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第2章
「ポンポン」
しおりを挟む皆の居るところにもう少し、というところで、オレはふと思った。
「あのさ、啓介」
「んー?」
「……今決めたことさ、それでいいんだけどさ」
「うん?」
「もし、それ以外にも、オレがお前の嫌なことをしてたらさ」
「?」
「ポンポン叩いて知らせて?」
そう言ったら、啓介は面白そうに笑いながら、オレを見つめた。
「どこをポンポン?」
「どこ……肩、とか??」
「分かった。ほしたらそれ、お前もな?」
「ん、分かった」
何だかこんなこと話してるのも、おかしいなあとも思うんだけど。
前回、バスケした時、オレも啓介もそれぞれちょっと嫌な思いもしたし。
……こういうの、話して、嫌な思い、しないようにできるなら、それはそれで、進歩なような。
って言っても前の時とは、関係も大分違うけど。
オレが、啓介のこと、好きって認めてるだけで、かなり違うから、大丈夫なのかもしれないけど。
でもなあ。男女のカップルだったら、バスケの皆に、付き合うことになったよーって発表できるけど、さすがにそれはちょっとなあって気がする。
オレ達が今ここで、付き合ってます、なんて言っちゃった日には、もうこの旅行、その話題しか無くなっちゃうって気がする。
「……まあ大体、オレの方が嫉妬するもんな」
啓介が苦笑いで言って、オレを見つめる。
……まあ。確かに、口に出すのは、お前だけど。
オレも大概だと思うけどなあ……。
「とりあえず」
「ん?」
「オレは、帰るまでにお前に勝つから」
「ん??」
きょとんとした顔でオレを見て、それから、啓介はクッと笑いだした。
「もしかして、石投げ?」
「そうそう!」
「ほんまお前、おもろ……」
クスクス笑いながらの啓介と、ちょうど皆の所に追いついた。
すると、なんとなく皆がオレ達を振り帰った。
「なんかさー、あっちの階段に出店があって、射的とかできるらしいよ。行く?」
そんな声に、「行く行く行く!」と返事をして、急いで歩きだす。
「どんだけ射的好きなの」
先輩たちにも笑われながら、先頭で向かう。
「だってやりたいよね、めったにできないしさ」
「まあそうだけど」
「何を取るんだろ、射的で」
「お菓子とかかな??」
「まあなんでも。射的出来ればいいや。早くいこいこ」
ふと、振り返ると、啓介のよこには、若菜が並ぶ。
「――――……」
大丈夫。
若菜が啓介を好きなのは分かるけど。啓介がそこに行くとは思わないから。
ちょーっとだけ、ぴく、てするけど。まあそれくらいは。
多分、前の時と違うのは、啓介がオレをほんとに、好きなんだって思えてるのと。
オレも、そうだって、思えてることなんだと思う。
と。オレの隣に、沙希がやってくる。
この子、オレに、「もし私が大学生になっても、まだ彼女居なかったら付き合って下さい」とか言ってたけど。受験の時は無理です、とかきっぱり言ってたから、ふざけてるのがほとんどなんだろうけど。
まあ、仲は良いからよく近寄っては来るけど。
まあ。
……たまには、いっか。
啓介とオレ、いつも一緒に居すぎだから。
二人でそれぞれ色んな人と過ごすのも、新鮮かもしれない。
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