【やさしいケダモノ】-大好きな親友の告白を断れなくてOKしたら、溺愛されてほんとの恋になっていくお話-

悠里

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第2章

「お互い」

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「……ていうか、先輩たち、失礼すぎだし。何でオレが無理無理同居せがんだみたいなイメージ……?」

 ほんとにもう……!

「あー……なんでだっけ?」
「さあ。なんとなく? そんな気が」

 ……なんとなくだとう? 

「しかも何でオレ、早々に追い出されることに……」
「だから……雅己が啓介の家に無理無理転がり込んだはいいけど、啓介が彼女出来たりしたら、ぽーんと……とかな?」
「そうそう、心配してたんだよ、オレら。うんうん」

 オレと先輩たちがそんなやり取りでもめてて、先輩たちが、あっはっはと笑ってごまかそうとしてる。そんなこんなで騒いでると、いつの間にか皆が、なんだなんだと寄ってきて、話をなんとなく聞いて、あんまり分かってないくせに、笑ってるし。
 でもって、啓介がささーっと簡単に説明して、皆がまた笑う。


「オレが暮らしたいって言うたのにな?」

 啓介が、もう一度、それを皆に言って聞かせてるみたいな感じで言った。

 ……あ、なんか。わざともう一回、それ、言ったみたい。

 …………ていうか、何なの、皆。
 あれなのかな、オレ的には、啓介に迫られて、最終的には好きになってて、本気で付き合い始めたし一緒に暮らしだしたけど。

 ……もしかして。
 むしろ、オレの方が啓介を大好きで追いかけてたって思ってるのかな。
 と思い当れば、そういえばそんな風に思われてそうな雰囲気は確かにあったような気もする。

 確かに、高校で友達の時は、啓介のこと大好きでよく啓介のとこ行ってたから。皆がそう思うのも仕方ないのかなあ……と少し思い直す。でもなんか、オレがぽーんと追い出される心配とか。いらないし! ほんとにもう。


「雅己、食べよ。肉焼けてるよ」
「あ、うん」

 笑ってる要に呼ばれて、その近くに行く。

「要は何笑ってンの」
「だってお前、おもしれーんだもん。まあ先輩たちは久しぶりに雅己で遊びたかっただけだろうけど」
「なんだそれ。 ていうか、先輩たち失礼だよね」

 ムカムカしながらお肉をほおばってると、要がますますおかしそうで。

「でもさ、皆分かってないよな」

 そんな風に言う要に、「ん?」と首を傾げた時。
 隣に啓介が来た。

「あ。もー、啓介のせいで、すごいからかわれた」
「何でオレのせいやねん」

「……っ分かんないけど、なんとなく啓介のせい!」
「知らんわ」

 クスクス笑ってる余裕な感じがますますムカつく。

「野菜ちゃんと食うてる?」
「食べてる」

 言うと、要が、隣で笑いながら。

「さっきから肉食ってるとこしか見てないけど」
「わー余計なこと言うなよっ」

 慌ててると、啓介が、ふーんと呟きながら、オレの皿をひょいと取って、ほいほいと、何かをのせてくる。

「食べやすそうなのだけ、取っといてやった」
「もーいいのにー」

 まずは、腹いっぱい肉だけ食おうと思ってたのにー!
 むくれていると、啓介は可笑しそうにクスクス笑ってたかと思ったら、また別の奴に呼ばれて、「ちゃんと食うてるか、要見とって」なんて言って、離れていった。

「むー--!!! 母ちゃんかよ!」

 言ってると、要がクスクス笑いながらオレを見る。

「あ、要、さっきの、皆、分かってないって、何?」
「ああ」

 ふ、と笑いを収めて、要はオレをまっすぐ見つめて。

「なんつーのかな、雅己の方が大好きそうに見えるし、昔から大好きっぽかったのは確かなんだけどさ」
「……」

 オレそんなに大好きそうだったっけ。ちょっと恥ずいな……。
 と思っていたら、要がさらに続ける。
 
「啓介だって、負けずにそうでさ、お互い大好き同士だから、ずっと居るんだもんなぁ?」

「――――……っ何言ってんの、なんか恥ずいからやめろよ」

 お互い大好き同士、とか。

 不覚にも、ちょっと喜んでしまいそうになって、いけないいけない、要にバレる。そう思って、必死で言って、啓介がのせてった野菜を口に放り込んだ。




 
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