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第2章

「試験勉強とか」

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 翌日。
 朝食を終えてから、2人で試験の勉強。 

「……けーすけ、これ和訳して」
「んー……」

 少し眺めてから、ノートにさらさら書いてくれる。
 

「――――……なるほど……」

 言ったオレに、ぷ、と笑って啓介が。

「なるほどやないやろ。ほれ」

 と突っ込みながら、辞書を渡してくる。

「なんでお前はずっとオレと居て、同じような事してんのに、勉強できんの」

 ぐったりしてると。

「さあ……堪忍なー、頭良うて」

 クスクス笑いながら冗談ぽく言っているけれど。
 正直冗談とは取れない。

「はー、やな奴……」

 ……ほんと頭良いんだよな。
 くそ。 こいつの欠点は、何なんだ。


 何でもできる啓介に、むむむーー、と唸っていると。


「――――……ココアとカフェオレ、どっちがええ?」
「……ん?」

「入れてきたるよ。どっち?」
「……すっげー甘いカフェオレ。アイスがいい……」

 そう言うと、啓介はクス、と笑って、よしよし、と頭を撫でながら、立ち上がった。


 乱れた前髪を軽く直しながら。
 啓介が渡して行った辞書を開く。


「――――……」

 ほんと。
 ……欠点はどこだろ?
 

 ルックスは……もう言いたくないし。声も良いし―……。
 運動神経いいしー。筋トレとかをやり続けらる意志強い所もなー……。
 
 キャプテンとか任されるしー。
 学級委員とか普通にやるしー……。

 家事とかもふつーにこなしちゃうしー……。
 よく気づくしー。
 優しいしー……。
 
 …………いやいや。
 オレは何を言ってるんだ。
 これじゃただただ、啓介を、褒めてるだけみてーじゃんか。


 なんか恥ずかしくなってくる。
 ただ辞書をぺらぺらめくりながら、意味なく時を過ごしていたら。

「――――……雅己、さぼってるやろ?」

 笑いを含んだ声がすぐ背後から聞こえて。
 テーブルの上にコースター、その上にグラスが置かれた。

「……サボってないし」

 開いた辞書をそのままめくっていく。

「――――……どーせサボってるし、ちょっと休憩しよ」
「だからサボってな――――……」

 肩に触れられて、む、と振り仰いだ唇を、塞がれた。

「……ん――――……」

 ――――……キスも、うまい。
 他の奴とした事ないから、比べられないんだけど。

 気持ち良いから。うまいんだと思う。
 離してほしいと、思えないから。


「――――……雅己、口開けて」
「……ん?」

 クス、と笑った啓介は、キスを離して、オレの口に何かを突っ込んだ。


「――――……チョコ?」
「ん。糖分補給」

「うまーい……」
「好きそうやなーと思って、こないだ買うたんや」

「うん、好き。おいしー。食べた?」
「食うてへんけど」
「何で?」
「5粒しか入っとらんかったから。オレ別にチョコ無くてもええし。雅己が全部食べたらええと思って」

「高級なの?」

 オレの聞き方に、啓介はぷ、と笑って。

「んー、まあ、ちょっと高級そうやった」

 クスクス笑いながら、オレの頭を撫でる。


「美味しー」
「英語終わったら、また持ってきてやるから」

「うん。頑張る」


 入れてくれたカフェオレを飲みつつ。
 目の前に座った啓介を見つめる。


 ――――……欠点。
 ……どこかな。



 真剣に考えてしまう位、思い当たらないって、すごい。
 なんて思う。




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