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第2章
「結構好き」
しおりを挟むバーベキューが終わって、皆、お腹いっぱいーって言ってる。
バスケ迄空き時間があるから、眠い奴は宿で寝るって言いだして、腹ごなしに散歩するって言ってる奴らも居る。
オレはどうしよっかなあ。
……朝早かったし、眠い気もするけど、眠らなくても平気そうな気もする。なんか寝ちゃったらもったいない気も。
「雅己」
「ん?」
啓介に呼ばれて、近づいてくる啓介を見つめ返すと。
「お前、寝たい?」
「ううん。なんかもったいないから、なんかする?」
「ちょお、ついてきて」
「どこに?」
「バスケする体育館。一回みとこ?」
「え、見ていいの?」
「オレらの前、誰も借りてへんからって、もう 鍵は借りたんや。でもまだバスケできんやろ」
「そうだね。皆動けないでしょ。良いよ、見にいこ。皆も行くかな」
「二人でいこーや?」
「――――……」
二人で? ……まあ。良いけど。
「啓介と雅己は? どうすんの? オレらは、さっきの店とかで土産見てくる」
「オレら土産はあとで行くわ」
声をかけてくる皆に、啓介がそう言ってるのを見ながら、オレは黙ってた。
……いつも、啓介と二人だから、この旅行中は、皆と居てもいいなと思ったんだけど……。なんか、二人でいこ、と言われて、ちょっと喜ぶオレのこの気持ちは一体?
…………今更だけど。オレってば、啓介のこと、かなり好きなのかな。
……いや、好きなのはわかってるんだけど……。
二人になりたいとか、思ってたりする?
……なんか、いつもは……「否応なく」って言ったら啓介に怒られそうだけど、でもほんとに、嫌とか良いとか考える余地もなく、ずっと一緒なもんだから、旅行の間位は離れてもって思いながら来たのに。まだ午前中が終わったところだし、そんな離れても、ないのに。
「いこ、雅己」
「あ、うん」
「結構食うた?」
「めちゃくちゃ食べた」
言うと、啓介がふ、と笑う。
「バーベキュープランにして良かった?」
「うん、良かった。あれ、それって選んだの?」
「そやで。普通に宿の食堂で食べるんもありやったんやけど」
「そうなんだ。うん、バーベキューで正解! 楽しかったし」
そか、と啓介が笑う。
「あ。なあ、啓介さ。さっき、先輩と話してた時、ちょっと怒ってた?」
「……ああ。過保護って奴やな……」
「うん」
「……つか、孝先輩も、雅己に過保護やん。て思うてた」
「……そう? ああ、なんか要も言ってたけど」
「あの人、彼女居らんかったら、完全に雅己狙いやと思う位やけど」
「……それはちょっと、何言ってんのか良くわかんない」
「分かれや」
苦笑いの啓介。
「分かんないよ。だって絶対そういうんじゃないし。まあ確かに、よく話しかけてきてくれるし、優しい先輩だけど」
「まあ、彼女居るからええけど」
「そこ基準で、えぇ、なの?」
「せやな」
啓介ってばほんと意味が分かりません。
呆れて苦笑いのオレに、「別に怒ってはないけど。バレた?」とさらに苦笑いの啓介。
「まあ……誰も気づいてないと思うけど」
「雅己にはバレるってことか」
なんかそんなこと言いながら嬉しそうだったりする。
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