【やさしいケダモノ】-大好きな親友の告白を断れなくてOKしたら、溺愛されてほんとの恋になっていくお話-

悠里

文字の大きさ
上 下
136 / 249
第2章

「シラフじゃ無理」

しおりを挟む

 今日も学校から帰ってから、テスト勉強中。
 ちょっと何か飲み物入れてくると言った啓介が、戻ってきた。
 
「コーヒー淹れ直したから。飲んで」
「うん……カフェオレ?」

 そう言うと、ふ、と笑って、「ブラック」と言われた。
 えー無理……牛乳入れていい?と言ったら、啓介はクスクス笑いながら、オレを見下ろした。

「カフェオレ」
「ありがと」

 差し出してくれたカップを手に取る。少し冷ましながら一口。

「うまーい……」

 ぷ、と笑った啓介はオレの頭を撫でてから、オレの目の前に座り直す。

「啓介のもカフェオレ?」
「ブラック」

「……苦くねえ?」
「コーヒーやからな……」

「……ん? なんで笑ってんの?」

「お前のは、コーヒーてより、牛乳にちょっぴりコーヒー入ってるみたいな。それは苦くないやろなーと思うて」

 言いながら、クスクス笑ってる。

「なんかバカにしてる?」
「いや? 可愛ぇなと思てる」

 ……何言ってんだ。

「啓介、ちょっと飲まして、ブラック。目、覚めるかな……」
「ん、えーよ」

 はい、と渡され、代わりにオレのカフェオレをとりあえず啓介に渡す。

「啓介も飲んでいいよ」
「――――……ん」

 クスクス笑いながら、一口飲んでる。

「美味し?」
「ん、まあ」

 ふ、と笑ってる啓介を横目に、啓介のブラックを一口。

 ……うん。まあ。……コーヒー、だな。
 飲めない事は、ない……。いや。

 ……やっぱり、にっが。うぇ。

 自分がしかめっ面になってるのが分かる。

「ありがと、返す」
「ん」

 啓介のカップを返すと、代わりにカフェオレが戻ってきた。
 こく、と一口飲んで、美味しーと、笑顔になってしまう。

「――――……雅己」
「ん?」

「少しだけ。おいで」

 くいくい、と手招きされて。
 ――――……なんとなく察知するんだけど。

 まあ別に、いっか。
 なんて思って。

 カフェオレをテーブルに置くと、膝で立って啓介の方に近付く。

 啓介の手が、オレの後頭部に回って、ぐい、と引っ張られて。
 唇が重なった。そのまま、啓介の腕の中。


 最初は、優しいキスで。
 触れるだけ見たいな感じだったんだけど。


「ん……っ――――……」

 舌が不意に入ってきて、絡められる。

「んん……? っん……」

 思ってたよりずっと、キツくなっていく。
 ……何なんだ、啓介。


「――――……っん……」

 ぞく、と快感が走る。

 ――――……啓介のキスがエロイからいけないんだ。


「やめ……まだ、勉、強――――……」
「――――……ん」

 クス、と笑った啓介が、ゆっくりキスを離す。
 ぽふ、と抱き締められて、むー、と膨れてしまう。


「……なんなの。途中から、きついんだけど」
「なんや、キスしてて、幸せそうにしとるから。可愛えなーと……」

 クスクス笑った啓介に、ちゅ、と頬にキスされた。

「……顔、赤」
「るさい」

 ……バカなのか、啓介。
 なんかすげえ、恥ずかしいっつーの。バカ。もう。バカ。

「勉強するか、しゃあない……」

 しゃあない、じゃない。もう。
 バカ。

 はー、とため息をつきながら。

 こんな一瞬でゾクゾクしてしまった感覚を飛ばしたくて、頭を少し振ってから。啓介の向かいに座った。

「早く勉強終わらして、ベッドいこ? 続きしよ」
「――――……っ」

 もうほんと、嫌、こいつ。

 啓介は楽しそうに、クスクス笑うけど。
 シラフでそういうのに答えるのは、やっぱ、まだ無理なので、オレはひたすら無視して、教科書に向かった。


しおりを挟む
****
読んでくださってありがとうございます♡
気に入って下さったら、お気に入り登録 & 感想など聞かせて頂けると、嬉しいです(^^)

感想 71

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

成り行き番の溺愛生活

アオ
BL
タイトルそのままです 成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です 始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください オメガバースで独自の設定があるかもです 27歳×16歳のカップルです この小説の世界では法律上大丈夫です  オメガバの世界だからね それでもよければ読んでくださるとうれしいです

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

家族になろうか

わこ
BL
金持ち若社長に可愛がられる少年の話。 かつて自サイトに載せていたお話です。 表紙画像はぱくたそ様(www.pakutaso.com)よりお借りしています。

どうせ全部、知ってるくせに。

楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】 親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。 飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。 ※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

処理中です...