123 / 248
第2章
「試験勉強とか」
しおりを挟む翌日。
朝食を終えてから、2人で試験の勉強。
「……けーすけ、これ和訳して」
「んー……」
少し眺めてから、ノートにさらさら書いてくれる。
「――――……なるほど……」
言ったオレに、ぷ、と笑って啓介が。
「なるほどやないやろ。ほれ」
と突っ込みながら、辞書を渡してくる。
「なんでお前はずっとオレと居て、同じような事してんのに、勉強できんの」
ぐったりしてると。
「さあ……堪忍なー、頭良うて」
クスクス笑いながら冗談ぽく言っているけれど。
正直冗談とは取れない。
「はー、やな奴……」
……ほんと頭良いんだよな。
くそ。 こいつの欠点は、何なんだ。
何でもできる啓介に、むむむーー、と唸っていると。
「――――……ココアとカフェオレ、どっちがええ?」
「……ん?」
「入れてきたるよ。どっち?」
「……すっげー甘いカフェオレ。アイスがいい……」
そう言うと、啓介はクス、と笑って、よしよし、と頭を撫でながら、立ち上がった。
乱れた前髪を軽く直しながら。
啓介が渡して行った辞書を開く。
「――――……」
ほんと。
……欠点はどこだろ?
ルックスは……もう言いたくないし。声も良いし―……。
運動神経いいしー。筋トレとかをやり続けらる意志強い所もなー……。
キャプテンとか任されるしー。
学級委員とか普通にやるしー……。
家事とかもふつーにこなしちゃうしー……。
よく気づくしー。
優しいしー……。
…………いやいや。
オレは何を言ってるんだ。
これじゃただただ、啓介を、褒めてるだけみてーじゃんか。
なんか恥ずかしくなってくる。
ただ辞書をぺらぺらめくりながら、意味なく時を過ごしていたら。
「――――……雅己、さぼってるやろ?」
笑いを含んだ声がすぐ背後から聞こえて。
テーブルの上にコースター、その上にグラスが置かれた。
「……サボってないし」
開いた辞書をそのままめくっていく。
「――――……どーせサボってるし、ちょっと休憩しよ」
「だからサボってな――――……」
肩に触れられて、む、と振り仰いだ唇を、塞がれた。
「……ん――――……」
――――……キスも、うまい。
他の奴とした事ないから、比べられないんだけど。
気持ち良いから。うまいんだと思う。
離してほしいと、思えないから。
「――――……雅己、口開けて」
「……ん?」
クス、と笑った啓介は、キスを離して、オレの口に何かを突っ込んだ。
「――――……チョコ?」
「ん。糖分補給」
「うまーい……」
「好きそうやなーと思って、こないだ買うたんや」
「うん、好き。おいしー。食べた?」
「食うてへんけど」
「何で?」
「5粒しか入っとらんかったから。オレ別にチョコ無くてもええし。雅己が全部食べたらええと思って」
「高級なの?」
オレの聞き方に、啓介はぷ、と笑って。
「んー、まあ、ちょっと高級そうやった」
クスクス笑いながら、オレの頭を撫でる。
「美味しー」
「英語終わったら、また持ってきてやるから」
「うん。頑張る」
入れてくれたカフェオレを飲みつつ。
目の前に座った啓介を見つめる。
――――……欠点。
……どこかな。
真剣に考えてしまう位、思い当たらないって、すごい。
なんて思う。
37
お気に入りに追加
1,832
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
奴の執着から逃れられない件について
B介
BL
幼稚園から中学まで、ずっと同じクラスだった幼馴染。
しかし、全く仲良くなかったし、あまり話したこともない。
なのに、高校まで一緒!?まあ、今回はクラスが違うから、内心ホッとしていたら、放課後まさかの呼び出され...,
途中からTLになるので、どちらに設定にしようか迷いました。
食事届いたけど配達員のほうを食べました
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか?
そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。
親友だと思ってた完璧幼馴染に執着されて監禁される平凡男子俺
toki
BL
エリート執着美形×平凡リーマン(幼馴染)
※監禁、無理矢理の要素があります。また、軽度ですが性的描写があります。
pixivでも同タイトルで投稿しています。
https://www.pixiv.net/users/3179376
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/98346398
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる