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第2章
「彼女」
しおりを挟むあれから結構多忙な一週間を過ごした。
レポートはかなり大変だし、語学とかは普通に覚えるテストだし。
テスト終了日、最後のテストで一緒だった友達たちを誘って、皆でファミレスに行った。
久しぶりに、テストの事とか考えない、楽しい時間。
六人がけのテーブル二つ端っこで占領。
啓介とは別のテーブルになっちゃったけど。まあ、たまにはいいなと、そんな感じ。啓介の後ろ頭が見える席、ちょっとそんなのも楽しい。
「皆夏休みどーすんの?」
そう聞くと、帰ってくる答えは、結構バラバラ。
夏休み中実家に帰るって奴、バイト三昧って奴もいたり。彼女と旅行ーて奴も居るし。
「雅己は?」
「うーん……啓介とバイトしようとか、旅行行こうとか」
「ああ、そういや一緒に住んでるんだっけ」
「うん」
別に宣言してる訳じゃないので、バラバラにずーと聞かれたり話したりするので、この会話にも大分慣れてきた。
それに、一緒に住んでると言っても、誰も、そっちの意味で考える奴はいないんだなーということも分かってきたし。
……よく考えたら、啓介って、超モテモテだから、完全に、女好きだと思われてるんだよね。なので、オレと一緒にどんだけ行動してても、そんな風には思われないらしい。
……て事が、大分分かったので、オレはもうこの話早く切り上げようとかも、思わなくなってる。
「ほんっとに、仲いいなぁ?」
こんなセリフにも、まあ、そうだね、と言う感じ。ふっふっふ、と、余裕の対応が出来る感じになってきてる。
「啓介とばっかりいたら、彼女とか作れないんじゃねえの?」
そんな台詞も、別に今は、平気。
「うーん……でもまあ、今は別いいかなあって」
「それは雅己だろ? 啓介は結構、彼女居たじゃん」
う。
………。
高校の時の啓介を知ってる友達の言葉に、ちょっと黙ったら。
「オレが何や?」
啓介がくる、と振り返った。
「夏休み、どーすんのって話」
「ああ――――……バイトしたり、旅行したり。な? 雅己」
うんうん、と頷くと。
「それそれ。その話でさ。雅己とばっか居たら、彼女作れねーじゃん、て言ってたの」
「ん? ああ……」
ちら、と啓介がオレを見て。ふ、と笑った。
「別に彼女だけが全てやないやろ」
とか。カッコよく言ってのけた啓介は。
オレが、おお、と思った瞬間。
「つか、お前かっこつけんな」
「モテる奴しか言えねえセリフだぞ」
「つーか、大学一年の夏休みなんて、彼女居たらパラダイスだろーが!」
とか、その他諸々。
よく分かんない嫉妬やらの餌食になってた。
まあ。
……オレが解放されたし、啓介は、全く平気そうなので、それで良しとしてほっといたけど。
にしても。
皆、そんなに彼女欲しいんだなあ~、としみじみ思ったりした。
オレ、よく考えると、啓介関係なく、元々そこまでそういうの、強くなかったんだよな。
いつか誰か可愛い子とーとか、夢見てる感じはあったけど。
可愛い、じゃなくて、カッコいい、奴が相手になっちゃったしなあ。
まあ。
全然いーんだけど。
彼女、ねえ……。
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