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第2章
「楽しい」
しおりを挟む人生初のラブホを経験して帰ってきて。
ご飯も食べてきたし、ざっとシャワーだけ浴びてから、啓介とレポートタイム。パソコンをお互い開いて、向かい合う。
始めてちょっとで、はわ、と欠伸。
「早いわ」
啓介がツッコミを入れてくる。
「……啓介のせいだし」
「んー。まあ。……せやな」
反論されないのも、それはそれで恥ずかしい。
むむむ。
「オレが激しかったからなあ? 雅己、疲れたよな?」
クスクス楽しそうに笑う。
「やめろよもう。恥ずかしいなもう」
ぶつぶつ言うと、啓介が、立ち上がった。
「コーヒー淹れてくる。苦いのがええか?」
「やだよー、おいしいのがいい」
「……眠気覚ましの意味でコーヒー言うてんやけど」
「カフェインってとこで眠気覚ましになるからー、おいしいやつにして」
そう言うと、啓介は、ほんまおもろい、と笑いながら、キッチンの方に向かう。
少しすると、コーヒーの良い香りがしてくる。
「啓介ー」
「ん?」
「すごいイイ匂い」
「んー」
クスクス笑って、啓介が頷いてる。
「入るまでちゃんとやっとけ」
「はーい」
言われるまま、資料を見ながら、パソコンに入力してく。
大学のレポートって、なんか、高校までと全然違う。
まだ一回目のテストとレポート提出だし、すごい手探りだよなー。
これが終わったら、啓介と夏休み、バイトしたり色んな事するんだー。楽しみ。ほんと何しよう、住み込みの海の家とか言ってたけど。すごくすごく楽しそうだなあ……。
高校ん時に、バスケの皆で海行ったなあ。あれすっごい楽しかった。
暑くて、めっちゃ日焼けして、なんかしばらく背中の皮がぱりぱりむけてて……。
「なー、啓介ー」
「んー?」
「バスケの皆で、また海行こー?」
そう言うと、啓介はこっちを見て。
「お前、勉強しとった?」
「――――……う、うん。ちょっとはしてた」
狼狽えてると、啓介、苦笑いしながら、マグカップを持って、こっちに歩いてくる。
「もーテスト終わった時の事考えとったん?」
「……うん。これが終わったら、何しようかなーって」
「ほら」
こと、と、マグカップが目の前に置かれる。
ありがと、と一口飲むと。あまいカフェオレ。
「美味しすぎる」
笑って、啓介を見上げると。
くしゃくしゃ、髪の毛を撫でられた。そのまま、啓介はまた向かい側に座って。
「テスト無事終わらんと、遊んでらんないやろ?」
「うん。分かってる」
うんうん、と頷いてると。啓介は、ふ、と笑んだ。
「……あとで、海、行こって、皆に連絡してみよか?」
「うん! しよー」
「泊まりもええな。どっか安い宿借りて」
「うんうん、良い」
めっちゃ楽しそうーと笑っていると。啓介もクスクス笑って。
「そのためにもレポート進めろや」
「うん。分かった」
何か目が冴えた、と言うと、啓介はおかしそうに笑う。
――――……やっぱり、オレ。
啓介と居るの、すげえ楽しい。
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