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第2章
「ブレない」
しおりを挟む「大阪でさぁ……そういえば、誰に会ったの?」
「中学まで一緒だった奴ら。小学校から一緒の奴が多いんよ」
「幼馴染?」
「まあ、そやな。結構いっぱい居るけど」
ふーん、と頷く。
「関西弁の友達と、わーわー話してる啓介は、なんかちょっと違う風に感じるかも」
「……そう?」
「うん。居ないじゃん、こっちに、関西弁で話す奴」
「まあ、そやな」
「電話越しに聞こえたのも、ちょっと不思議だった」
「そぉか……」
クスッと笑いながら、腕枕しているオレの顎に触れてくる。
啓介の方を向かされて、視線が合う。
「それって、いやなん?」
「ん?」
「違う風に感じるって」
「嫌ではないけど……ちょっと遠くは感じるかなあ? なんかお前のホームは向こうかなーって気がするから」
「――――……ホーム、なぁ……?」
うーん、と少し考えてる啓介が、ふ、と笑って、オレの頬に触れる。
「オレ、大阪に居ったけど、こっちに帰りたくてしょうがなかったんやけど?」
「……」
「てことは、こっちがホームなんやない?」
「――――……そうなの?」
「帰るとこが、ホームやろ?」
まあ……そう言われてみれば、そうかな?
「まあ、皆が関西弁ちゅーのが久々やったし、楽しかったは楽しかったけどなぁ?」
「うん。なんか分かる」
「でも、オレ、雅己と居れたらそれでいいけど」
「――――……」
「雅己だけ居たら、とかは言うたら重いから言わんけど――――……まあもちろん、他の奴といるのも楽しいけどな」
「……うん。まあ……。わかる」
「……わかる? 何が?」
啓介が、クスクス笑いながら、聞いてくる。
「啓介が他の奴といるのも好きなこと」
「ぁ、そっち?」
「……あと、オレと居れたらって言ってくれてることも……分かってる」
「――――……ん。分かっとって。むしろ、雅己が一番、やから」
そんなことを言いながら、ちゅ、と頬にキスしてくる。
「……こんなこと、して、ずっと一緒に居るんだからさ。……もうわかってるよ」
「ん。なら、良かった」
言うと、啓介はオレを引き寄せて、腕の中に、抱き締める。
「雅己」
「ん?」
「――――……一人で、昨日、寂しかった?」
「……」
「ここで寝たんやろ?」
「――――……うん。まあまあ。……寂しかったかなあ……」
あんまりにも、寂しかったと言い切ると、たった一晩なのにバカみたいな気がするので、そんな風に言ってみたら、啓介は、またクスクス笑った。
「……オレは、めーっちゃ寂しかった」
「――――……」
「いっつも抱いて寝てるのが居ないだけで、こんなんなるんやなーって思うたし……オレは遠距離とか、絶対無理やなって思った」
「――――……遠距離にしたら別れるってこと?」
「ちゃうわ。あほか」
即答で笑った後。
「どっちかが何かをやめてでも移動するか、中間で一緒に住むか、とにかく、遠距離っちゅう状態は、無くすと思うっちゅーこと」
「……あ、なるほど……」
「別れる訳ないやん」
……なんかほんと。
一ミリもブレないな。啓介って。
と、笑ってしまう。
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