【やさしいケダモノ】-大好きな親友の告白を断れなくてOKしたら、溺愛されてほんとの恋になっていくお話-

悠里

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第2章

「ぐるぐる」

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 翌朝。
 一緒に家を出て、歩き始める。

「なあ、啓介?」
「ん?」

「昨日さぁ、今日一括な、とか話したけどさ」
「うん」

「……テスト勉強の間は、やめよ?」
「――――……」

「だってさ、寝不足んなるし。次の日の勉強にも影響でそうだし」

 とりあえず、朝起きた時から気になってた事を、話す。
 ――――……家の中で話すと、なんか迫られて流されそうなので、外に出てから話し始めてみた。

「どう思う……?」

 オレが恐る恐る啓介を見上げながら、そう聞くと。
 ふーん、という顔でオレを見ていた啓介が、まあええよ、とすぐ頷いてくれた。

「え、いいの?」

 意外な答えに、ぱっと笑顔になってしまう。
 なんだーこんなにすんなりオッケイくれるなら、外で言わなくても良かったじゃん。

「まあ勉強はしゃあないし。レポートとかもあるし。――――……昨日の一括っちゅうんは、延期でええよ」
「うん」

 良かったー、ホクホクしていると。

「そこまで喜ばれると、納得いかんけど」

 と、苦笑いの啓介。

「あ。ごめん。オッケイくれると思ってなかったから、つい」
「まあでもしゃあないやんか。勉強ちゃんとしたいっちゅーんを邪魔する訳にはいかんし」
「ありがと、啓介」

 わーい、良かった。
 ――――……別に、することがすごく嫌だとかじゃないんだけど。

 ……疲れちゃうんだよねー、啓介が……うーん。……かなり……えーと。
 ……激しすぎ、だから。……ってオレは何を考えてるんだ。

 とにかく、テスト期間は、落ち着いて、勉強しようっと。

「一括は延期やけど……ちょっとは触ってもええ?」
「んー……うん。……いいよ」
「ええん?」
「少しなら……」

 オレの言葉に、啓介は面白そうに笑う。

「ほな、すこし、な」
「少しだからな、すこし」
「ん、わーた」

 笑ってる啓介に少し不安になるけど。もうしょうがない。

 とりあえずテスト頑張ろ。

 学校の駅に着くと、友達らに会う。

「おっはよー」
「あ、おはよ」

 何となくばらけて、啓介が他の奴と前を歩き、オレも他の奴と話しながらその後ろを歩き出した。

 いつも隣に居る事が多いから、後ろから見るのって、ちょっと新鮮。


 ――――……何だろうなぁ。
 後ろから見てても、なんか、カッコよさが分かるというか。

 振り返っても、絶対カッコいいだろうなーと思うというか。
 後ろ姿なんて、皆そんな変わらないと思うんだけど。

 ……でも啓介のは、何か違って見える。
 ……脚長いから? なんだろ。不思議。

 

「雅己 聞いてる?」
「あ、うん。聞いてるよ。レポートでしょ?」

「そう。昨日からやってるけど、全然終わる気がしない」
「うん、分かる。オレ、日曜からやり始めたけど」

 そう言うと、そいつが、あ、と気付いたように声を出して、オレを見た。

「そういや、啓介と暮らし始めたんだろ?」
「あ……うん。そう。聞いてた?」

「雅己が引っ越ししてくるって、啓介が言ってた」
「うん。引っ越したよ」

「じゃあ一緒に勉強してんの? いいなー。あのレポート一人でやってるとうんざりしてくる」
「ていっても、別にレポートは別々でやってるから、関係ないけど」

 クスクス笑いながら、平静を装って、答える。


 ――――……仲いい友達と、一緒に暮らす。

 皆、それ位しか思わないんだろうけど。
 ちょっと、ドキドキしてしまうのは。



 日々……何やら、甘々にイチャついて過ごしてるから、だよなぁ。
 バレる訳は、ないのだけど。


 前を歩いてる啓介の、楽しそうな声をちょっと聞きながら。
 うーん、イチャついてとか。オレ何考えてんの。と、ぐるぐるしてくる。 




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