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第2章

「勝てるもの?」

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  結構皆が選手権に参加して、頑張っていたのだけれど。
 結局啓介がダントツ一番だった。

「なんな訳ー、さらっと、一番」
「はは。才能?」

「腹立つー!」

 啓介がけろっとして笑うと、男子皆で、そう騒いだ。
 ……特に騒いでたのは、オレだけど。

 だって、すっごいやりたがってたオレよりも、全然もう、さらさらっとやって、平気でダントツとか、ムカつくし!!

 こういうとこ、ムカつく。
 むかむか。

 理不尽だとは分かってるけど、プンプン怒っていると、啓介は、ンなことで怒られても、と笑ってる。
 その笑いすら、余裕で余計、イラっとするけど。

「先輩、カッコいいですね、相変わらず」

 若菜が啓介の隣にすかさず行って、キャピキャピしてるのも、これまた、イラっと……。

 いや。しないしない。

 若菜が啓介を好きなのは、知ってる。前から。
 こないだバスケした時だってずっと張り付いてたし、変わらずそうなんだろうと、分かってた。

 でもって今回この旅行が決まって、最初啓介は男だけ誘ってたらしいけど、結局女子にも連絡がいっちゃって、来るってなった時点で、まあある程度覚悟はした。
 啓介にも、今はもう大丈夫、とか、言ったし。

 ……きっと若菜は、この旅行、チャンスとか思ってるんだろうし。
 まあ、その気持ちは分からなくはない。

 だから、別に……若菜が啓介の近くにいって、キャピキャピ楽しそうにしてようが、それを啓介が、楽しそうに話してるように見えようが。

 ……オレは、怒んないんだもんね!
 …………という考え方が、すでに怒っているような気がしないでもないけれど。

 いやいや、オレが怒ってるのは若菜じゃなくて、何回水面を跳ねるか選手権で、啓介がサラッと優勝しちゃったことだし。

 もうほんと、そういうとこ、あるんだよね。
 高校ん時からだけど。

 すごく一生懸命やってる奴より、あんまり興味無さそうにさらーっとやった啓介が、上手にできちゃうとか。はーやだやだ。

「要、あとで、練習しにこよう」
 こそこそと、要に言うと、要はプッと笑った。

「いーけど、啓介に勝ちたいって話なら、ダントツだから厳しくない?」
「いや、絶対コツがあるんだよ、あとで、ネットで検索しよ」
「いーけど……」

 クックッと笑って要が頷く。

「ていうか午後バスケなんだから、バスケで勝負すれば?」
「まあそうなんだけど……」

 バスケで勝負したって、勝てるかどうか微妙……。
 実力重視のバスケ部で、キャプテンなったのあいつだしなー。

 ……ていうか、オレって、啓介に何か勝てるものあったっけ??

 と、唐突に、そんなことを考え始めた。



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