124 / 250
第2章
「不純?」
しおりを挟む「とりあえず英語は範囲まで終わった」
「ん。オレも一応終わったと思うわ……あ、雅己、さっきのチョコ、食べるか? 持ってくる?」
「んーいい、一緒に行く。なんか飲もうよ」
「ん。せやな」
空いたグラスとコースターを手に2人で立ち上がって、キッチンに向かう。
「なんかオレってさ」
「ん?」
「高校で啓介と会ってからさ」
「ん」
「ずーっと、一緒にテスト勉強してきた気がする」
「あー。せやな」
「啓介が誰かと付き合ってても、テスト勉強だけは何か、2人でしてたっけ?」
「……まあ。せやな」
流しにグラスを置いてから、ふと、啓介を見上げる。
「……ていうか、ほんとに全部のテスト勉強一緒にしてたような気がしてきたような……」
「――――……まあ。しとったよ」
ぷ、と啓介が笑う。
「ような、やなくて。 絶対全部してた」
「あれ、そうなの? って、それって、何で?」
聞くと、啓介はますますおかしそうに笑って。
「最初に、一緒に勉強しようみたいな事、言うたんは、お前なんやけど、覚えとる?」
グラスを、洗剤のついたスポンジで洗いながら、「覚えてる。数学とか嫌いだから、教えてって言った」と、オレが答えると。
「んで、一緒に勉強したんやけど……雅己って教えればできるんやけど、あれ、1人でやっとったら、分からない所で挫折して勉強しなくなる奴やなーって、思うて」
「――――……」
よくお分かりで。
「うちの高校、附属やけど、内申とってないと大学進めなかったやろ。結構条件、厳しかったやんか」
「うん」
「せめて大学、一緒がええって、思うてたから」
「あ、それで毎回、一緒に勉強してくれてたの?」
オレの洗った泡のついたグラスを水で流しながら、啓介が笑う。
「そ」
「啓介居なかったら、オレ、この大学じゃなかったかもしれないね」
クスクス笑うオレに。
「オレ居なくても、どこかで気づいて、雅己は1人でも頑張ったかもしれへんし、それは分からんけどな?」
「そうだなあ……してないかも。啓介居なかったら、なんかもっと適当にして、他の大学いってたかなあ……」
グラスを洗い終えて、タオルで手を拭く。
「啓介、何飲みたい? 次は紅茶にする?」
「ん。ええよ」
「じゃあお湯沸かすね」
電気ケトルに水を入れて、スイッチを押す。
「……まあ。でもテスト勉強って名目で――――……」
「――――……?」
啓介はクスッと笑いながら、オレの両頬を挟んだ。
「一緒に居たかっただけかもしれへんけど」
「――――……」
「テスト勉強って言えば、雅己が連泊しててもどっちの親も、何も言わんし」
言いながら、ちゅ、とキスされる。
「うわー。動機、不純ー、啓介」
「でも別に手ぇ出してへんし。偉かったやろ、オレ」
「それ偉いの?」
「偉いやろ」
クスクス笑う啓介の唇が、また重なってくる。
60
****
読んでくださってありがとうございます♡
気に入って下さったら、お気に入り登録 & 感想など聞かせて頂けると、嬉しいです(^^)
読んでくださってありがとうございます♡
気に入って下さったら、お気に入り登録 & 感想など聞かせて頂けると、嬉しいです(^^)
お気に入りに追加
1,882
あなたにおすすめの小説
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
鈍感モブは俺様主人公に溺愛される?
桃栗
BL
地味なモブがカーストトップに溺愛される、ただそれだけの話。
前作がなかなか進まないので、とりあえずリハビリ的に書きました。
ほんの少しの間お付き合い下さい。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、

ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる