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第2章
「悩めるオレ」
しおりを挟む浩平と話して、ちょっとショックな事に気付いてしまってから、ものすごく悶々とした時間を過ごして、授業が終わった。
啓介と会って、とりあえず家に帰り、バイクで出発。
少し離れた、ホテルに来た。
男同士でもOKなとこ、調べてくれたらしい。
駐車場だけ気を付ければ、誰にも会わないで、部屋に入れる。
ほんとに無事に誰にも会わず、部屋到着。なんかスパイにでもなった気分?とか、変なことを考える。
あんまりにスムーズに部屋まで到着して、何だかその慣れた感じにもちょっと、むっとしてるオレ。
でも中に入ったら、何か、テレビとかで見た事しか無かった、いかにもラブホ的な光景にちょっとウキウキ。
何このデカいベッド。ほんとそれしか目的が無いみたいで恥ずかしいなと思った瞬間、何故かカラオケがあるのを見つけて、えっとびっくり。
何でカラオケ?
啓介を振り返ると、何か面白そうな顔でオレを見てるし。
ちょっとまたムッとしたのだけど、興味の方が勝って、聞いてみた。
「何でカラオケあんの?」
「さあ? あるとこ結構あるけど。防音しっかりしてるし、遊び場として使う奴も居るんやない?」
あるとこ結構ある。
……そんなに何回も色んなとこ行ってたのか。
と思うと。…………さっきの浩平との話もあいまって、またちょっとムカついてくる。
「……雅己、シャワー浴びる?」
「――――……」
「浴びなくても良いけど。すぐする?」
近づいてきて、オレに触れる。
「…………啓介、オレ。聞きたいことがあるんだけど」
「ん。何?」
…………オレってドーテーっていうんだよね。お前とエロイこと、さんざん してるけど。
……と聞こうかと思ったんだけど。
いや待て、聞くまでもなく、これって、絶対そうだよね。
…………ちょっと待って、啓介に、聞くのは、ちょっと 待とう。
聞き方間違えると、なんかすごく恥ずかしいような気がするような。
ちょっと、落ち着こう。うん。
「……何や? 聞きたい事って」
クス、と笑いながら、啓介がオレの顔に触れれる。
「あ。と――――……」
確か他にも何か聞きたい事、あったはず。何だっけ。他に。あ、そうだ。
「啓介の……マンションに、女の子、連れ込んだこと、ある?」
そう。これは、本当に、聞きたかった。
「無いよ」
「――――……無いの?」
「無い」
「本当に?」
「無いって。1人暮らし始めてから、お前に好きやて迫るて決めるまでの間は、オレんちに連れてってない」
「――――……」
「雅己とマンション行き来してたやろ。いつお前が来るか分からんから、家ではしてない。理由がこれだから……ほんまに無いよ」
「……わかった」
あ、なんか。良かった。
一緒に寝てるベッドに、女の子も寝てたのかと思ったら。ちょっと嫌だったから。
「そういうの気になるん?」
「……なんとなく」
「そか。まあなら良かった。今のマンション、お前しか入ってへんから」
「――――……ん、分かった」
何だかとっても、ご機嫌のオレ。
啓介はクスクス笑う。
「そういうんて、ヤキモチて言うんかなー?」
すり、と頬を撫ぜられて、ぞく、としたものが背筋を走る。
「――――……」
すぐ、そんなモードになる位。
……体は、こういう事に慣れてるのに。
…………………どーてー。
「……ちょっと……シャワー、浴びてきていい?」
「浴びてきてって……一緒に行ったらあかんの?」
「……一人で堪能させて」
「はー??」
啓介がとっても不思議そうな顔をして笑い出したけれど。
「わーた。堪能してこいや」
クスクス笑いながら、部屋にあるソファに腰かけて、テレビをつけた。
「ゆっくりしてき。行っても良くなったら呼んで」
「うん」
夕方のニュースなんか見始めてる啓介に頷いて。オレはバスルームに向かった。
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