【やさしいケダモノ】-大好きな親友の告白を断れなくてOKしたら、溺愛されてほんとの恋になっていくお話-

悠里

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第2章

「だ。だ。だ。」

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「んー……雅己?」
「――――……」

 やだ。もう。話しかけんな。バカ。


「なあ、雅己。どーてーって……経験の話?」
「……っ」

 わーもーしゃべるなー!
 バカーー!


「――――……」


 頑なに反対向いて、膝抱えて丸まって座ってると。

「んー。……童貞やっちゅうことに、気づいたん?」
「――――……っ」

 小さく、一度だけ頷いた。


「……ていうか、気づいてなかったんか」

 なんか、静かにそんな風に言われると、オレがアホみたいで、嫌。


「っ知ってたけど……っ……なんか、改めて……」
「改めて、考えてしもたん?」

「……浩平に、言われて――――……」
「あぁ。言われて、改めて、気づいたのか」

 ふーん。と後ろで啓介が頷いている。


 しばらく、二人とも無言。

 変なの。
 ラブホに来て、二人で風呂に居るのに。オレは背を向けて、無言、なんて。


「雅己、こっちむいて?」
「――――……」

「顔見て、話そ」

 からかう気はなさそうな口調なので、オレは、ゆっくり啓介を振り返った。


「……それはさ、童貞なのは、嫌やって話?」
「――――……」

 思わず、口、むっとしてしまう。
 うん。まあ。

「……何となく、嫌」
「――――……うーん、そぉかー」

「……でもだからって……女の子と、したいかって言われたら、違う、んだけど」
「――――……違うん?」

 啓介の声が、ふ、と優しくなる。

「……だって。オレ、啓介と付き合ってるのに。それしちゃダメだよね」
「――――……はは。雅己」

 クス、と笑って、啓介は、オレの片頬を、手で包むみたいに触れた。


「ほんま、可愛ぇなー、雅己」

 クスクス笑いながら、そう言って。


「――――……んー」
「…………」

「提案。なんやけど」
「……うん」


「――――……オレにしてみる?」


 啓介が、そう言った。

 ……??

 頭の中で、その言葉が、ぐるぐる回ってる。


 ん?


「……もっかい、言って?」

 そう言うと、啓介が、すりすりとオレの頬を撫でながら。


「――――……雅己が、オレにしてみる?」


 ……えっと。

 オレが?
 啓介に?


 してみる、とは?


「……何、してみるって?」

 さっぱり分からず、そう聞いたら。


「どんだけ、お前の中に、その可能性がないねん……」
「?」

 よく分からない事を言って、 啓介が笑ってる。
 

「せやから――――……お前が、オレを抱いてみる?て、言うてんの」
「オレが啓介を、だい――――……」


 だいて、みる?


「……え゛!?」

「あ。やっと通じた」
「だ、だ、だい……」

「――――……っ」

 啓介が、そこで、オレから急に顔を背けたと思ったら。
 口元押さえて。肩を揺らしてる。

 っ顔隠れたって、笑ってんの分かってんだよ!
 なんなんだよっ笑うなよっ!


「ははっ――――……もう何なん、お前……」

 涙浮かべてるし。そんな勢いで笑うんじゃねーよ!!


「啓介が変な事言うからじゃん!!」

「せやかて、お前童貞は嫌で、でもって、浮気も嫌やて言うてくれてるんやったら……オレとするしか、ないやろ?」
「……っっっっっ」


 啓介と、する?
 啓介を、オレが??? だ。だ。だ。…………。だ……。


 頭の中ですら、言葉に出来ない。



「……っ嫌でしょ、啓介っ」
「――――……んー。まあそりゃ大喜びって感じやないけど」

「――――……っ」

「雅己、いつもオレに抱かれてくれてるし。 オレが絶対嫌やって言ったら、悪い気がする」

 ――――……っっっばかーーーーー!!

 そこは悪い気、しなくて、いーから !!!
 悪くないからっっ……!!!



 もはや頭の中は、童貞とか吹き飛んで。
 オレが啓介をという、死ぬほどとんでもない映像に占められそうになって、必死に抵抗中。







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