【やさしいケダモノ】-大好きな親友の告白を断れなくてOKしたら、溺愛されてほんとの恋になっていくお話-

悠里

文字の大きさ
上 下
187 / 250
第2章

「ポンポン」

しおりを挟む


 皆の居るところにもう少し、というところで、オレはふと思った。

「あのさ、啓介」
「んー?」
「……今決めたことさ、それでいいんだけどさ」
「うん?」
「もし、それ以外にも、オレがお前の嫌なことをしてたらさ」
「?」

「ポンポン叩いて知らせて?」

 そう言ったら、啓介は面白そうに笑いながら、オレを見つめた。

「どこをポンポン?」
「どこ……肩、とか??」
「分かった。ほしたらそれ、お前もな?」
「ん、分かった」

 何だかこんなこと話してるのも、おかしいなあとも思うんだけど。
 前回、バスケした時、オレも啓介もそれぞれちょっと嫌な思いもしたし。
 ……こういうの、話して、嫌な思い、しないようにできるなら、それはそれで、進歩なような。

 って言っても前の時とは、関係も大分違うけど。
 オレが、啓介のこと、好きって認めてるだけで、かなり違うから、大丈夫なのかもしれないけど。

 でもなあ。男女のカップルだったら、バスケの皆に、付き合うことになったよーって発表できるけど、さすがにそれはちょっとなあって気がする。
 オレ達が今ここで、付き合ってます、なんて言っちゃった日には、もうこの旅行、その話題しか無くなっちゃうって気がする。

「……まあ大体、オレの方が嫉妬するもんな」

 啓介が苦笑いで言って、オレを見つめる。

 ……まあ。確かに、口に出すのは、お前だけど。
 オレも大概だと思うけどなあ……。

「とりあえず」
「ん?」

「オレは、帰るまでにお前に勝つから」
「ん??」

 きょとんとした顔でオレを見て、それから、啓介はクッと笑いだした。

「もしかして、石投げ?」
「そうそう!」

「ほんまお前、おもろ……」

 クスクス笑いながらの啓介と、ちょうど皆の所に追いついた。
 すると、なんとなく皆がオレ達を振り帰った。

「なんかさー、あっちの階段に出店があって、射的とかできるらしいよ。行く?」

 そんな声に、「行く行く行く!」と返事をして、急いで歩きだす。

「どんだけ射的好きなの」

 先輩たちにも笑われながら、先頭で向かう。

「だってやりたいよね、めったにできないしさ」
「まあそうだけど」

「何を取るんだろ、射的で」
「お菓子とかかな??」

「まあなんでも。射的出来ればいいや。早くいこいこ」

 ふと、振り返ると、啓介のよこには、若菜が並ぶ。


「――――……」


 大丈夫。
 若菜が啓介を好きなのは分かるけど。啓介がそこに行くとは思わないから。

 ちょーっとだけ、ぴく、てするけど。まあそれくらいは。

 多分、前の時と違うのは、啓介がオレをほんとに、好きなんだって思えてるのと。
 オレも、そうだって、思えてることなんだと思う。


 と。オレの隣に、沙希がやってくる。

 この子、オレに、「もし私が大学生になっても、まだ彼女居なかったら付き合って下さい」とか言ってたけど。受験の時は無理です、とかきっぱり言ってたから、ふざけてるのがほとんどなんだろうけど。

 まあ、仲は良いからよく近寄っては来るけど。


 まあ。
 ……たまには、いっか。

 啓介とオレ、いつも一緒に居すぎだから。
 二人でそれぞれ色んな人と過ごすのも、新鮮かもしれない。




  
しおりを挟む
****
読んでくださってありがとうございます♡
気に入って下さったら、お気に入り登録 & 感想など聞かせて頂けると、嬉しいです(^^)

感想 71

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

処理中です...