【やさしいケダモノ】-大好きな親友の告白を断れなくてOKしたら、溺愛されてほんとの恋になっていくお話-

悠里

文字の大きさ
上 下
144 / 250
第2章

「オレのバカ…」

しおりを挟む

「ねー、啓介さ」
「うん?」

「オレの事、いつか好きじゃなくなるかもとか、そういう心配は無いの?」
「無いけど?」

 けろっとして、そう答える。

「……何で?」
「何でって、言われると……」

 苦笑いしつつ。

「もう18年生きて来てるやろ、オレ」
「……オレもだけどね」
「ん。せやな」

 クスクス笑って、啓介が頷いて。

「そん中で、オレ、お前より好きな奴、居ないし」
「……来年もっと好きな奴に会うかもよ?」

「今まで生きてきて、ダントツで、お前の事好きやのに?」
「――――……」

「いきなり来た奴を、お前より好きになると思う?」
「……啓介ってさ、オレの見た目、好きなの?」

「――――……好きやないと思うてんの?」
「……好きじゃないとまでは思わないけど……んー……もっともっと、好みどまんなかの人がさ、居たら? ……女の子で」

 最後、ぼそっと付け加えて言ったら。
 最後の言葉に、ぴく、と反応してオレを見て。

 伸びてきた手に、頬をぶに、と引き延ばされた。


「最後のなんやねん」
「……いや、だって……」

「まだ言うねんな、それ。――――……雅己が、女がエエと思うてるってことなん?」
「え」

 いや。……そうじゃない。
 ぷるぷると首を振ると。

「……言うてないっけ? オレ、転校して、初めて会った時から、お前の事好きやけど」
「――――……そうなの?」

「……そもそも好きやなかったら、クラスちゃう奴とあんなに絡まんし」
「――――……」

「最初はそういう意味ではなかったけど……ずっと好きやけど。4年目か。ずーっと一緒に居って、ずーっと好きで、今やっと、家に引き込んだっちゅーのに。来年、多少好みの顔が来た言うて、お前から離れると思う?」
「――――……」


「オレ、これっぽっちも思わんけど」

 言いながら、啓介は、オレを引き寄せて。
 キスされた。


「――――……オレ、めーっちゃ、しつこいから。離れへんよ?」
「…………」


 ……そうだった。しつこい。
 好きなバスケの選手もずーっと同じ人好きだったっけ……。
 

「諦めな」

 クスクス笑って、啓介がまた、キスしてくる。


 ――――……諦めなって。
 
 ……別に、それ。
 オレにとって、嫌な事じゃないから。「諦める」とかじゃないけどな。


「オレ、ずっとお前と居たら、雅己の事、今よりもっと、好きやと思うし」
「……」

「好きな奴と、ずーっと一緒に居るんやで? 好きにきまっとるやん」
「――――……その理屈で言ったら、離婚する奴とか、居ないと思うけど」
「……ん?」

「だってもとは好きで結婚して、でも、別れる人たちは別れるんじゃん?」

 オレがそう言うと、啓介は、はー、とため息をついてみせて。

「――――……オレがどんだけ雅己好きやと思うてんの?」
「……わかんないけど……」

「心配なのは、お前がオレを嫌いになったら困るなーてとこやけど……」
「――――……」

「……今、オレの事好き?」
「……うん。まあ……好き」
「まあとか言うなや」

 啓介は面白そうに苦笑い。

「雅己は、オレが今のままなら、ずっと好き?」
「……うん」

「ほしたら、平気なんやない? ずっと一緒に居るってことで」

 うんうん、と、啓介は頷いてる。


 もう。――――……ここまで自信満々に言い切られると、笑ってしまう。

「なんなのもう。啓介」
「ん?――――…… 機嫌直った?」
「機嫌て?」
 
 聞き返してから、ああ、そっか。オレが怒ってたからここに居るんだった。
 呆れたように笑ってる啓介に。


「うん」
 と笑う。


「授業終わったら、ホテルな?」
「――――……」

 …… …… ……。

 あ。そうでした。
 ………あれ。なんか、考えると。

 ……………オレってば自分から誘ったかのような……。
 うーんうーんうーん……? 何してんの、オレってば。


 今更取り消しきかないよなあ、なんて。
 啓介をちら、と見ると。啓介は、ご機嫌だし。

 ああ、オレの馬鹿。






(2022/5/14)

しおりを挟む
****
読んでくださってありがとうございます♡
気に入って下さったら、お気に入り登録 & 感想など聞かせて頂けると、嬉しいです(^^)

感想 71

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

処理中です...