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第2章

「胸の奥が」

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 ずっと、どんな意味でも、オレがお前のこと 好きだった。

 ――――……なんかそういう風に言われると、ちょっと、悔しいかなあ。

 その間、お前は、女の子と付き合ったりしてた訳だし。

 まあ。もう……過去の事、だけどさ。
 そう思うのだけれど何か、少し思ってしまって、なんとなく、無言でいると。


 啓介もさっきまでニコニコしてたのに、何かを考えてるみたいに、ちょっと眉を寄せて、黙ってしまった。


 ……? 啓介どした? 
 珍しい感じ。

「……雅己」
「ん……?」

 返事をすると、啓介がオレを、ぎゅ、と抱き締めてくる。
 ぎゅうう、と包まれて。


「――――……啓介?」

 しばらくの間、オレを抱き締めたままでいたんだけど。
 啓介は椅子から降りて、床に膝をついて。
 なんか、ウエストのあたりにぎゅー、と抱き付かれてる、へんな体勢。

「ど、したの?」
「んー……」

「何で下に行くの?」

 啓介の頭を、上から見ることなんて、あんまりない。

 あ。つむじがこんな所にある。
 なんだか、楽しくなって、啓介のつむじを押してみる。

「ん?」

 啓介がオレを下から見上げてくる。

「あ、つむじ見つけた」

 言うと、啓介は、ふ、と苦笑い。
 それから、また、オレのウエストにぎゅーー、としがみついた。

「……啓介、なに? ……どしたの?? 上がってきたら?」
「――――……何となく、気分的に下に居るんやけど」

「何それ。どうしたんだよ??」


 そう聞いて、啓介の返事を待っていると。


「……雅己、あのな。前にも……ちょこちょこ話したけど。 最後に一回。ちゃんと、言うとく」

「え、何……。 啓介が真剣だと怖い」
「――――……なんやそれ」

 ぷ、と笑う啓介の手が、オレの首の後ろに伸びてきて。
 引き寄せたオレに、ちゅ、とキスした。

 すぐに離れて、下からまっすぐに、見つめられる。


「……オレ、ずっと、お前、好きやった」
「――――……」

 うん。それは、前から聞いてる。

「……せやけどオレ、絶対無理やと思うてたし。女の子と付き合って、好きになろうと思うてて。まあ最後の方は、半分やけくそになってたんやけど……」

「――――……」

 ……まあ。それも、知ってる。
 ――――……お前の女の子情報、一番詳しいの、多分、オレだしな。

 誰と付き合ったとか告白されたとか。特に高校ん時のは、よく聞いてたし。
 大学入っての合コン後とかのは、知らないのもありそうだけど。

 ……うん? それで??

「……お前とは友達でいるしかないと思うてた間の事は……もう、言い訳も何もする気はないんやけど……ちゃんと言うとく」


 まっすぐまっすぐ、啓介が、下から、見つめてくる。


「……ほんま、ごめんな?」


「――――……っ」


 胸の奥が、きゅ、と縮むみたいな感覚。
 ……何これ。

 一気に色んな感情が沸き起こってきて。
 結果。

 かあっと、顔が熱くなった。


「雅己?」
「………っ」

 手で、口元を隠すと。

「――――……何で今赤くなるんか分からんけど……」


 そっと伸びてきた、手が、頬に触れる。



「可愛ぇ」

 優しい瞳で見られながら。 すり、と指で頬を撫ぜられる。








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