129 / 248
第2章
「リクエスト」
しおりを挟む図書館から帰ってきて、シャワーを浴びてさっぱりしてから、夕飯。
で、その後。今度はレポート。
「なんかさー……こんなに勉強すんの久しぶり」
「そやな」
「テストと一緒にレポート提出とか……大変……」
「まあでもまだ日にち、あるし。大丈夫やろ」
「ううーーーん」
唸ってると、啓介が笑い出した。
「もう集中、切れた?」
「……うん。も、無理。今日。啓介はまだやんの?」
「んー……ここまでまとめよかな」
今開いてるべージの、終わりのとこを指してる。
「オレはまた明日頑張る。もーやめるー」
そのまま後ろに倒れて、置いてあったクッションに後頭部を沈める。
「終わったら教えて―」
「分かった」
啓介がクスクス笑って。それからまた、パソコンのキーを叩く音。
はー。疲れた。
――――……すごい勉強しちゃったな。オレ。
なんて、思ってたら、いつのまにか、ウトウト、してた。
「――――……かーわえぇ……」
そんな言葉に、はっと気が付いて、目を開けると。
啓介が、隣にしゃがんでて、オレを見下ろしていた。
「あ。……終わったの?」
「あぁ。終わった」
ゆっくり起き上がって、啓介を見ると、啓介はしゃがんだまま、面白そうにオレを見ている。
「……オレがここに倒れてからどれくらい経った?」
「15分位やな」
「そっか……すぐ寝ちゃった」
「そーやな」
クスクス笑った啓介の手が伸びてきて、頬に触れた。
「――――……オレ、今日、結構我慢したんやけど」
「え?」
「勉強してたし。キスも触るんも、我慢してた」
「……」
あ、我慢してたのか。
……確かにあんまりされてないかも。
「――――……じゃあ」
じっと、目の前の啓介の顔を見つめて。
「……キスしてあげよっか……??」
いっつもされてばっかな気がするから。
ふと思いついて、そう言ってみたら。
「ほんまに? ええの?」
と、めちゃくちゃ嬉しそうな啓介の笑顔。
……そんなに喜ばれると、ちょっと笑ってしまう。
「うん」
……ちょっと可愛いぞ。
なんて思いながら、隣の啓介の方に、近寄ろうとしたら。
「リクエストがあるんやけど」
そんな言葉で、止められて、ん??と固まる。
「……リクエスト?」
なになにリクエストって。
「変なことはやだよ」
「変なことやないよ」
オレがちょっと膨らんでいると、クスクス笑いながら、啓介がオレの腕を軽く掴む。
「上、乗って?」
「――――……」
啓介が座った上、太腿に跨って、少し上から、啓介を見下ろす。
「……ちょっと、恥ずかしいんだけど」
「これでキスして?」
文句言ってるのに、嬉しそうで、もうなんか。
いいか、と思ってしまう。
ゆっくり、オレを見上げてる啓介に顔を寄せて、キスする。
「……下に啓介が居るの、ちょっとハズイ……」
「新鮮?」
「……ていうか、恥ずかしいって……」
クスクス笑いながら、啓介の手が頬にかかる。
「ええから、キスして」
「――――……」
ゆっくり、唇を重ねて少し離して。また、重ねる。
頬に掛かっていた手が、うなじに滑って、引き寄せられる。
48
お気に入りに追加
1,832
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
奴の執着から逃れられない件について
B介
BL
幼稚園から中学まで、ずっと同じクラスだった幼馴染。
しかし、全く仲良くなかったし、あまり話したこともない。
なのに、高校まで一緒!?まあ、今回はクラスが違うから、内心ホッとしていたら、放課後まさかの呼び出され...,
途中からTLになるので、どちらに設定にしようか迷いました。
食事届いたけど配達員のほうを食べました
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか?
そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる