上 下
158 / 249
第2章

「彼女」

しおりを挟む

 あれから結構多忙な一週間を過ごした。
 レポートはかなり大変だし、語学とかは普通に覚えるテストだし。

 テスト終了日、最後のテストで一緒だった友達たちを誘って、皆でファミレスに行った。
 久しぶりに、テストの事とか考えない、楽しい時間。

 六人がけのテーブル二つ端っこで占領。
 啓介とは別のテーブルになっちゃったけど。まあ、たまにはいいなと、そんな感じ。啓介の後ろ頭が見える席、ちょっとそんなのも楽しい。


「皆夏休みどーすんの?」

 そう聞くと、帰ってくる答えは、結構バラバラ。
 夏休み中実家に帰るって奴、バイト三昧って奴もいたり。彼女と旅行ーて奴も居るし。

「雅己は?」
「うーん……啓介とバイトしようとか、旅行行こうとか」

「ああ、そういや一緒に住んでるんだっけ」
「うん」

 別に宣言してる訳じゃないので、バラバラにずーと聞かれたり話したりするので、この会話にも大分慣れてきた。
 それに、一緒に住んでると言っても、誰も、そっちの意味で考える奴はいないんだなーということも分かってきたし。

 ……よく考えたら、啓介って、超モテモテだから、完全に、女好きだと思われてるんだよね。なので、オレと一緒にどんだけ行動してても、そんな風には思われないらしい。

 ……て事が、大分分かったので、オレはもうこの話早く切り上げようとかも、思わなくなってる。


「ほんっとに、仲いいなぁ?」

 こんなセリフにも、まあ、そうだね、と言う感じ。ふっふっふ、と、余裕の対応が出来る感じになってきてる。


「啓介とばっかりいたら、彼女とか作れないんじゃねえの?」

 そんな台詞も、別に今は、平気。

「うーん……でもまあ、今は別いいかなあって」
「それは雅己だろ? 啓介は結構、彼女居たじゃん」

 う。
 ………。

 高校の時の啓介を知ってる友達の言葉に、ちょっと黙ったら。


「オレが何や?」

 啓介がくる、と振り返った。


「夏休み、どーすんのって話」
「ああ――――……バイトしたり、旅行したり。な? 雅己」


 うんうん、と頷くと。

「それそれ。その話でさ。雅己とばっか居たら、彼女作れねーじゃん、て言ってたの」
「ん? ああ……」

 ちら、と啓介がオレを見て。ふ、と笑った。


「別に彼女だけが全てやないやろ」

 とか。カッコよく言ってのけた啓介は。

 オレが、おお、と思った瞬間。


「つか、お前かっこつけんな」
「モテる奴しか言えねえセリフだぞ」
「つーか、大学一年の夏休みなんて、彼女居たらパラダイスだろーが!」


 とか、その他諸々。
 よく分かんない嫉妬やらの餌食になってた。



 まあ。
 ……オレが解放されたし、啓介は、全く平気そうなので、それで良しとしてほっといたけど。





 にしても。
 
 皆、そんなに彼女欲しいんだなあ~、としみじみ思ったりした。



 オレ、よく考えると、啓介関係なく、元々そこまでそういうの、強くなかったんだよな。

 いつか誰か可愛い子とーとか、夢見てる感じはあったけど。



 可愛い、じゃなくて、カッコいい、奴が相手になっちゃったしなあ。


 まあ。
 全然いーんだけど。


 彼女、ねえ……。



 

しおりを挟む
感想 70

あなたにおすすめの小説

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

【完結】別れ……ますよね?

325号室の住人
BL
☆全3話、完結済 僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。 ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。

【Rain】-溺愛の攻め×ツンツン&素直じゃない受け-

悠里
BL
雨の日の静かな幸せ♡がRainのテーマです。ほっこりしたい時にぜひ♡ 本編は完結済み。 この2人のなれそめを書いた番外編を、不定期で続けています(^^) こちらは、ツンツンした素直じゃない、人間不信な類に、どうやって浩人が近づいていったか。出逢い編です♡ 書き始めたら楽しくなってしまい、本編より長くなりそうです(^-^; こんな高校時代を過ぎたら、Rainみたいになるのね♡と、楽しんで頂けたら。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

処理中です...