笑いながら、先輩達がやってきて、湯につかった。

「オレが悪いんじゃないですもん」
「なに? 啓介、何言ったの?」

 皆面白そうに笑いながら啓介に聞くけど、啓介は「大したこと言うてません」とかすっとぼけてる。

「他の泊り客きたら、やんなよー?」
「やらないですよ。啓介しか居ないの分かってましたよー」

 むー、とむくれながら言うと、先輩達は笑ってる。

「家でもそんな風にしてンの?」

 何で、皆そういう質問してくるんだろ。
 そんな風、とか、何??

「水は掛けてないですけど」
「ちげーわ、そこじゃない」
「……そこじゃないのは分かってますけど」

 呆れたように言われて、オレも苦笑い。

「なんか今日、皆に、同じようなこと聞かれてるので」
「あ、そうなの?」

「だよね、啓介?」

 啓介は適当に頷いてる感じ。せやなぁ、なんて適当な感じで相槌。

「そういや何で最初は一緒に住まなかったの? 途中からさ。引っ越ししたり面倒じゃんか」

 一人の先輩のセリフに、う、と詰まる。

 彼女とかできるかもしんないし、一人暮らしを楽しもうと思ったから、啓介とは暮らそうってならなかった。
 けど、啓介とこうなって、ずっと啓介と泊まりっこしてて一緒だし、彼女とかも関係なくて、啓介と居たいと思っちゃったし……。

 ……って言えるかー! なんて言おう……っ。
 と、心の中でうろたえていたら。

「一人暮らししてみたかったけど……どうせ一緒に居るし、家賃もったいないし、一人暮らしでなくてもええんやないかってなって。な?」

 啓介がさらさらっと、そう言って、オレに視線を向けた。
 なるほど、そういえばいいのか。別に、間違いではないかも!

「うんうん、そう」

 勢いよく頷くと、先輩たちに、ほんと仲いいな?と笑われた。

 やっぱり、大学生男二人で暮らすって。しかも途中から。
 ……あんまり、無いのかもな。そんな気がしてきた。だって、そういえば、オレ、友達にそういう奴ら居ないもんな。オレらも、友達の時は、別々に暮らそうってことになってた訳だし。

 とりあえずこの旅行でここらへんの人達をうまく乗り切れたら、今後は楽な気がする。頑張ろう。うんうん。

 ……ていうか、ほんとに啓介って、焦らないよなー。
 オレ、まだいちいち、ドキドキして、ドギマギして、うろたえるけど……。




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